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注意欠如のオタク、台灣に行く。(3)地獄の15時間耐久、初日移動編

どうもこんにちは。

さて、このシリーズはちょっと台灣(以下台湾表記)に行ってみたオタクの記録、5回目である。(タイトルの数字とずれていて申し訳ないが)
私にとって今回の旅行が初めての台湾で、最初から最後まで自分で手配する海外旅行も初めてだった。後の自分への覚書として残しておこうとnoteを書いている。続き物である。毎回似たような書き出しで申し訳ない。あと毎回予告と実際のタイトルが変わっているが、予定は未定なのでそういうものだと流してほしい。

今回は『地獄の15時間耐久、初日移動編』
先のnoteで少し触れたのだが、実は欠航トラブルがあり、私の初台湾旅行は波乱の幕開けだった。
今回は主にそのお話。ここを読まれた方には私の屍を超えて行って欲しい。そしてLCCを検討している方にはリスクをしっかり理解してほしい。
あまりにも大変だったので1日目の話だけで12,000万字を超えてしまった。

前回のnoteはこちら。内容は持っていってよかったものまとめ。

一応、これまでのnoteを読まれていない方に説明だけしておくと、このnoteのシリーズに出てくるレギュラー登場人物は私と、旅の同行者のMさんの二人。

以下、いつもの自己紹介なので慣れている人は読み飛ばしても大丈夫。はじめましての人はここからどうぞ。

私の名前は三十と書いて「みそ」と読む。普段は普通にそのへんで働きながら、オタクに精を出す元気があったりなかったりしながら生活している。
ADHD、虐待サヴァイバーで複雑性PTSDの診断持ち、通院投薬治療しながら生活している、どこにでもいる成人である。
「いきなりそんな重めの個人情報出されても…」と思われるだろうが、息をするように注意欠如や思考多動のエピソードが出てくるのではじめに書いておく。
あと、こういう人間はどこにでも(言うとか言わないとか外から見てわかりやすいとかわかりにくいとかは人それぞれだけど)いますよ、既にあなたの隣人ですよ、という気持ちも込めて。

元々の初日の予定

波乱の幕開けの詳細をお話する前に元々の初日の予定を書いておこう。ざっくりとこんな感じ

  • 7:55   離陸

  • 10:20 (現地時間)台湾着 空港内でシャワー

  • 12:30 台北市内ホテル着、荷物を預けて近所で昼食

  • 14:00 猫空へ移動

  • 16:00 Mさんと猫空で合流、一緒に夕食をとってぶらぶら

では、この日程がどうなったのか。

地獄の幕開け 移動開始はAM3:30

何度かこのシリーズでも触れたのだが、今回私はLCCで航空券を手配した。日本国内で最もメジャーな、LCCといえば誰もが想像する、特徴的な色のあの会社である。
予約していた便は搭乗時間が7:40、7:55離陸。旅行前に送られてきた代理店からの案内には5:30にチェックインカウンターにいけとの指示があった。
我が家から関空までは2時間かかるのだが、5:30集合は流石に早すぎない??なんとか6:00頃到着のルートはないだろうかと検索しまくるもあえなく惨敗。深夜に家を出るべくタクシーを手配した。

3:30 タクシーで家からバス停に向かい、4時過ぎ発の空港送迎バスに乗り替えた。1時間ちょっとバスに乗っている時間があるので、その間仮眠できれば少し楽だろうと考えつつ指定席に向かうと隣の席(予約した時点では空席)には非常にガタイの良いサラリーマンが。

この時点で正直、めちゃくちゃ嫌な予感がした。

念の為申し上げておくとこのリーマンは失礼な方とかではない。ただ、バスの座席幅がかなり狭く、そしてリーマンの体はめちゃくちゃ大きい。普通に私の倍ある。骨格と肉の厚みの問題で、どうしても幅を取る。つまり私のエリアが侵食される。そして爆睡しておられていびきがすごい。バスは満席で移動することもままならず、結局一睡もできないままバスの中で過ごした。
ただただ運が悪い。スタートの時点で不穏である。

5:00 少し早めに関空に到着。

始発便なので誰も居ない

5:30 カウンターが開くのを少し待って、チェックインを済ませる。カウンター職員が早朝から苛ついており、ここでも不穏ムードは続く。
「早朝出勤きついんだろうな、お値段も安いからな…」と、旅の浮かれ気分で無理やり頭を切り替え、ほぼ無人の関空の写真なんかを撮りつつ、保安検査へ向かった。

