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地位確認等反訴請求控訴事件④(平成28年9月12日差戻控訴審)

概要

業務上の疾病により休業し労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている被控訴人(1審反訴原告)が、控訴人(学校法人)から打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払を受けた上でされた解雇につき、被控訴人は労働基準法81条にいう労働基準法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、上記解雇は労働基準法19条1項ただし書所定の場合に該当するものではなく同項に違反し無効であるなどと主張して、控訴人を相手に、労働契約上の地位の確認等を求めたところ、上告審が、本件解雇が労働基準法19条1項に違反し無効であるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、本件解雇の有効性に関する労働契約法16条該当性の有無等について更に審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻した事案。

結論

認容(原判決一部取消)

判旨

一般に、労働者の労務提供の不能や労働能力の喪失が認められる場合には、解雇には、客観的に合理的な理由が認められ、特段の事情がない限り、社会通念上も相当と認められるというべきであるが、業務上の疾病による労務不提供は自己の責めに帰すべき事由による債務不履行とはいえないことから、例外として解雇を制限するが、その場合であっても、労働基準法81条の要件を満たし、同条による打切補償がされたときは、解雇までの間において業務上の疾病の回復のための配慮を全く欠いていたというような特段の事情がない限り、当該解雇は社会通念上も相当と認められるものと解するのが相当であるところ、本件は、労働者の労務提供の不能や労働能力の喪失が認められる場合に当たり、また、解雇までの間に業務上の疾病の回復のための配慮を全く欠いていたというような特段の事情はないから、本件解雇が、客観的に合理的理由がなく、社会通念上相当でないということはできず、解雇権の濫用に当たるとは認められない。

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