【バンド紹介】Mercuroが生み出す極上の怪異
Mercuro(マーキュロ)と命名された集合体が我々の前に再び姿を現したのは、2016年のこと。公式SNSとブログでの告知によって、その事実が判明した。
マーキュロは90年代後半から2000年初頭にかけて、関東を中心に活動していたバンドだ。
解散から10数年ものあいだ沈黙を守っていた彼らだが、ある日突然「蘇生」を示唆するコメントが公式から飛び出るなど、その予兆を感じ取ることはできた。
そして、いざ蘇生が現実のものと判明すると、とたんにアンダーグラウンド界隈がザワツキ出す。彼らは決して万人受けするバンドではないし、むしろ一部のマニアックなファンから熱烈に支持されてきた存在だ。だからこそ、彼らを欲する声は熱量の高いものが大半を占めている。彼らが生み出す極上の怪異に酔いしれるのだ。
過去の彼らについて語るとき、僕は答えに窮してしまう。それは、僕がかつてマーキュロの熱心なファンであり、ライブにも足繁く通っていた過去を持っているにもかかわらずだ。マーキュロの実態は非常に掴みづらく、やっと捕まえたかと思えば、ゴーストのようにスルリとすり抜けてしまう。
ステージに立つメンバーは本当に現世の存在なのか。圧倒的な存在感を放っているにもかかわらず、その不透明さには未だにゾクリとする。とはいえ、その危うさこそが彼らの魅力であることは間違いない。
ちなみにマーキュロの活動の変遷は非常にややこしく、メンバーの脱退と加入が複雑に入り乱れているため、全貌を知るのは難しい。
今回の蘇生に関しても、その舞台裏でどんな事が起こっていたのか。僕は新生マーキュロのライブに何回か足を運んでいるが、彼らの実態を探ることは極めて困難であり、むしろ、ライブに足を運べば運ぶほど、秘密のヴェールがより色濃いものへとなっていくような気さえしている。
マーキュロを立ち上げた2人の首謀者、博士と幸郎を解析することで新生マーキュロの実態が少しは見えてくるのだろうか。それとも、鍵を握るのは他のメンバー? 謎は深まるばかりだが、この辺りは、いずれインタビューなどを通じて解き明かしたい。
■■彼らが創造する未来
新生マーキュロは先程も言ったように、博士、幸郎という2人のオリジナル・メンバーが在籍していることに加え、 Serpentine†Ghostで彼らと活動を共有してきたベースの秋も参加。さらにツインベースの一翼として、…。【サイレンス】、glamscureで活動中の祈も名を連ねている。
さらにボーカルには、SCISSORS GARDEN、地獄絵に加え、「rem † non † rem」としての活動も始動させたレアも参加。レアと言えば、大阪のシーンで強烈な個性を打ち出してきた人物として知られ、異彩を放ちつつも一部で圧倒的な支持を得ている表現者だ。
レアがマーキュロに移植されることによって、果たしてどんな科学反応が起きるのか。マーキュロがどのように変化するのか。筆者を含め、ファンの興味はその部分にも大きく向けられた。
新生マーキュロは現在、3回のライブを行い、音源も複数発売している。その過程で徐々に彼らは本性を見せつつあるが、2018年8月26日の大阪・西九条BRAND NEWのライブでは、誰もが予想していなかった新曲も披露された。それは、蘇生だけに留まらずその後の進化も見据えていることの提示である。追いついたかと思えば、また遠くへ行ったしまったような感覚。彼らは、本当に掴みどころがない。
この先、マーキュロがいかなる世界を創造するのか。今後もしっかりと、彼らの活動を注視したい。