ドラフト2024③ 社会人・独立リーグ選手

梅雨も明けましたね。今年も猛暑がやってきました。
先日、都市対抗が終わったばかりということもあり、今回は社会人のドラフト候補と、同時に独立リーグの選手も取り上げてみます。ほんのここ数年のうちに、NPBの求めるアマ投手の年齢・プレースタイルという観点で見たとき、社会人投手よりも独立リーグ投手のほうがNPBの求めるものに近くなっているようにも思いますし、昨年同様、今年(以降)もその傾向が続くのではないかと感じます。


【社会人右腕】

(※少し長めの導入)
まず最初に、社会人右腕から。社会人右腕に関しましては、2017-2019年は毎年4名以上は上位指名されていたほど市場人気の高いカテゴリでしたが、2020年に栗林良吏(広島1巡)しかいなかったあたりから様子が変わり始め、2020年以降、2022年(5名が上位指名)以外の上位指名は、最多で2名というのが現状です。

近年のNPBは高速化がすさまじく、特に右腕に関しては、先発ですと平均145km/h以上、リリーフですと平均148km/h以上は出ていないと活躍が難しくなってきています

短期決戦が多く、しかも早々に主要大会の予選で負けてしまうと部の存続さえ難しいこともあるという社会人野球で、スピードこそ圧倒的ながら四球が多かったりで使いづらい投手は、なかなか大事な試合では投げさせてもらえない、まして先発など任せてもらえないというケースが多く、NPBの求めるアマ選手はなかなかスカウトが見極められる機会がない。さらに言えば大卒の場合、球速が上がりきる年齢は25歳ぐらいですから、指名解禁の時点よりもスピードが目に見えて上がることを期待するのは現実的ではないという問題もあります。2016年以降で指名された社会人右腕を、上位・下位に分けて人数を記してみますと、

   上位 下位
2016 3人 6人
2017 4人 2人
2018 5人 4人
2019 4人 2人
2020 1人 1人
2021 2人 5人
2022 5人 3人
2023 1人 7人

となります。2020年を除きますと、総指名人数は6~9名の範囲内ながら、2022年以外は指名順位が下位指名寄りになっています(2022年が例外的なのは大学生投手の市場人気がそこまで高くなかったためだと思います)。とはいえ、今年はここまで、大学生右腕で上位確定クラスと思われる投手がそう多くはないため、2022年のような状況になる可能性はあります
下位で指名される社会人投手も、サイドスローが多かったり、特定球団に固まっていたりと、球団によって関心レベルにかなり差が生じています。なお、高卒社会人か大卒社会人かで、市場人気に大きな差は特に感じられません。

ここ4年間のうちに上位指名されている9人の社会人右腕たちを見ますと、全国大会で結果を残す、MAX152km/h以上で、入社3年目以内の先発投手というケースが大半です。MAX156km/hながら全国大会未出場のリリーバーだった柴田大地(2021年ヤクルト3巡)や、全国大会で活躍していましたがMAX150km/hだった吉野光樹(2022年DeNA2巡)が上位指名されたというのは、あくまでレアケース。ドラフト年の都市対抗の投球内容は、悪くても防御率4.50あたりまで、というのが目安になります。
なお、社会人右腕の上位指名に関しては身長180㎝の壁は感じませんが、たとえばヤクルトはここ3年のうちに上位指名した3名がいずれも身長180㎝以上だったり、昨年指名された社会人右腕の中で身長180㎝未満は1人だけだったりと、身長180㎝の壁が今後はくっきりと現れてくるのかもしれません

さて、導入はここまでとして、今年、(上位)指名されそうな社会人右腕に関して考えていきたいと思います。

スピードという意味では、都市対抗でMAX156km/h、平均149km/hを叩き出した木下里都(KMGホールディングス・大卒2年目)が注目株でしょうか。昨年は日本選手権でも4イニングながら自責点1、5奪三振の力投。今年の都市対抗二次予選では3試合に先発して23イニング・自責点2という好投を見せて本選出場を決めています。身長183㎝と上背があるのも良いですね。本選では平均149km/h以上という圧倒的な球速帯を見せたとはいえ、4回途中・自責点3での降板となってしまい、少し上位指名は難しくなったかもしれません。ただ、今年の市場を考えますと、素材の良さを買っての指名はあるのではないか、と感じます。

