見出し画像

【第1審】セクハラ等に対する慰謝料請求(令和2年1月20日徳島地裁)

概要

原告が、(1)被告A・Bから、労働組合の歓送迎会において、容姿を揶揄されるなどのセクハラ行為を受け、その後、(2)被告Aから、原告が上記(1)のセクハラをフェイスブックに投稿したことについてパワハラ行為を受け、さらに、(3)被告Cから、上記(1)の被告Aらによるセクハラ行為を否定されたうえ、原告が上記(1)のセクハラ行為をソーシャルネットワークサービスに投稿したことに関して一方的に非難されるなどのパワハラ行為を受けたと主張して、上記(1)について、被告Aらに対し、共同不法行為に基づき慰謝料及び遅延損害金の連帯支払を、上記(2)について、被告Aに対し不法行為に基づき慰謝料及び遅延損害金の支払を、上記(3)について、被告Bに対し不法行為に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めるとともに、被告B、被告A及び被告Cの使用者である被告・株式会社に対し、上記(1)ないし(3)の被告Bらの各不法行為に対する使用者責任に基づき、上記(1)について被告Aらと連帯して、上記(2)について被告Aと連帯して、上記(3)について被告Cと連帯して、それぞれ被告Bらに対する上記の各請求と同額の支払を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

要旨

本件歓送迎会におけるA・Bのセクハラ行為の有無について,Bが,女性従業員に聞こえる状態で,Cに対して女性従業員が性的対象となるかを尋ねるなどの発言をしたこと,これを受けたCが,女性従業員を指して「これはデブ過ぎる」などとその容姿を揶揄するような発言をしたり,Bとのキスを求める発言をしたりしたこと,及び,Cが,女性従業員に対してその意に反する性的な発言を繰り返したことは,いずれも女性従業員の人格権を侵害する違法な行為であるといえ,そして,A・Bの発言は,同人らが一体となって一連の流れの中でしたものであるから,共同不法行為に当たり,本件歓送迎会において,A・Bによる女性従業員に対する違法なセクハラ行為があったと認められる。
本件話合いにおけるBのパワハラ行為の有無について,Bの言動は,自らは記憶にないセクハラ行為を記載した記事をフェイスブックに投稿されたことについて,謝罪を求めようとしたことを契機とするものであったとはいえ,女性従業員をして身体への危害を加えられる危険を抱かせ,畏怖させるに足りる威圧的なものであったといわざるをえず,女性従業員の人格権を侵害する違法な行為に当たるといえるから,本件話合いにおいて,Bによる違法な行為があったと認められる。
本件歓送迎会は,本件労組の組合員のみを対象として,当該組合員の業務時間外に開催した歓送迎会であり,会社が当該開催の事実を把握していたなど,会社の関与があったといいうる事情は認められず,また本件歓送迎会の内容を見ても,専ら本件労組の組合員同士の懇親を図ることを目的としたものと窺われ,これと異なる事情は認められないから,本件歓送迎会が会社の事業の執行行為としてなされたものではないことは明らかであり,当該執行行為と密接な関連を有するものともいえないから,本件歓送迎会の中でのA・Bの女性従業員に対する発言は,会社の事業の執行についてなされたものとはいえない。
女性従業員は,本件歓送迎会において女性従業員が性的対象となるか尋ねるなどしたBの発言及び女性従業員の容姿を揶揄したCの発言により,精神的苦痛を被ったものと認められるから,女性従業員の精神的苦痛に対する慰謝料を10万円と認めるのが相当であり,また女性従業員は,本件歓送迎会においてCがした女性従業員の意に反する性的な発言により,精神的苦痛を被ったものと認められるから,女性従業員の精神的苦痛に対する慰謝料を10万円と認めるのが相当であり,さらに女性従業員は,本件話合いにおいて女性従業員に身体的危害を加えられる恐れを抱かせ,畏怖させるBの一連の言動により精神的苦痛を被ったものと認められるから,女性従業員の精神的苦痛に対する慰謝料を20万円と認めるのが相当である。

いいなと思ったら応援しよう!