6:00 いつもは行列の保安検査も流石に早朝で人が少ない。私のやらかしにより新品の日焼け止めジェルを没収され(前回note参照)「あかん感じが重なるなぁ……」と考えつつゲートへ。
あまり利用したことが無かったのだが、LCC(ほぼ)専用の関空の第2ゲートには驚くほど店が少ない。その中でも早朝からやっている薬局を見つけ、同じ轍は踏まないぞと固形の日焼け止めを購入し、搭乗時間を待つことにした。

早朝過ぎてゲート付近のお店も空いていないので、コンセントの近くのカウンターに位置取り、持ってきたガイドブックを眺めて、気になったお店をひたすらグーグルマップのリストに突っ込んでいく。
旅慣れた友人に教えてもらったのだがグーグルマップのリストは人を指定して共有ができる。今回は『台湾旅』というリストを作成し、Mさんと共有。これでお互いに気になる場所をこのリストにとにかく突っ込んでおけばなんとなく行きたいエリアが見えてくる。
私もMさんもギチギチに予定を決めるタイプではないので、気軽に気になったところをマップに追加してお互いの興味のある店を見て楽しんでいた。
友人やパートナーと旅行に行く方にはおすすめの機能である。

リストの共有機能に関してはこちらの記事がわかりやすい。

7:10 リストを編集しながら、少し後の関東発便に搭乗予定のMさんとお互いの状況報告をLINE。そろそろゲートの近くの席に移動しようと考えているとアナウンスが流れてきた。搭乗時間の変更かな?と耳を済ませるも聞こえてきたのは地獄の15時間耐久運動会、開催ゴングであった。
鐘の音はたどたどしくこう告げた。

「機体メンテナンスのため欠航いたします」

なんて????

搭乗時間30分前に欠航が確定

人間、信じたくないことが急に起きるとフリーズするものだ。3秒ほど固まっていたと思う。フリーズしてる場合じゃないなと正気を取り戻し、今後の対応を聞きにLCC職員のいるゲート付近に向かう。
この時点では欠航いたしますというアナウンスだけがスピーカー越しに繰り返されており、その後の対応が全くわからなかった。職員のところに向かい、尋ねてみると今後の対応については後ほど別途アナウンスがあるとのこと。それをアナウンスで言ってくださいよ、と思いつつ航空券と保険のバウチャーを取り出し、緊急時の連絡先の電話番号を探しながら待つ。事前に電話番号にマークとかしておくべきだったな。

7:20 10分ほど経ったころ、おもむろにLCCの職員が叫びだした。マイクを使ってのアナウンスもされていたが、文章が非常にわかりにくく、読み方もたどたどしくとぎれとぎれで、読んでいる職員も不慣れなのがビシビシ伝わってくる。勤務2日めのアルバイトが無理やり責任を負わされたかのようで悲壮感が漂っていた。とにかく並べというアナウンスに従い、よくわからないままに並んで渡されたのはA4用紙2枚。

1枚は欠航証明書。旅行保険の適応時に必要になるはずだが、これは申し出ない限りもらえなかった。(大丈夫か?)
もう1枚は今後の対応に関してである。紙、曰く、

  • 対応は2択

  • 該当LCCの後続便に振り替えが可能(振替便の時間等詳細の記載はなし)

  • もしくはキャンセル+払い戻しが可能(該当LCCの詫びポイントが付く)

  • いずれの選択においても職員は作業をしない。乗客は紙に記載されたQRコードを読み取り、自分ですべての手続をすること。

  • 振替をする場合は職員に申し出に来ること。

  • 職員は質問には答えられない。

  • 旅行代理店を通して予約している人は本人がキャンセル作業できないので代理店になんとかしてもらうように。LCC側では何も出来ない。

A4用紙には振替便の情報が何もなかったのでモニターを見に行くと後続便は17:40発。繰り返すがこの時点では7:20、振替便はおよそ10時間後である。
17:40の便に乗ったら台湾に到着するのは現地時間で20時前後、ホテルに到着するのはおそらく22時過ぎになるだろう。AM3:30に家を出て到着が22時過ぎでは確実に一日をドブに捨てる事となる。これは大変なことになってしまった。

