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【前編】下田ひかりさん 2020年発表作品への感想

※2021/05/08追記 
本文中に作品画像(引用元付き)を挿入しました。掲載をご許可を頂きありがとうございます!

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こんにちは、ナツメミオです。

少し前に、下田ひかりさんのTwitterにて、国内のグループ展へ参加する旨が発表会されました。海外で展示を行うことが多い下田さんにとって久しぶりの日本での展示に、わくわくしているファンの方もいらっしゃるのではないかと思います。

そこで、グループ展を前に、改めて2020年の下田ひかりさんの作品を振り返れたら…と考えました。

正確には、2020年末に下田ひかりさんがツイートされた「2020年振り返り」を元に、私がツイートしていた作品感想のまとめです。

基本的には当時の私のツイートそのままとなりますが、多少の加筆修正を行なっております。

下田さんの作品解説は2020年12月26日〜27日の2日間に渡って行われたのですが、私自身は当時1日目の分しか感想を書けておりませんでしたので、こちらにツイートをまとめると同時に、2日目に紹介された作品についても感想をまとめていく次第です(2日目分は後編として更新します)。

それではまず、1日目に紹介された作品に対する感想を述べたいと思います。

なお、まだまだ考察に至るほどの知見が無く、個人的な感想の域を出ていないことを、あらかじめご了承頂ければ幸いです。

▶︎下田ひかりさん個展『沈黙と肯定』ステートメント

こちら↑のツイートに続くスレッドにて、個展ステートメントの全文を読むことができます。

個展ステートメントを読んで

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引用元:https://twitter.com/hikarishimoda/status/1342831010329681921?s=21


個展に対する解釈は作品の感想を踏まえて行いたいため記事後編に譲りますが、大切なキーワードは個展タイトルでもある『肯定』でしょう。

沈黙はそれに付随するものであり、あらゆるものによる不可侵を示すものであり、「沈黙することも肯定されて欲しい。その権利を侵害しないで欲しい」という願いのように感じました。

それでは作品への感想に移ります。

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▶︎『存在の肯定(2020)』

作品ステートメントの全文は、上記引用ツイートのツリーからご覧頂けます。


下田さんの作品の大きな特徴とも言える極彩色が、このポートレート(の人物部分)からは失われています。背景も、これまでのポートレートと比較するとややシンプルで柔らかな色味であるとも言えます。

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引用元:https://twitter.com/hikarishimoda/status/1342831836242690049?s=21

しかし彩度の高い色が失われても、紛れもなく下田さんの作品であり、そこに大きな意味のある作品です。

ステイトメントにもあるように

人は(私は)「色」に囚われず、もしくはどんな「色」であったとしても、その個性を声高に叫ばなくても、そんな必要すらなく、認められ肯定される世界であるべきで、そうなるよう願っています。

引用元:https://twitter.com/hikarishimoda/status/1342831842328604676?s=21

この願いが『存在の肯定』には痛いくらいに込められています。

属性には様々なものが挙げられますが、例えば人種については未だに差別的な行動が取られるのが現実です。このコロナ禍以降、アジア系の方が海外で暴行を受けたり、トランプ元大統領は「Chinese Virus」という言葉を使うことで痛烈に武漢を批判したりと、目に見える形で差別行為が行われてきました。

また、黒人男性フロイドさんが白人警官によって死に至った際には、集団感染も厭わないとでも言わんばかりの大規模なデモが発生しました。ある意味では、命の危機に晒されているコロナ禍にあっても、人権を守ることは最優先として考えられるべきことだという「本能的とも言える願望」であることが示されているとも言えるでしょう。(※パンデミックにおけるこの行動が正しいかどうかについては、答えを見送らせてください)

下田さんの言うように「その個性を声高に叫ばなくても、そんな必要すらなく、認められ肯定される世界」が訪れることを、願ってやみません。


▶︎『神様の行方(2020)』

作品ステートメントの全文は、上記引用ツイートのツリーからご覧頂けます。

下田ひかりさんといえば『神様の行方』シリーズ。

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写真:ナツメ私物・画集『この星のゆくえ』


このシリーズはチェルノブイリ・ネックレスが示すように3.11の影響が大きいのですが(画集参照)、個人的にハンス・アスペルガー(アスペルガー症候群の名の由来となった小児科医)を思い起こすことがあります。

彼はナチスが行った「障害児安楽死作戦」から子どもたちを救った医者と言われていました。

しかし近年発見された史料によって、実は自閉症の中でも高知能な子ども以外は「用無し」とでも言わんばかりに収容所に送っていたことが判明しています。

まるで、神と崇められていた医師がそうではないとわかり「救いはどこにあるのか」と空(くう)を見ているように見えるのです。

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引用元:https://twitter.com/hikarishimoda/status/1342832893643517952?s=21

あるいは、凸面として描かれている瞳が見方によっては凹面に見えることがあるため、当時ナチスが障害者を安楽死(殺害)させたあとに眼球などのパーツをコレクションしてたことを彷彿させるのかもしれません(※個人的な見解です)

当時の感想ツイートはこちら(ツリーでの言及です)→ https://twitter.com/misosjp/status/1343013583190290432?s=21


▶︎『夜に潜む(2020)』

作品ステートメントの全文は、上記引用ツイートのツリーからご覧頂けます。


『夜に潜む』については ステイトメントとは全然違うのですが、不思議と真っ先にクローン羊のドリーを思い起こしました。そういえばドリーも安楽死させられたんですよね…

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引用元:https://twitter.com/hikarishimoda/status/1342832276485275649?s=21

人工的に複製させられて(受精ではない)、人工的に死に迎えさせられる。仮にドリーが意思を持ち、自分の生い立ちを理解できたなら、世界からの疎外感と孤独は計り知れないんじゃないかなと…印象論になってしまい恐縮ですが、そんなことを考えながらステイトメントを読みました。

当時の感想ツイートはこちら(ツリーでの言及です)→ https://twitter.com/misosjp/status/1343015485378420741?s=21

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→後編に続きます(準備中)

2020.12〜2021.05.
文責:ナツメミオ

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