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所属事務所選びの参考資料:養成所と入所金(登録料)

お金の話をする前に事務所の仕事についてお話しします。

エージェントとマネージメント

俳優側の視点に立って考えると、日本の俳優事務所はスケジュール管理など俳優が現場に専念できる状態を維持するマネージメントの仕事と、俳優に代わって俳優をプレゼンして売るエージェントの仕事に分かれていると言えるのかもしれません。

どちらに期待して所属するか、とても大切な見極めだと思います。売って欲しい、つまりエージェント的な仕事に期待するのであれば、かなり自己管理に自信があることが望ましいです。

営業に特化するエージェントはエントリー、オーディション、衣装合わせ、本読み、ギャラ交渉、本番、請求業務、延長管理などのタスクを全て引き受けてくれるわけではありません。これらの管理にはスキルが必要で、慣れていないとミスが起こります。この仕事の不思議とも言える一面として契約書なしで本番を迎えることが多いので、ミスをして信用を失うと信用回復は容易ではありません。だから、エージェント寄りの事務所よりマネージメントもしっかり対応する事務所が主流になっています。

ところでマネージメントに期待するのでしたら、マネージメントが必要なだけの現場に出る実力が求められます。マネージメントにかかる費用を俳優の売上で捻出しないといけませんから。

でも売れる前にもマネージメントは必要です。では売れる前の経費負担はどうなってるのでしょう。

売れてる俳優が負担してる(その人も売れる前はその時点で売れている俳優が負担してくれてた)のが本来の姿のように思います。そんなの嫌だってことで(理由はそれだけはないですが)売れると独立する俳優が出てくるわけです。でも独立しない俳優もいます。その理由は担当マネージャーが事務所に所属してるので、そのマネージャーにマネージメントして欲しいからだったり、やがては売れる集団を次々に生み出す事務所ならバーターをはじめとして事務所の名前で信頼と仕事を得ることができるから、などが考えられます。

さて、売れてない・売れない俳優しかいない事務所はどうしたらいいのでしょう。あるいは売れてる俳優の売上はその俳優のために使うことに重きを置いてる事務所はどうしたらいいのでしょう。

今一度、俳優事務所の仕事について、今度は俳優事務所の視点で考えてみましょう。

見つける・育てる(見いだす)・売る・守る→養成所???

この4つの仕事でお金が生まれるのは「売る」だけのはずでした。この仕事はハイリスク・ハイリターンです。会社という組織は大きくなればなるほど、古くなればなるほど、ローリスク・ローリターンに傾きますよね。それで生まれてきたのが「育てる」で儲けるという手法だったのではないでしょうか。

ミッシングピースには養成所はありません。演技セッションや映画監督にお願いして所属者のみ参加の演技ワークショップや模擬オーディション、ナレーションレッスンなど、俳優の魅力に磨きをかけて隠れた才能を見いだす努力は不断で行っていますが、所属者からお金はもらっていません。大手事務所にも同じように所属俳優からお金を取っていないところもありますが、大手事務所であっても、あるいは大手事務所の下部組織の形でレッスン料を徴収してるところがたくさんあります。

ものすごく厳しい養成所もあって、そういうところは2年制か3年制で、途中で進級できないとか、卒業してもほとんどの人が所属になれないのです。厳しいなと思うけど、健全だなとも思います。

またまた閑話休題
日本人は教育にお金を出すのが好きなように感じます。でも演技に関するお金について、勉強するには(人から教えてもらうには)支払わないといけませんが、例えばキャベツ1個200円みたいに、これくらい払えば、これくらいのバリューはもらえる訳ではないことを知ってて欲しいなと思うのです。
○万円払ったから、その値打ちに見合う何かが手に入る訳じゃないことを本気で考えた上で、養成所に通うかどうかを決めた方がいいのではないでしょうか。


入所金って何?

入所金や登録料というのは
モデル事務所からの発想です(モデル事務所はマネージメントよりエージェントに特化しています)登録料はエキストラ事務所の発想でもあります。

モデル事務所は老舗さんは個人事業主の集まり、商店街のような感覚です。(海外も同じようです)オーディション情報をくれるので、どんどんオーディションに行くのです。オーディション情報を得るためにその事務所にどんなモデルがいるのか、カタログを作ったりホームページを作ったりするのでお金をみんなで分担するという考え方です。登録料は5万〜10万くらいじゃないでしょうか。私はモデル事務所とはあまりお付き合いがないので詳しくはないですが。

ちなみにモデルはプロフィールブックを自分で作ります。プロフェッショナルのモデルさんは何十万もかけてブックを作るそうです。

エキストラも同じような感じです。ただしこちらは登録料は安くて1万円とか五千円とかです。登録した以上は仕事をして、せめて登録料を取り戻したいって思わせてるのかなと想像します。エキストラは数が必要なので(例えば競馬のCMなどでは一日に300人集めたりします)1万人とか登録してる事務所もあるようです。(1万人で1万円の登録料だと、1億円ですね。。。)

ミッシングピースはモデル事務所ではないですし、エキストラ事務所でもないですから、登録料や入所金はありません。