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Mist
2019年5月9日 21:07
ぼくたちの背がすっかり伸びきって、あたたかな昼下がりより、夜をえらんで生きるようになったころ、部屋にはビールの空き缶が増え、夏もカーテンに包まれた青い部屋で四角い光に照らされる日がつづいた。過去と未来、夢と現実とが乖離してゆく道すじの中に立っていると、よけいにあの頃がまぶしくなる。青春が今でも胸をときめかせているのではない。もうそこにぼくがいないこと、二度と戻れないこと、忘れかけていること、何