代理店電話と検索の反復横跳び

7:30 嘆いていても仕方がないので、とにかく先程調べた代理店関係の窓口に片っ端から連絡することにした。
そう、私は代理店経由で飛行機の予約をしていたのである。キャンセルしたくても自分では出来ない。

まずは旅行保険のトラブル窓口に電話、繋がらない。
管轄のチケットセンターに電話、繋がらない。
空港内代理店事務所に電話、やっと繋がる。

この時点では代理店経由で別会社の代替便を取り直して貰った方が、保険や返金の処理など複雑にならずに良いのではと思っていた。しかし繋がった代理店からは、
「振替はどの航空会社の便であっても一度キャンセルし、取り直す処理になる。チケットのキャンセルはチケットセンターの管轄なので、別の航空会社の便を探して取り直すにしてもセンターの営業開始である11:00まで事務所側では何も出来ない」との返答。
流石に5:30から関空に来ていることも代理店は理解しているので「きついですよね……」と同情の一言。
センターの営業時間前にも連絡して、繋がり次第コールバックさせるが11時に自分で電話してもらったほうが早い可能性もあります、と言われる。そりゃそうだ、確約できまい。
なお、往復で予約しているため往路のみキャンセルは出来ない。「キャンセルする」ということは、つまり復路の航空券も無くなるということだ。
希望の日程の航空券が既に埋まっていたら(こうしているうちにキャンセルした人たちが押さえていったら)『詰み』である。

8:00 とりあえずできることをしようと、振り替えられそうな別航空会社の便を検索しながらゲートでコールバックを待っていると、欠航LCCの職員達が引き上げ作業を始めた。振替するかどうかもまだ決められていないので(一応最悪の選択肢として残していた)LCC職員にも報告しようがない。慌てて聞きに行くと、
「今後の対応が決まっていなくても一旦ゲートから出ていってくれ」と告げられる。

え?まじで?ゲート出て???預けた荷物とかどうなんの?

悲しいかな、この質問に答えられるLCC職員は誰も居ない。
この疑問を職員に質問している最中に別の職員が割り込んで来て、私と話していたはずの職員を連れて行ってしまった。私(客)のことはガン無視である。『お値段相応』の枚挙にいとまがない。
最安値のLCCのお値段相応とはそういうことだ。職員の対応能力、コミュニケーション含めてのお値段なのである。このLCCに関しては職員にまともな研修もしていないのだろうという背景がひしひしと感じられ、安さの裏側にあるものを強く意識した。でも、これだって今の日本の企業努力のひとつなのだ。

ゲートから放り出され、ほとんど人がいない通路を困惑しながら進んでいると、途中に居た警備員のおじさんが同情の眼差しであっちだよと順路を差して教えてくれた。LCCの職員より有能……。おじさんに幸あれ。
教えてもらい向かった先でなんとか預け荷物を回収する。

検索して見つけたいくつかの空路に目星を付け、まずは第1ターミナルに戻ることにした。
第2ターミナル発着の航空会社は少なく、別会社の直後の台湾便もチェックインの時間が過ぎている。欠航したLCCの10時間後の振替便に乗らない限りここに用は無いのである。
そして先程までのもろもろの対応を含め、私は既に「このLCCは私向きではない、安くても乗るべきではなかった。今回のは勉強代だ。」という結論を出しつつあった。

移動の途中代理店からコールバックがある。今回航空券と旅行保険を同時に申し込んでいたため、代理店には以下のような確認をお願いしていた。

  • 航空券を予約する際オプションとして保険に入ったが、航空券をキャンセルだけする場合(つまり振替便を代理店経由で予約しない場合)、保険だけ残す事はできるのか?

  • 航空会社都合のキャンセルのため、当日キャンセルによる規定のキャンセル料(ペナルティー全額)は掛からないか?

