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対面

※文章の音声化についてはこちらをお読みください。
https://note.mu/misora_umitosora/n/nc76e754673e5


命を弄ぶ者。
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やっぱりあんたか。
俺に辿り着くとしたらあんたしかいないと思ってたよ、刑事さん。

ああ、最後の死体に残した痕跡はあんたへのメッセージだった。
俺の作品を見て的確に俺の人物像を言い当てたあんたへのね。
他の連中の目は節穴だ。
中途半端な経験や常識に囚われて見当違いな捜査で右往左往するばかり。
最初は警察って組織に挑戦する気持ちもあったんだが、そんなもんはすぐに失せた。
……そう、あんたが来るまでは。

あんたが来てからの警察の動きには目を見張るものがあったよ。
俺は楽しくてしょうがなかった。
あんたもそうだろ?
犯行現場から数少ないヒントを探し当てそこからあらゆるパターンの可能性を考える。
行動の痕跡から犯人像を分析し、次の手を打つ。
犯人は警察の動きを読んで捕まらないように犯行を繰り返す。
最高の知的ゲームだ。

なに、否定することはないさ。
だってあんた犯人である俺の思考を読んだんだろ?
だったら解るよな、このゲームの楽しさが。
様々な証拠から犯人像を絞り込めた時、快感を覚えなかったか?
次々に起こった殺人事件を前に手加減なしで自分の頭脳を使えると喜ばなかったか?
俺の残した作品達を見て次はどんな展開が待っているのか楽しみだと思ったんじゃないか?

あんたは俺と同類だ。
無能共に囲まれる日常に退屈し、自分の頭の使い道を探してる。
もっと自分の能力を活かせる場を求めてる。
違うか?

ふふ。
まだ自分の願望に気付いていないみたいだな。
まあいいさ……今日はもう帰るよ。
あんたと直接話がしてみたかった。
楽しい時間をありがとう。
ゲームはまだまだ続く。
俺を止めないともっと沢山の人が死ぬよ?
それじゃあね、刑事さん。

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アドリブによる台詞の追加やアレンジ、人称や語尾変更ご自由にどうぞ。

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