昨年は上位候補と言われながらも不調で、指名のなかった竹田祐(三菱重工west・大卒3年目)も、今年の4月下旬以降は復調気配。昨年はかなり多めだった被安打がイニング数未満に抑えられるようになり、都市対抗二次予選では21.2イニングで18被安打、自責点は4点のみと封じ込んで、チームの本選出場に貢献。本選の初戦ではMAX152km/hを記録、9回を完投して平均147km/h以上という好投を見せ、トータルでは15イニングで15奪三振、6四死球、自責点6という投球内容でした。140km/h台のスプリットもあるのでリリーフも出来そうということを踏まえても、現状、2巡目まであるかなと思います。

彼らより少し上背は低い(身長177㎝)ものの、MAX153km/hのストレートと、決め球スプリットを投じてくるのが河北将太(エイジェック・大卒2年目)。昨年は補強選手として日本選手権に出場。今年は都市対抗までの公式戦6試合に先発し、序盤でKOされることはまずないという安定感を見せています。奪三振がイニング数に届きそうなぐらい多いのも魅力。都市対抗では2登板とも、平均147km/h以上のストレートを連発する力強さを見せました(チームの継投策もあってか、2登板とも序盤で降板)。リリーフで押せそうということを踏まえると、支配下指名の可能性はまだあるのでは、と感じます。

今夏の都市対抗に出場した他の社会人右腕で、上位指名されそうな気配のある選手は正直、探しきれなかったです。3.2イニングを無安打・5奪三振・無四死球・無失点に抑え切った、身長185㎝・MAX150km/hの鷲尾昂哉(三菱重工west・大卒2年目)や、0.2イニングながら剛球を見せた、身長184㎝・MAX153km/h江原雅裕(日鉄ステンレス・大卒2年目)、2.2イニングで4奪三振&無失点、平均146km/hの投球を見せたMAX150km/hの東山玲士(ENEOS・大卒2年目)らは今年、ほとんどリリーフ登板なので、上位指名とはならなそうですが、下位なら指名あるかも?と感じます。

最後に。今年の都市対抗には出れませんでしたし、身長170㎝とかなり低いのですが、U-23野球日本代表に選ばれた林田夢大(高卒3年目・西部ガス)は、MAX155km/hともいわれる剛球を武器とするリリーバーで、二大大会でも登板し、短いイニングながら無失点に抑えており、気になる存在です。前回のU-23は出場した投手のうち3人が同年および翌年の間に指名されており、ひとつの登竜門となっているかもしれません。

例年、6人は指名されるジャンルではありますが、今年に関してもだいたいそのぐらいの人数かな、という印象です。

【社会人左腕】

社会人左腕は毎年決まった人数が指名されるようなジャンルではなく、1名の年もあれば、4名の年もあるような、指名人数にバラツキのあるジャンルです。

社会人左腕の場合、上位指名されるためには、先発を務めていることに加え、MAX150km/h以上が目安になってきます。2020年に伊藤将司(阪神2巡)がMAX146km/hで上位指名されたケースがありますが、2021年以降、この球速帯での上位指名は出ていません。ただ、平均球速が速いなら、MAX148km/h以上でも上位指名の可能性はあるでしょう(伊藤も平均140km/hほど出ていたように思いました)。

なお、上位指名どうこうでなく、指名されるためには、MAX147km/h以上に加え、全国大会での登板は必須に近いポイントです。なお、NPBで活躍している先発左腕やリリーフ左腕の状況から考えますと、先発なら平均143km/h以上、リリーフなら平均147km/h以上が、活躍を予見するためのひとつのラインになってきます。

この条件を満たしている今年の社会人左腕で、実際に上位指名されそうな選手となりますと、吉田聖弥(西濃運輸・高卒4年目)かなと思います。先日、MAX152km/hを計測した先発左腕で、都市対抗二次予選では27イニング自責点なし、被安打13、奪三振32という圧倒的スタッツを残しています。四死球も7個のみと少なく抑えています。都市対抗ではMAX146km/h、初戦の序盤こそ平均145km/h以上を出す投球でしたが、それ以降は平均141km/hほどの投球でした。全国クラス相手でも好投しているのは素晴らしい反面、秋以降に出力を上げ切れないと、2巡目では指名されそうですが、1巡目は少し厳しいかもしれません。