保険がどうなるのかというのが私の中でネックだった。保険ごとキャンセルになる場合、取り直しではみ出る航空券代は全て自己負担となるが、保険を残せるならば30,000円まではカバーされるはずだ。
結局、保険のみ残せる、キャンセル料は掛からない(手数料は掛かる、3,000円程度)という言質が取れたため、チケットセンターの営業開始11:00までは待てないので自分で予約を取り直す旨を伝える。
キャンセル手続きを進められるよう、チケットセンターの営業開始次第代理店側から再度コールバックしてくれることに。

ターミナルを移動し、代替便を確保

9:00 ターミナルを移動する間にJALやANAなどの日本の航空会社は既にチェック済、しかし保険が適応になったとしても予算が折り合わない。当日ということもあって、片道10万円を超えてしまう。
こうなると空港現地にせっかくいるのだからカウンターを見に行ったほうが早い。スマホで検索は便利だが、アレゴリズムの関係で検索に登ってきにくい情報もあるからだ。
検索に登りにくい海外の航空会社に狙いを定め、カウンター周りのチェックイン開始時間モニターを見比べながらネットで検索。空席の有無とチケット代を比較検討して、なんとか13時過ぎ発の航空券を取ることが出来た。
幸運なことに予算もさほど飛び出さず、旅行保険の保障でまかなえる範囲内である。もっと早く見切りが付けられていたら午前中発の便にも滑り込めただろうが、それは言っても仕方がない。
トラブルに見舞われまくったここまでの2時間弱、MさんはずっとLINEで愚痴を聞き、励ましてくれていた。やさしすぎる。

休憩のちチェックイン、風向きが変わり始める

9:10 チェックイン開始時間は10:45、しばらく時間が空いたので空港内で朝食を取ることに。3:30に家を出ているので普通にお腹が空いている。
朝マックで充電をしながらホテルに連絡。私とMさんは現地集合、現地解散である。ホテルの予約は私の名義で取っていた。元々は私の方が先に台湾入りする予定だったのだが、欠航トラブルでMさんのほうが先に到着することに。ホテルにMさんの本名を伝え、チェックイン時の対応の話をしておく。
今回予約したホテルにはLINEアカウントがあり、そこからやり取りが可能だった。(英語、台湾語)

10:00 チケットセンターからコールバック、業務時間外にも関わらず対応してくださり、無事保険を残してキャンセル手続きを終える。

10:30 少し早いがチェックインカウンターに並ぶ。既に長い列が出来ている。当日予約で事前チェックインが出来なかったので直接並ぶべきか悩んでいると、JALの職員がやってきて丁寧に教えて下さった。おや……?

すったもんだの末、最高の航空会社に出会う

私が予約を取り直したのはSTARLUX航空。台湾の航空会社である。
なぜJAL職員が案内を?とその場で調べると、日本でのカウンター業務はJALが提携担当しているらしい。
えっ?LCCと殆ど料金変わらないのに(誤差数千円)????

台湾の航空会社とあって顧客は台湾の方が多いようで、カンターに並ぶ列の周囲は殆ど台湾語。私は一応中文学習者なのだが、リスニングが弱すぎて全く聞き取れなかった。我ながらこの状態で台湾に行くの凄いなと思う。
早朝LCCのゲートで一緒に絶望を味わった人たちも何人か並んでおり、謎の連帯感を抱く。

11:00 少し遅れてカウンター営業が開始しチェックイン。2時間前にスマホで予約したため事前チェックインもバウチャーも無く、予約番号画面だけを握りしめて向かったが、パスポートだけで予約を呼び出し迅速に処理して下さった。流石である。
もちろん値段が全く違うのでLCCとJALを同列に扱ってはいけないが、JALの職員は圧倒的に練度が高い。ちゃんと育てられている。研修の充実、企業が人を育成する姿勢が読み取れる。
お金を払うということはこういった教育システムを支えるということなのだよなと、LCCを選んでしまった私の行為が招いている『安かろう悪かろう』の未来に、なんとも言えない気持ちになる。
複雑な気持ちを抱えつつ、5時間ぶり2度めの保安検査を終え、少しゲートで過ごして、今度こそ無事搭乗。

12:40 客室に入って驚いた。席が、広い。

サイドから見た様子
真上から見た様子

STARLUXが台湾の新しい航空会社ということは知っていたのだが、あまりにも値段が安いので客席ピッチは狭いだろうと覚悟していた。しかし広い。
テーブルや棚の配置など細かいプロダクトデザインが行き届いていて、脚を組んで座っても前の座席の背もたれまで10センチほどゆとりがある。

脚を組んでみたところ

機体も新しくてきれいで、シートも肉厚だ。そして明らかに客室乗務員の数が多い。私はSTARLUXを使うのが初めてだったので値段だけでLCC便なのかと勘違いしていたのだが「あれ?これ違うな??」とこのあたりでようやく気づく。(遅い)

