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内部通報など不当な動機に基づく配転命令として、配転が無効とされた例②(平成23年8月31日東京高裁)

概要

控訴人(原告)に対する配転命令は、被控訴人(被告)会社の事業部長らによる取引先企業の従業員の雇入れについて、被控訴人会社のコンプライアンス室に通報したことなどに対する報復としてされたもので無効であるなどと主張して、損害賠償などを請求し、第一審は、配転命令には業務上の必要性があり、報復とは認められないなどとして、控訴人の請求を棄却し、控訴人が控訴をし、さらに、訴えを変更した。

結論

一部変更、一部認容、一部棄却

判旨

最初の配転命令は,転職者の受入れができなかったことにつき労働者の言動がその一因となっているものと考え,会社の信用の失墜を防ぐためにした労働者の本件内部通報等の行為に反感を抱いて,本来の業務上の必要性とは無関係にしたものであって,その動機において不当なもので,内部通報による不利益取扱を禁止した運用規定にも反するものであり,2回目及び3回目の配転命令も,いわば最初の配転命令の延長線上で,同様に業務上の必要性とは無関係にされたものであること,最初及び3回目の配転命令において職務の担当者として労働者を選択したことには疑問があること,最初及び3回目の配転命令は労働者に相当な経済的・精神的不利益を与えるものであることなどの事情が認められるから,最初ないし3回目の配転命令は,いずれも人事権の濫用であるというべきであり、3回目の配転命令については,労働者には就業規則記載の「正当な理由」があり,これを拒絶できる。
最初ないし3回目の配転命令が不法行為というべきものであり,2回目及び3回目の配転後の労働者の業務の状況は,顕微鏡又は品質保証についての基礎知識がないため,新人同様の勉強とテストを受ける以外にないこと,それにもかかわらずそのことを揶揄するような書面を交付されることは,労働者に対する侮辱的な嫌がらせであり,不法行為法上も違法である。

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