他で先発でMAX150km/hとなると大石晨慈。大学4年時も志望届を出しましたが指名漏れし、東邦ガスへ。今年は150km/hを計測し、先発としてまずまずの投球をしています。ただ、都市対抗で登板がないままチームも敗れてしまったので、指名されるには少しアピール不足の恐れがあります。

他で今年、MAX150km/h以上のドラフト候補社会人左腕となりますと、中島悠貴(茨城トヨペット・大卒2年目)、荘司宏太(大卒2年目・セガサミー)の名前が挙がります。

2人とも、主にリリーフを務めているので、指名されたとしても下位かなと思いますが、中島は都市対抗二次予選で1失点完投勝利、都市対抗初戦でもMAX150km/hを計測しつつ、3イニングで5奪三振、自責点1に抑えるロングリリーフをこなすなど、先発で咲く可能性もありそうな興味深い選手だなと感じました。

荘司はENEOSとの対戦で自己最速のMAX150km/hを計測。2イニングで2奪三振、ほぼ全球147km/h以上という圧倒的スピードと、ブレーキ鋭いチェンジアップで無失点投球。次戦でも2イニングで3奪三振と、今大会、猛アピール中。今年の公式戦は全てリリーフ登板ながら、自責点のついた試合は1試合のみとかなり安定しており、指名の可能性はかなり高くなってきたように感じます。

150km/hに届きませんが、MAX148km/hの2人、増居翔太(トヨタ・大卒2年目)と伊原陵人(NTT西日本・大卒2年目)は、どちらも上位指名の気配がします。

増居翔太は今季の公式戦で6試合に先発しているトヨタの現エースで、特に5月は13イニングで2失点のみと安定感を増してきています。2年前は指名漏れしていますが、トヨタということを考えると、今年も高い順位でないと指名できない可能性があります。都市対抗では初回に145km/h以上の速球連発、6回を投げて8奪三振、被弾による2点のみ、平均143km/hという投球でした。2巡目で指名しても良さそうな左腕だと感じますが、スカウトはどう判断するでしょうか。2年前に指名漏れした時よりも明確にパフォーマンスを上げていると判断されているかどうかがカギになりそうです。

伊原陵人も増居翔太と同様、身長170㎝前半ではあるのですが、変化球の使い方やコマンドが良く、ゲームを作れる先発左腕です。昨年も多く先発を任され、都市対抗で6回2失点と好投するなど実績を積み重ねてきましたが、今年は平均球速が大学時より10km/h近く上がった(中日スカウト談)らしく、公式戦で40イニング近く投げて自責点は2点のみという圧巻投球を続けています。都市対抗の初戦では5回を投げて平均球速145km/h以上と、先発としては相当な高速帯でした。リリーフなら平均147km/hほど出そうな勢いですし、2-3巡目での指名はありそうです。

最後に、気になる2人の高卒社会人左腕を。
阿部雄大(ENEOS・高卒6年目)は、MAX148km/hを記録したこともある身長183㎝の左腕で、今年は先発に完全転向し、公式戦での7先発すべて自責点1以下に抑える好投を見せています。都市対抗ではMAX147km/h・平均142km/hで、5回途中2失点でした。スタッツも常に良いですし、指名があっても不思議ではないと感じます。
西村王雅(東芝・高卒3年目)は、身長170㎝台前半ながら、MAX146km/hの左サイド投手で、昨年は日本選手権にて0.2イニングを2奪三振に斬る快投を披露。今年は先発定着し、やや荒れる登板もありますが、ほぼ全て5イニング以上を投げれています。U-23野球日本代表にも選ばれていますし、本人が望むのであれば指名されそうな気がします。