帰国してから調べて知ったが、STARLUXはエバー空港創業者のご子息が創立された航空会社だそうだ。ローンチ直後にCovidが流行してしまったため、日本での知名度がまだ低いそう。
私が広さと快適さに驚いたシートはBMXグループによるデザイン。これも後から知ったのだが、客室乗務員たちの移動専用バスはVOLVOだった。なんかすごい。

ようやく搭乗した12:40時点で既に家を出てから9時間以上経っている。
3:30に家を出るために2:00すぎに起床しているし、前日は夜まで仕事だったため4時間ほどしか眠れていない。空港へのバスでは仮眠できなかったし、台湾の空港のシャワーで整えようとメイク道具一式を入れた重たい手荷物を持ち歩き、私はもうヘトヘトである。
ふかふかのシートの快適さに感激するのも束の間、離陸前に寝落ちてしまい、次に目を覚ますと飛行機は櫻島の真上あたりを通過中だった。

飛行機であまり眠れないタイプなので、ぐっすり眠れたことに驚きつつも、私の席のあるセンターブロックから少し遠い窓を眺めていると更に驚きの展開が訪れた。
機内食(美味しい)が、出た。

デザートとフルーツが別で出た。フルーツは台湾のもので、グアバが入っていて嬉しかった。

関空から台湾はせいぜい3時間程度の航路である。LCCと勘違いしていたこともあり、まさか機内食が出るなんて想像もしていなかった。しかも軽食レベルではなく、ガッツリしたやつである。飲み物も普通にもらえる。ブランケットも言えば持ってきてもらえる。(機内通用言語は英語と台湾語)
お手洗いも美しい。機内での着替えが想定されていて広く、子供を連れて行って隣で大人が見守れるサイズである。嫌な話だが子供が機内で性加害にあうニュースもあるぐらいなので、こうして大人が見守れるのはすごく良いなと感じた。

映っていないがティッシュケースの上側には
大きな鏡もある。
便器の左手に大人がひとり立てるスペースがある。

私の混乱はピークに達した。なにこれ?あまりにも良すぎる。
もしかして追加料金を請求されるのではとまで一瞬思った。

各座席にコンセントも完備。LCCの場合、コンセントが無いこともある。

結局追加料金を請求されるようなことは全く無く、ただ単に低価格できれいで最高のサービスで台湾まで送り届けられただけであった。
狐につままれたような気分で台湾に降り立った時、今度から台湾に行くときは最初からこの会社で予約しよう、と固く誓った。
STARLUX、お前しか勝たん。

機内食を完食後は映画を見たり、スマホのSIMを現地SIMに入れ替え設定を確認したりして過ごした。
モニターの下にテーブルとは別の小さなトレーがあり、飲み物と小物が置けるようになっている。トレーの内部には滑り止めのウレタンが貼られており、小物が転がりにくい仕様だ。

トレーの黒いところがウレタンマット。
前方左下のコンセントとは別に、モニターにもUSBコンセントがある。

台湾到着、入国審査と両替

15:45 (以下現地時間)桃園空港着陸。
機内でリラックスしすぎて入国カードを書き忘れていた事に気がつく。空港が広大でどこに行けばカードがあるのか迷ったが、そのへんに居た人に訪ねて事なきを得た。グーグル翻訳の画面を見せればなんとかなる。

桃園空港の入国カードの机、
日本語訳を書いた指示書を置いてくれている。
あまりにも日本人に優しい。

書き終わって顔を上げると、ちょうど目の前を日本人のカップルが歩いていたのでしめしめと後に続いて歩く。ところが私達が並んだのは台湾人専用の入国審査レーンで、10分ほど並んだ後にまんまと追い返されてしまった。他力本願は良くない例である。
気を取り直して他国からの入国審査に並び直し、1時間ほど並んで問題なく通過。STARLUXのおかげでかなり心身の疲労がリセットされて気分良く入国出来た。ありがたい。一生愛す。

16:40 事前の下調べで「台湾と日本ではレートが全く違うため、NTDへの両替は台湾空港内、もしくは台北市内の銀行で行うべき」という情報を得ていたので、預入荷物を受け取ったあと空港内の銀行へ。
レートで言うと市内の銀行の方が良いと聞くが、どう考えても空港内の両替所の人のほうが日本人に慣れているだろうという下心から空港内で全額両替することにした。今回両替したのは30,000円ほど。
ちなみに関空で確認しておいたレートは約4.8、桃園空港でのレートを計算したところ約4.2だった。違いすぎる。
私が台湾から帰国してまだ1ヶ月経っていないのだが、現地の人のツイートを拝見すると現在は4.5前後らしい。円安が止まらなくてつらい。

