私の好きな北海道の風景 剣淵町・旭川市 2024 - 華のおんなソロ旅
所用で出向いた北海道北部(道北)の記録です。
剣淵町は、旭川市から北上して50kmほどのところにある人口2700人ほどの農村の町である。剣淵町が全国的に有名になったのは絵本を題材としたまちづくりを行ったことで、平成16年にできた「絵本の館」では世界中の絵本45000冊を所蔵して、子どもたちへの「読み聞かせ」などの活動を行っている。「読み聞かせ」のもつ力と自然の美しさに魅せられた俳優、大地康雄が企画・主演した映画「じんじん」(2013年)は町民の協力で撮影された。映画にも登場した道の駅「絵本の里 けんぶち」(キャッチ画像)に数年ぶりに立ち寄る。焼き立てパンの販売、野菜直売所、ドッグランなどを備え、静かで落ち着きのある趣がいつもながら心地よい道の駅である。
映画「じんじん」は、豪華なキャストの参加で、ハート・ウォーミングな脚本による丁寧なつくりである。地域上映会を重ねる「スローシネマ」の公開方式でじわじわと人気を得て、いまや動画配信でも観ることができる。映画に出てきた町内のアルパカと遊べる牧場、美しい桜岡湖など見どころも多く、この映画により剣淵町の魅力を知った人が多く訪れてほしいと思う。
旭川市では、念願の駅近くの居酒屋「独酌 三四郎」を訪問した。あの人気グルメ番組「孤独のグルメ」(テレビ東京)に登場した、知る人ぞ知る名店である。もう何年も前に知人に奨められていたのだが、なかなか機会がないままきてしまっていた。今回はしっかり予約をして一番乗り。「孤独のグルメ」(「孤独のグルメお正月スペシャル~真冬の北海道・旭川出張編」2016年1月1日・テレビ東京)をよく観てからきたが、なんとあの五郎さん(松重豊)の座った席に私も座ることになった。光栄ですわ。彼と違うのは、私はしっかりお酒をいただくところで、とりあえずのビールのあとは、おかみのおすすめの日本酒(山梨県の「七賢」)を頼んだが、この美味しいことといったら。すっかり気に入って、ついお代わり。
常連の知人によれば、ドラマでおかみさんを演じた床嶋佳子はおかみさんの立ち居振る舞いそのものだそうで、さすがは女優さんである。ドラマでは、最後の原作者の久住昌之の訪問時のシーンにリアルのおかみさんが登場する。ドラマで入口付近で黙々と焼き物をしているご主人は残念ながら亡くなられたとのことだが、ご家族が継いで頑張っているとのこと。名物「新子やき」を良いタイミングで出してくれた。小あがりの端の方にちょうどドラマで出てきたような常連さんたちが入って来ておかみさんとやりとりしている様子は、ドラマと全く同じである。予約の電話がひっきりなしに入っており、相変わらずの人気店のようだ。
実は、前日に一度予約を入れたのだが、「その時間帯に取材が入りますがいいですか」と。よほど「みざくらで~す」と言ってカミングアウトしようかとふと思ったけれど止めておいて次の日にした(笑)。
すっかり長寿となった「孤独のグルメ」は、主役のスマートな松重豊の清潔感(どんなに美男美女でも食べるときの所作や表情がきれいな俳優は少ない)が功を奏し、他の同様の企画の追随を許さない貴重な番組である。東京近辺が中心となろうが、ぜひスペシャルでは、全国の隠れた名店を紹介してほしいと思う。地方で頑張っている飲食店の方々の励みにもなることだろう。