【社会人野手】

社会人野手に関しては、ほぼ全ての指名選手が二遊間やセンターです。上位指名となると、50m6.0以内が大半。稀に50m6.2の選手がちらほら、という感じです。

社会人野手は2019年頃にかなり価値が高騰し、1巡目まで届くケースも多く見受けられましたが、今は大卒社会人野手に関してはその多くが下位指名となっています。というよりむしろ、「下位で指名できるから大卒社会人野手ではあるが指名する」という考え方になってきているように思います。そして、その選手が素晴らしいから指名というより、その球団にとってニーズがあるので下位で確保するといった感じの指名が主流になってきています。

そんな中、2021年からは少しトレンドが変わり、高卒社会人野手が上位指名されるケースが増えてきています。2021年は水野達稀が3巡目で指名、2023年は度会隆輝が3球団競合、津田啓史が2巡目で指名と、50m6.0以内という瞬発力を持ったセンターライン高卒社会人野手の市場価値が上がっているのではないか、と思わされます。それでは、センターラインの選手をポジション別に見てみましょう。

《捕手》

社会人捕手はかなり指名から離れているカテゴリで、高卒は2019年、大卒は2017年まで遡らなければ指名がありません。今は育成指名があるため、単に二軍サブ捕手を賄うのであれば育成で十分だと考えるなら、支配下必須の社会人を、しかもチームの要になっているであろう社会人捕手を指名するのは、という状態になっているのではないかと思います。昨年も指名されそうな候補が何人もいましたが、指名はありませんでした。

さて今年は、というと、現在、野口泰司(NTT東日本・大卒2年目)と、石伊雄太(日本生命・大卒2年目)とが、ドラフト的注目選手になっています。どちらも大学4年時に志望届を提出するも指名漏れを味わった2人です。

チームの4番を任される野口泰司は今年、本塁打こそありませんが、4月中旬以降の公式戦でほぼ停滞することなく打ちまくっていますし、チーム全体の盗塁阻止率がかなり高いことを踏まえると、かなり盗塁も刺しているのではないかと思います。今年は初の全国大会出場で、4打数2安打・二塁打1、三振1、打点1と合格点の成績。何巡目まで大丈夫なのか分かりませんが、指名されても不思議でない状況なのは確かです。

石伊雄太は野口ほど打ちまくっているわけではありませんが、まずまずの打撃成績。ただ、チーム全体の盗塁阻止率がかなり悪いのが気になるところです。とはいえ阪神二軍との対戦では盗塁を刺していたりと、刺せないわけではありません。既に二大大会には通算5試合に出場し、ホームランも放っており、今大会も3打数1安打とまずまずで、相手も盗塁ゼロでした。こちらも指名されてもおかしくありませんが、野口との二択になり、野口が選ばれるという可能性はありそうです。

《二遊間》

過去5年間の社会人野手指名(全12名)を見ますと、そのうちの8名が二遊間の選手であり、最も指名確率の高いポジションです。プロ入り後に二遊間以外へコンバートされるケースもありますが、「社会人野球の時点で」二遊間を守れているかどうかが指名には大事になってくる印象です。なお、大卒3~4年目でも指名されるケースがあります。

今年解禁で、指名候補になってきそうなのは、朝日晴人(三菱重工west・大卒2年目)や、水島滉陽(NTT西日本・大卒2年目)、齊藤大輝(東芝・大卒2年目)といったあたり。なお、朝日と齊藤は大学4年時に志望届を出すも、指名漏れとなっています。

朝日は今年の公式戦で(都市対抗予選以外)かなり打ちまくっているショートです。既に昨年に日本選手権ではヒットを記録しており、今年の都市対抗での活躍が期待されます。50m6.3はやや遅いですが、一塁到達は4.1秒前後と速いですし、今年ルーキーながら印象的な活躍をしている泉口友汰(2023年巨人4巡)も50m6.3なため、指名の有無には直接影響しないものと思います。都市対抗では結果が出ませんでしたが、下位OKなら指名あるかもしれません。

水島滉陽は大学時代には代表候補にも選ばれた選手で、今年の都市対抗では12打数4安打、長打2本、三振1個のみと結果を出しました。パンチ力のある打撃に加え、動きの良い遊撃守備を持ち合わせており、こちらも下位OKであれば指名の可能性がありそうです。