イミグレを抜けた先の壁飾り。
絨毯で出来ていて独特の質感と絵柄がすごく可愛かった。

MRTの世話焼きおじさんにアテンドしてもらう。

16:50 MRTの改札で悠遊カードを買う予定だったのだが、券売機の種類がかなり多い。そして機能が券売機ごとに別れている。台湾の交通機関の券売機は日本語表示が設定できるので、とりあえず片っ端から試せばそのうち買えるだろうと試すことにした。
オタオタした空気を感じ取ったのか、2つぐらいの券売機に弾かれたあとMRTの職員らしきおじさんが元気いっぱいに話しかけて来た。私はカードを買うだけでなく、1,000NTDほどチャージをしたかったのでその旨を伝えると「それならこっちのほうが早い」と窓口に連れて行ってくれ、窓口の職員さんに説明までしてくれた。
無事カードを購入し、お礼を言おうと振り返るとおじさんは既に別の旅行者をアテンドしていた。もたつく旅行者をさばく案内人なのだろう、たくさんの旅行者を助けてきたんだろうな、おじさんに幸あれ。

MRTで景色を見ながら台北に移動

17:00 桃園空港駅からMRTで台北駅に向かう。大体1時間ほどの道のりだ。
MRTは台湾空港へ続くモノレールで、車内が旅行者向けにかなり広く取られていて、トランクを持った乗客にストレスが少ない設計だった。
今回、台湾の公共交通が使ってみたかったのと、郊外から都市部への景色の移り変わりを見たかったのでMRTで移動することにした。

移動関係でめちゃくちゃ便利だったのがこのアプリ、ナビタイムがやっている『Transit』日本語対応で世界各国の路線がセッティングできる。
台湾の交通にもバッチリ対応していて、路線バスにも強く、なにより画面がすごく見やすい。これとグーグルマップがあれば大抵のところには行けると思う。

郊外の田畑の様子
台北市内が見えてきたあたり。開発が進んでいる。

MRT車内から見える郊外の景色は日本の田舎に似ていて、でも看板に書かれた文字や建築様式が少しずつ違う。かなり馴染みがあるのにちょっとずつ知らない景色、少しずつ座標がずれた別の世界に迷い込んだみたいで、『きさらぎ駅』を思いだした。
この感覚は陸続きじゃない国に住んでいるからこそだと思う。隣国との境目が陸続きであったなら、土地(環境)の変化とともに文化も少しずつ変化して文化がグラデーションになっていくというのは当たり前に起こることだ。島国で、なおかつ縦に細長い国に住んでいるので、そういった変化をとりわけ面白く感じるのだろう。
日本と台湾の景色が似ていることの背景を考えると、この発想には暴力性がある。これらの自身の感覚については興味深いなという思いと、傲慢だなという思いがある。

18:00 台北市駅前のホテルに到着。15時間弱掛けての移動がようやく終了。
実はMさんのご友人が猫空で美味しいレストランを予約して下さっていたのだが、流石に私はもう体力が尽きてしまい、この日は大人しく過ごすことに。ホテルの部屋をチェックした後、荷解きしてお風呂に入って一休み。
湯船があるホテルにしておいて良かったと心底思った。

台北駅前

15時間掛けてたどり着いた台湾一食目

19:00 流石にこのままホテルから出ないのは1日目がもったいない。丸一日背負って結局使われなかったメイク道具をようやく取り出し、せめて台湾の晩ごはんを食べよう!と着替えてホテルの周りをブラブラすることに。
お腹が空いていたのでとりあえずホテルの目の前にあったお店で韮菜盒子を買い、頬張りながらお店を探す。
韮菜盒子は炒めたニラと卵と春雨が具の大きな揚焼き餃子という感じ。

春雨がニラと卵の旨味を吸っていておいしい

少し歩いて牛肉面のお店を発見。
ちょっと裏道に入ったところにあって、地元の人で賑わっている。独りでは少し入りにくいなと感じたものの、15時間掛けてわざわざ台湾へ来て、尻込みしている場合ではない!と突撃。

