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ポエム帳

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酔っぱらったときに書きます。
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2014年9月の記事一覧

愛していると云ってくれ

思えばぼくは昔、大人だったような気がする。まだそれは毎晩のように中島みゆきを聴いていたころ。夜行バスに乗って遠くまで連れ去られたのは、修学旅行だったかな。学生服を着ていたことは憶えている。ちょうどお酒を飲み始めたころだったかもしれない。ぼくはお酒に酔いながら、その慣れない浮遊感の中で、中島みゆきを聴いた。ばかだね、ばかだね、ばかのくせに、ああ……。なんて、彼女がすすり泣くように歌うものだから、ぼく

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FM

まるで季節が嵐のように去ってしまって、すぐ窓の外の公園からもいよいよ蝉の声が聞えなくなってしまったから、ぼくはラジオの電源を切って、甘い水を飲んで、汗のにおいのするシャツを洗濯籠へ放ったところ。そうしたら夜が明けようとして、あわてて引き止めた午前四時の空には、そわそわと帰り支度をはじめた星達が淡い。まるいグラスに注がれたウイスキーの、飲みはじめは霜が降りたみたいにつめたくて舌触りよいけれど、やがて

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ブランデーをワイングラスで

ざんげの値打ちもないけれど……

古い歌です。きっとみなさん若者たちは、知っているはずないでしょう。

ぼくはよく仕事をさぼっている。真面目に仕事をするふりをして、先輩に褒められて、その陰で、港に車を停めて昼寝をしているぼくがいる。だって、仕事が早く終わっちゃうんだもの。事務所に戻ってもやることないし、だからって制服姿でうろちょろするわけにもいかないし。

港に車とめて、上着を脱いで、汗をかいて眠

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