女王が負ける日 安田記念2021
誰だって負ける日はあります。
2020年の安田記念はあのアーモンドアイに土を付けたのが、グランアレグリアです。
グランアレグリアはその後、短距離女王の称号を得ることになりました。
そして、今年の安田記念、そのグランアレグリアが圧倒的一番人気として支持され、迎え討つ立場に変わりました。
アーモンドアイはヴィクトリアマイル圧勝後、この安田記念で負けました。グランアレグリアもヴィクトリアマイルを圧勝後、防衛戦に挑みます。中2週のローテーションこそが最大の敵、と言われた安田記念が始まります。
女王と挑戦者たち
グランアレグリア
2020年短距離女王。2021年は大阪杯に挑み、2着。ヴィクトリアマイルで貫禄勝ち。府中マイルへの適性は証明済み。中2週のローテーションはアーモンドアイが敗れた前年と同じ。今年は同じ立場になり、見えない疲れとの戦いとなります。
インディチャンプ
ステイゴールド直仔の最後の大物。一昨年の勝ち馬ですが、若い馬の台頭を許さずグランアレグリアに雪辱することが出来るでしょうか。
サリオス
3歳時はコントレイルのライバルとして、皐月賞とダービー2着。毎日王冠を古馬相手に完封したのはいいですが、それから厳しい戦いが続いてもマイルCS5着、大阪杯5着。ハーツクライ産駒らしく成長力を見せられるでしょうか。
シュネルマイスター
NHKマイルカップ優勝馬にして3歳馬としての挑戦です。3歳馬は古馬より4キロ軽く出走できますから、ある意味チャンスともいえます。
同舞台を制している3歳代表として、女王に挑みます。
ダノンプレミアム
かつて最優秀2歳牡馬に輝き、3歳時は大将格とされながら、ダービー6着に。しかし、古馬になってリスグラシュー相手に金鯱賞を勝ち、マイラーズカップを勝ち、アーモンドアイの天皇賞2着、インディチャンプのマイルCS2着とマイル〜中距離の活躍を見せます。海外遠征でも掲示板に載り、存在感示します。
他に昨年のNHKマイルカップ1着2着のラウダシオン、ケイデンスコールも前走勝ち上がりで好走した同舞台で勝利を狙います。
また、東京が得意なダイワキャグニー、ダノンキングリーも地の利を活かしたいところ。
いかにグランアレグリアが強いといっても、そこは春のマイル王決定戦の安田記念ですから、当たり前のように強豪が揃います。
横一線、抜け出たのは……
高速馬場で外差し傾向が強くなってきた東京競馬場、春開催も最後のG1となります。14頭というのが、少し寂しくもあります。
スタートは、カテドラルがやや出遅れて後ろから。
カデナ、カラテもダッシュが今一つで後方へ下げます。
幸先のいいスタートは内からギベオン、ダイワキャグニー、ダノンプレミアム、インディチャンプ、ラウダシオン、トーラスジェミニ。
その中でもダイワキャグニーが先頭へ躍り出ます。続くのはトーラスジェミニ。この2頭が先頭を争っています。2馬身くらいおいて、ダノンプレミアムとラウダシオンが二頭並んで、さらに2馬身おいてギベオン、インディチャンプ、シュネルマイスターと続きます。そのあとにサリオスとダノンキングリー。その後ろにグランアレグリアがいます。いつもより後ろ目にポジションをとっているようにみえます。かぶさるようにケイデンスコール。すぐ後ろにカラテ。外から上がっていくカテドラル。カデナが最後方です。
最初の600mは34秒9。
ペースは遅くはありませんが、ここから一気に加速します。
馬群は一段となっていきますが、先頭はまだダイワキャグニー、すぐ後ろにトーラスジェミニの態勢は変わりません。
4コーナーをまわっていきます。
ダノンキングリーとインディチャンプが先頭の二頭のすぐ後ろといういい位置につけ、外からはシュネルマイスターがまくってきます。
グランアレグリアはまだ後方馬群の中。ルメール騎手はどこでGoサインを出すのでしょうか。
直線に入って、先頭はダイワキャグニーががんばっています。
トーラスジェミニもまだがんばれそう。
グランアレグリアはまだ後ろです。反応が鈍そうです。
内でダノンプレミアムが一瞬いい脚をみせ、ダイワキャグニーをかわします。
差し馬たちが一列になって、先頭グループに襲い掛かります。
インディチャンプがじわりじわり、内からカデナ、外からシュネルマイスターとダノンキングリー。しかし、その列を割って伸びてくる馬がいます。
グランアレグリアです。
ようやく女王にエンジンがかかり、一気に伸びてきます。
インディチャンプが抜け出すも、グランアレグリアの猛追。
外からシュネルマイスターとダノンキングリーの併せ馬。
4頭横一線。
グランアレグリアが一歩前に出ます。
しかし、外からやってきたダノンキングリーの伸び脚が勝ります。
この2頭の、デッドヒート。
勝ったのはアタマ差、ダノンキングリーです。
女王グランアレグリア、敗れました。
タイムは1分31秒7。やはり速いタイムが出ました。
鬼門の中2週ローテ、女王は二度敗れた
昨年はアーモンドアイが、今年はグランアレグリアが。
圧倒的1番人気に支持された牝馬二頭は同じローテーションをたどり、同じ敗北を喫しました。能力的にはどちらも1枚上手でしょう。
ですが、G1の連戦による見えない疲れがあったとみるべきでしょうか。
レース後のインタビューでもルメール騎手はいつもより調子がよくなかったと語りました。それでも2着ですから、やはりポテンシャルは凄まじいものです。一方でダノンキングリーは得意コースで結果的に穴をあけることになりました。この馬だって、ダービー2着ですから、歴戦の勇士に違いありません。
ダノンはダノンでもキングリーの方が安田記念を制しました。
どちらかと中距離馬のイメージがあるダノンキングリーの今後の活躍に期待がかかります。
昨年はG1最多勝馬という紛れもない女王アーモンドアイを敗って、新しい短距離女王の誕生でしたが、そのグランアレグリアが、今年は敗れ、新しい短距離王が誕生するというこれもまた面白い競馬となりました。
一強だなんて、簡単に言ってはダメですね。
競馬の奥深さを知るレースとなりましたね。
それでは、またどこかのレースでお会いしましょう!