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kohki_shiraishi
女性学生に対するLINEのセクハラ発言は停職処分に該当するか?(平成30年8月8日東京地裁)
概要
被告学校法人に雇用されその准教授として勤務する原告が、SNS「LINE」により女子学生に送信した会話内容がセクハラに該当するとして被告から停職1か月の懲戒処分を受けたところ、同会話内容はセクハラに該当しない、仮に該当するとしても停職1か月の懲戒処分は重すぎ、相当性を欠くもので無効であるなどと主張して、その無効確認を求めるとともに、雇用契約に基づき停職期間中の差額賃金及びそれに対する遅延損害金の支払を求めた。
結論
認容
判旨
准教授の本件LINEにおける言動は,セクハラ防止規程の「性的な言動により学生に不快感を与えて,当該学生の就学・研究環境を悪くすること」に当たると認められるから,准教授の本件LINEにおける言動はセクハラとして懲戒事由に該当するところ,本件LINEについては,少なくとも,教員とゼミへの所属を希望する学生という上下関係を利用して,デートすることを目論んだものとは認め難く,女子学生の返答ぶりも全体としてかなりフランクなものであり,准教授の一連の言動に対し明確な拒絶をしなかったことに照らすと,准教授が女子学生が困惑していないと誤信し,調子づいて一連の発言をしたことを過剰に非難するのは相当ではなく,さらに,准教授には懲戒処分歴がないことや,懲戒処分における事情聴取ないし弁明手続の中で,本件LINEにみられるような学生とのコミュニケーションの取り方を反省し,今後同様の行為を繰り返さないという趣旨を述べており,これらの事情に照らすと,大学が,准教授に対し,就業規則上懲戒解雇に次ぐ重い懲戒処分として停職を選択したことは重きに失するというべきであって,本件停職処分は,客観的合理的理由を欠き,社会通念上も相当と認められないから無効である。