怪談と呪いと政治

怪談系のホラーゲームを作ると、怪談のテーマ選びに非常に難儀する。
その内一番気にしているのが、安直な呪いとか幽霊とかを絶対に出さないようにすることだ。
怪談心耳袋とか挙げたらキリがないが、そんなテーマは巷に幾らでも溢れているから除外しているかというと、そうではない。
そのテーマを扱うと突然リアリティの分断が起きるからだと思っているからだ。
何故か。結論から言うと、そんなもの本気で信じられてないと思っているかだ。
何が証明しているかというと政治の世界だ。

呪いとか幽霊の類いは確かに昔はリアリティがあった。
といっても1000年前だが、その頃は呪いを掛けることが実際に処罰対象だし、実際に呪いの効果が信じられていた。
実際に効果があるかどうかが重要ではなく、政治の取り扱う対象になっているかどうかが重要なのだ。
政治の世界はリアリズムが支配している。
科学的な裏付けではない。妄説だろうと何だろうと、利用価値があるかどうかという意味でだ。

もし本当に呪いに効果があると判断されるなら、当然今でも利用されているはずなのだ。
今の首相もそうで、これほど憎まれる存在もない。
本当に呪いとか幽霊の類いに力があるならとっくに利用されているはずだ。
あるいは実際に呪いの儀式はされているのかもしれない。だが残念なことに最長の在位だ。
(ひょっとしたら首相自身が呪術でなんとかしているのかもしれないがそんな話は特に聞かないし、くどいようだが法律で扱われないものを実際的と呼んではいけない)

呪術のあり方が法律で左右されるほどの重きが置かれているかというと、全然そんなことはない。

仮に想像してみればいいが、もし人を呪うことを刑法で禁止されたらどうなるだろうか、と。呪いの隠れたリアリティに気づくだろうか? そんなことはないはずだ。

つまり政治的に利用価値のないと見なされた時点で、リアリティとして既に死んでいるのだ。

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