私が野木亜紀子と泰三子を好きな理由
ただ、私の好きな作家さんのはなし。
野木亜紀子さん(以下野木さんと表記)は、脚本家で、代表作は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』など。泰三子さん(以下泰さんと表記)は、元警察官の漫画家で、代表作は『ハコヅメ〜交番女子の逆襲』。こちらはドラマやアニメにもなって、広く認知され初めている。
私が二人を好きな理由は3つ。
・世の中な理不尽を、エンタメに乗せて、問題提起しているところ。
・しかも、それが、説教臭くない。エンタメに載せる、ってのが大事。社会派映画やドラマも数多くあるが、そうではなく、マスを相手にするエンタメに乗せているところ。
・それぞれの信念に基づいて、今まであまり描かれてこなかった人々の『生きづらさ』を描いているところ。
そこに私はものすごく共感しするし、気付かされる。
その生きづらさ、は、今までもたしかにあったけど、名前を付けて言われるようになったのは最近で、それを題材に声をあげられる様になったのはさらにここ数年じゃないだろうか。
それは、固く言えば、女性の社会進出や権利向上に伴う問題。
野木さんの場合、女性の仕事の仕方(妊娠出産すると出世しにくい)だったり、家庭の中の妻の役目(家事、育児は無休でやって当たり前、感謝されない)だったり。泰さんの場合、理解されにくい被害者の第二の被害や、女性警察官の苦悩だったり。
しかし、お二人が女性の機微を描くのが上手いからその視点ばかりかと言えば、そうではなく、その問題を、全ての人々の問題として、エンタメの題材(=企画が通る、になるくらいに)として、言語化してくれた。
それによって、あぁ、私、これのせいで生きづらかったんだ、って、理解、把握出来る様になった。
二人の描き方は、デモ隊みたいに「私たちは虐げられてきた」とシュプレヒコールをするわけでもなく。
政治家みたいに「こんな現実、このままでいいんですか!」と声高に問題提起だけするだけでもなく。
ただ、笑い、や、恋愛ドラマの中に自然と入れ込むことによって、ハッとさせられる。政治家やデモ隊が叫ぶよりも人々の心に引っ掛かって考えさせるきっかけになってる。
さらに、私が二人を信頼できるのが、二人の作品にはステレオタイプの決め付けられたわざとらしい人物が出てこないこと。
仕事ドラマでのあるあるは、
・弁護士が主役のドラマだと検事or警察が無能(検事が主役だも立場が逆なだけで同じような構図に)
・権力争いで主人公のやる事に全部反対するライバル医師
みたいな、主役を立たせる為にこの悪役います、みたいな構図は、よく見受けられる。が、正直、『悪役なのは分かるけどお前はお前の仕事をちゃんとしろよ?』と私は白けてしまう。
だが、この二人の作品には、それが感じられない。
悪人には悪人が主人公の物語がある、というのを、普通に、当たり前の事のように、数行の台詞で表現している。これが、二人の作品の共通点だと思う。
(犯行理由がない、不明だったりする人物ももちろんいるが、それもまた現実を見ているようで良い)
二人の作品からは、『これに気付いて欲しい』という熱烈な想いが信念として伝わってくる。だから私は二人の作品が好きだ。
これからも、二人の描く人間を見続けたい。
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