大学の准教授が、上司である教授からハラスメントを受けたとして、損害賠償を請求したことにつき、上司と大学の賠償責任が認められた例②(平成29年11月29日名古屋高裁金沢支部)
概要
本件大学の准教授である被控訴人(原告)が、本件大学の教授であった控訴人(被告)に対し、控訴人からハラスメントを受けていたなどと主張して、人格権等に基づく研究活動等についての妨害行為及び名誉棄損行為の差止め、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め(本訴)、
これに対し、控訴人が、被控訴人に対し、違法に本訴を提起されて応訴を余儀なくされ、また、被控訴人から暴行を受けて負傷したと主張して、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め(反訴)、
原審が、本訴請求のうち損害賠償請求を一部認容し、その余の請求を棄却し、反訴請求を棄却した事案の控訴審。
結論
一部棄却、一部取消
判旨
教授にしてみれば,准教授とは,経理処理問題や嫌がらせ行為の有無等を巡って相当に険悪な間柄であり,そのような准教授から振り向きざまに不意の衝撃を顔面に受けたことからして,准教授に殴打されたと考えたとしても,あながち不当とは断じ難く,教授のいう暴行の客観的真偽は措くとしても,それが全く根拠のないでっち上げであるとまではいえず,准教授から暴行を受けたと考えたとしても無理からぬものであったことからすれば,教授が暴行傷害の被害を受けたとして関係各所に対しその旨の報告や届出をしたことが,不法行為と評価されるものではない。