右手に見えるカウンターにはお惣菜があって、
常連さんはそこからおかずを取っていた。

『潘家老牌牛肉面』

半分屋台のような感じで道にテーブルが置いてある。裏道につながる小道の角にキッチンスペースがあって、ハキハキしたおばさんが接客周りを、寡黙なおじさんが調理を担当している様子。当たり前ながら周りからは台湾語しか聞こえてこない。ドキドキしながら注文した私の下手な発音でもおばさんはニコニコ聞いて下さった。

地元の人達で賑わうお店。
この写真の左側がキッチン部分、右側にはすぐマンションがあり、飾り枠の特徴的なベランダと、
住んでいる人の洗濯物などが見えた。

モツが色々入った招牌牛肉面の小を注文。140NTDでこの時のレートで600円弱。小と言っても日本の並ぐらいある。
ここの牛肉面、すっっっっっっっごく美味しかった!臭みが全く無くて複雑な香辛料のパンチが効いてるんだけど、なにか一つの香りが強すぎるわけではない、醤油が強そうな色のスープだが醤油の味という感じもしない。なんでこんな味になるのかさっぱりわからない。麺はツルツルとした舌触りにコシがあって歯切れが良い。もちもち系ではなく、無理やり例えるならコシと厚みを増した稲庭うどんに近い。
そうそう、私はこういう、絶対に自分では作れない味を食べたくてここに来たんだ!工程が想像できない味に喜び震えながら食べた。
あとから我慢できなくて頼んだ烫青菜(上海の油菜に似た青菜のゆでびたし)もすばらしく美味しくて、こちらは30NTD、日本円で130円ぐらい。台湾で食べた青菜の中でこのお店のものが一番好きだった。

あまりにおなかがお腹が空いていて一口食べてしまった写真。
ハチノスやハラミなど牛モツがいろいろ入っている。
味付けはオイスターソースとにんにく。この日は空芯菜。


お会計の時におじさんにすっごく美味しかったよ!と伝えるとはにかんで喜んでくれた。支払いは現金。
ごちそうさまって日本以外あんまり言わないらしいけど、美味しかったら美味しかったよって伝えたいよね。

もっと食べ歩きたかったけど周りの店がどんどん閉店していってしまったので飲み物を買って帰ろうとコンビニへ。悠遊カードを支払いで使うときどんな感じなのか知りたかった。台北市内にはセブンイレブンとファミリーマートがとても多く、この日はセブンイレブンへ。

台湾はクラフトビールが流行っているみたいで、見たことのないおしゃれなビールがたくさん棚に並んでいた。コンビニで買える現地のお茶にも興味があって、四季春とグアバ茶、あとせっかくなのでビールも購入。

左からビール、四季春、グアバ茶

悠遊カードでの支払は日本の交通系ICと体感的にもほぼおなじ。
ホテルに戻り、ビールは飲む元気がなく、四季春は翌日持ち歩こうとこれら2つは冷蔵庫へ。
グアバ茶はグアバジュースをジャスミンティーで割ってあるものなんだけど、これはとてもフルーティーで美味しかった。加糖なので甘いのだが、疲れていたのでちょうどよかった。

猫空から帰ってきたMさんと合流して1日目は終了。優しいMさんに欠航後の苦労をねぎらってもらう。
この日行けなかったところに行くため、翌日は早めに起きてMさんと朝食を取り、そのあとソロ行動で私は猫空へ行くことに。

23:00 翌日に備えて早めに就寝。長い一日だった……。

まとめと、次回の話

以上が初台湾旅行1日目の様子だ。ほぼほぼ移動で終わってしまったが、LCC欠航の洗礼といい、不慣れ台湾旅行の撮れ高という意味では満点である。あまりにも教訓が多い。
LCCにはLCCの安さという抗いがたい魅力があるので、一概に「やめといたほうがいいよ!」とは言えないが、『バックアップは万全に』というのは伝えておきたい。
私は保険を利用して、取り直した航空券の予算を補填する事が出来たが、保険に入っていなかったらもっと精神的なダメージが大きかっただろうなと思う。

次回は引き続き2日目の様子をお届けする。行って良かったお店も紹介するのでお楽しみに!

今回の旅でのはしゃぎっぷりはTwitterやInstagramにアップしている。興味があったらプロフィール欄にリンクがあるので覗いてみてほしい。

ではまた、下次見 Xià cì jiàn!

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