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【新聞連載第13回】中小企業経営者の悩み②


前回の連載では、中小企業の人材に関する課題について触れました。中小企業の新卒採用で 3 年以内に半分が辞めてしまうことや、海外人材の登用などを取り上げました。
連載を読んだ多くの経営者仲間から共感の声があり、分野を問わず様々な中小企業で、人材の悩みがあることをひしひしと感じています。

今回は、そのニーズに対して実際に私たちが行なっている新入社員研修ついて紹介します。安城市のアスライフ(株)では、今年度初めて新卒採用を行いました。今年 21 歳を迎える女性社員です。

社会で働いたことのない若い人材をどのように育てていくか相談があり、今回の研修に取り組むことになりました。

入社前の研修として行った内容の一つ目は、高校生に向けた授業を行うことです。教員志望やデザイン専攻など様々な学問を、別々の大学で学んでいる大学生たちを集め、高校生に向けて学生生活や就職活動について発表してもらいました。
発表後には、ディスカッションの機会を設けました。
進路に悩んでいる高校生たちに、先輩として人生経験を語る機会を設けることで、双方にとって学びがある相互教育の場を実現しました。

二つ目は、プロのデザイナー指導のもと行われるグラフィックデザインの研修です。とは言っても、技術や使い方に重点を置いた指導をするのではなく、目的から導き出されるツールの制作という観点で、実際に会社で応用可能な視点を学ぶ研修を行いました。

入社後は、新入社員に毎日日報を作成してもらっています。ただの業務日報ではなく、中長期目標や抱えている業務リスト、またその日に何を学びどのようなネクストアクションを考えているかを言葉にしてもらうための日報です。これらを入社後半年間続けていきます。

2018 年に人事・研修担当者を対象に行われた、新入社員研修の現状と課題についてのアンケート調査によると、会社が求める人材像のトップ 3 は『主体性があり積極的』、『多様な人と協働できること』、『コミュニケーション力に長けている』という結果でした。
8位と 9 位には『語学力』、『IT リテラシー』が選ばれ、知識や技術よりも人間性や数値化できない能力を重要視する企業が多いことがわかります。

それに伴い、新入社員研修の内容が、従来の講義型・ビジネススキル主体の研修から、グループワーク型・主体性、協働力、コミュニケーション力重視の研修へ顕著にシフトしています。

知識や技術取得は、自社内で行うことが最も適しています。なぜなら、社内に道具やこれまでの経験者がいるからです。しかし、人間力を育むためには、異分野の人たちとの出会いや価値観を知る必要があるのです。
複数のセクターや多くの世の中小企業の職場で実現するのは困難です。だからこそ、私たち NPO が寄り添って、研修環境を整える意味があると考えています。

(2019年5月 東海愛知新聞掲載)

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