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アンシス・ジャパン事件(平成27年3月27日東京地裁)

概要

原告が、被告(コンピュータのソフトウエアの開発等を目的とする会社)が原告との労働契約上の義務として負う安全配慮義務又は労働者が労働しやすい職場環境を整える義務を怠った旨を主張し、被告に対し、民法715条の不法行為責任又は民法415条の債務不履行責任に基づく損害賠償(慰謝料)等を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

判旨

労働者の業務負担の増加や同僚Aとの関係悪化の原因については,Aの二人体制であったこと等業務遂行上の事情によるものと認めるのが相当であるから,会社は,これらの業務に伴い疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うというべきであり,会社が負荷の蓄積を防ぐよう監督権限を行使していたとは認められず,過失がある。

部長が、元従業員に対し、その心理的負荷等が過度に蓄積することがないように注意して指揮監督権限を行使していたと認めることはできないから、使用者である会社としても、会社が元従業員に対して負う注意義務を果たしていないと認めざるを得ないというべきであり、会社は、当該義務違反により元従業員に生じた損害について、民法415条に基づき賠償すべき責任を負い、また、部長は、元従業員の業務負担の状況や、他の従業員との関係に関して元従業員が精神的にも苦痛を感じていること等を認識し、又は少なくとも認識し得たものと認められるから、部長がこのような認識を持ちながら、元従業員に対する指揮監督権限を適切に行使しなかったことについては過失があるといわざるを得ないから、部長の使用者である会社は、元従業員に対し、注意義務違反により生じた損害について、民法715条に基づき賠償すべき責任を負う。

会社の注意義務違反により元従業員が精神的損害を被ったことは明らかというべきであるから、会社は、元従業員に対し、民法415条又は同法715条に基づく損害賠償として50万円等を支払う義務を負う。

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