筑波大学のアート事情
初めまして、三隅幸といいます。本名ではないです。
僕は2014年に筑波大学芸術専門学群に入学し、2018年に卒業。そのまま同大学の大学院に入学予定です。いい節目でもあると思うので、この4年間でこの大学に感じたこと、不満、可能性について考えていきたいと思う。
この大学に入学する人、志望している人、在学生、卒業生。いろいろな人に読んでもらい、考えてもらいたい。
あ、僕は文才全くないので読みずらい部分が多々あると思いますがご容赦ください。
まず、筑波大学でアートと関わる学生の大半は芸術専門学群の学生だと思う。2015年に落合陽一先生がメディア創成学類の助教となってからはメディアアートの制作に携わるメディア創成学類の学生が増えた印象がある。この文章では、芸術専門学群の事情を中心に述べていく。僕は現代アートを中心に学んでいる学生なので、その分野を基準とすることを念頭に置いて欲しい。
結論から言うと、芸術専門学群の学生の能力・技術は他の大学と比べ低いわけではない。デッサン力もある基準点は超えているし、色彩能力もいい。なにより地頭がある。芸術系の大学で一番座学ができる大学なのではないだろうか。しかし、なぜかこの大学から一流のアーティストが生まれることはほとんどない。学生のうちからコンペで結果を出したり、メディアに露出する人もほとんどいない。この理由を僕なりに分析し、一度箇条書きしよう。
1.受験生の性質
2.討論を避けがち
3.上下の繋がりの無さ
4.アートシーンへの繋がりの無さ
順に説明したい。まず「1.受験生の性質」について。現在はわからないが僕が入学した2014年の時点ではセンター試験と二次試験(デッサンなどの実技)の割合が1:1であり、どちらの試験もそこそこ高いボーダーが設けられている。また実技試験のある芸術系大学の中でも、筑波大学は社会的に知名度の高い大学である。つまり筑波大学は「芸術的・学力的能力が共に高い学生が集まり、就職に有利な大学」なのである。そして、そういった要素を求める受験生がこの大学を受験する。逆に言うと、「芸術的・学力的能力の一方とも卓越せず、就職を求める学生のための大学」なのである。アーティストとして独立する考えを持って入学する学生はほとんどいないだろう。筑波大学だから就職はできるという保険もそれを増長させている。それを大学の教授たちも知っている。知っているからこそ、アーティストになるための指導は行わないのだ。
その結果、学生たちの芸術への理解は芸大・美大と比べ深まりずらい環境が生まれる。特に現代アートはその歴史や文脈を理解しなければ、いい作品を意図的に生み出すことは難しい。いい作品を作るために学生たちは多くの展示を観て、多くの本を読まなければならない。しかし、芸術は勉強しなければならないという事実を知らないから、学生たちは勉強をしなくなる。それを教授たちも教えることはない。
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