月
※文章の音声化についてはこちらをお読みください。
https://note.mu/misora_umitosora/n/nc76e754673e5
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窓を開けた。
すっかり秋めいた風が頬をなでる。
夜空には十五夜お月様。
その輝きを邪魔しないようにそっと部屋の電気を消した。
皓々と、でもどこか優しい月光を浴びながら君を想う。
夜の散歩が大好きで、「月明かりは嫌なことを忘れさせてくれる」と言っていたね。
君もこの満月を見ているのかな。
少し人恋しくなって携帯電話に手を伸ばした。
短いコール音。
「もしもし」それきり黙った僕に「月が綺麗だね」と君が言う。
月はただ穏やかに僕達を見ていた。
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皓々と:こうこうと
想う:おもう
人称や語尾変更ご自由にどうぞ。