雨
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https://note.mu/misora_umitosora/n/nc76e754673e5
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冷たい雨から逃げるように、その木の下に駆け込んだ。
ずぶ濡れで寒くて怖くて震えていた私に声を掛けてくれたね。
ありふれた世間話。
雨音ばかりが耳について苦しかったから凄くホッとしたのを覚えてる。
どうして雨に濡れていたのか。
どこから来たのか。
何も聞かない優しさが嬉しかった。
ずっとここにはいられない。
いつかは雨も止んでこの雨宿りもお終い。
ここに集まった人達もそれぞれの目的地に向けて歩き出す。
優しい偶然はそこで終わるのだ。
それでも、もう少しだけ。
せめてこの雨が止むまでは。
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