齋藤大輝は大学代表にも選ばれたことのあるセカンドで、昨年から主軸を任され、3月下旬以降は打ちまくっていました。既に昨年度の時点で二大大会通算で14打数6安打、2本の二塁打を放っています。今年は都市対抗予選こそ結果が出ずも、それ以外の公式戦では打ちまくっています。補強で出場した今大会はセカンドで出場し、さっそく初戦で二塁打を放ち、次戦で本塁打を放つなど好調な滑り出し。セカンドなら順位は落ちるかもしれませんが、下位OKなら指名あるかもしれません。

《一三塁》

一三塁メインの社会人野手が指名されることは、実際ほとんどないのですが、大西蓮(JR東日本東北・高卒4年目)は、もしかしたらという雰囲気を漂わせています。身体もかなり大きく、今年の5月頃から一気に長打量産モードに入り、長打だけでなく打率もしっかり残しています。都市対抗二次予選では打率.636で2本塁打、都市対抗初戦では2打席連続アーチ。ポジションは一塁メインですが、三塁や外野も守っており、大学4年生と同じ年齢と考えると、指名の可能性はゼロではないでしょう。

今夏の都市対抗にて、初戦で2本塁打を放ち、トータル4試合で15打数9安打、5本の長打を放った下山悠介(東芝・大卒2年目)も気になる存在。都市対抗はDHでの出場でしたが、50m6.1が示すように動ける選手で、大学時代はサードを守っていました。身長176㎝とあまり大きくはないですが、サードを守れると評価されたり、あるいはセカンドも守れるのでは、と評価する球団が出てくるなら、指名の可能性も高くなってきそうです。

《外野手》

外野手も、この3年のうちに4名が指名されるなど、二遊間と並び、指名される可能性の高いポジションです。意外なのは、センターを守れるかどうかはそこまで重視されていないところ。打ててナンボといった感じです。なお、それぞれ指名背景は異なりそうですが、4名中、3名は上位指名です。

高卒3年目の外野手となると、福本綺羅(東海理化・高卒3年目)が楽しみな選手でしたが、5月初旬の試合を最後に、怪我のため離脱しており、都市対抗にも間に合わずでした。昨年の都市対抗では打率.500を残して若獅子賞にも輝いている選手だっただけに悔しい限りです。ただ、故障前は打撃好調でしたし、秋までにパフォーマンスを回復できれば、本人が望んだ場合、今年指名される可能性もあるにはあるかもしれません。

大卒2年目の選手では、中尾勇介(東京ガス・大卒2年目)や、藤原龍之介(SUBARU・大卒2年目)らに注目しています。

中尾は身長173㎝ながら、50m5.9の俊足を武器とする選手。今年は打撃力が向上し、JABA静岡大会で2本塁打、都市対抗でも二塁打を放つなど、随所で活躍を見せています。やや三振が多いという懸念はありますが、中堅手補強としても指名する価値はありそうです。

藤原は大学時代はセンターでしたが、今はレフトを守っています。今年は打撃低調でしたが、都市対抗初戦で2打席連続アーチを放つ活躍を見せており、もしかしたら、と思わせてくれる選手です。アスリート体型で、足も遅くはありません。

ただ、今年は大学生外野手が良さそうですし、社会人外野手を必要とする球団はあまり多くないのかもしれません。

【独立リーグ投手】

昨年は2巡目で2人も独立リーグの右腕が指名されたのが、ひとつのサプライズでした。彼らの共通点を見てみると、いずれも23歳シーズン以内と若く、身長も180㎝以上あり、MAX159km/hでした。そこまで出ていないという見方もありますが、上位指名となるとMAX155km/h以上は必要になりそうです(年齢に関しては24歳シーズン以内でもいいかと思いますが、NPBへの順応を考えるなら、ポテンシャルを買ってもらえるという点を踏まえると、若いほうが良いでしょう)。なお、ポテンシャル買いされやすいのもあってか、四死球率が悪めであっても支配下指名されることは珍しくありません

なお、下位で指名された2人の独立リーグ右腕も、それぞれMAX155km/hとMAX154km/hでしたから、これぐらいのMAXまで行かないと支配下指名されることはなさそうに思います。なお、どちらも24歳シーズン以内でした。

加えて、今年は二軍のみの球団も誕生しており、これらの球団の在籍選手で、まだ今季24歳シーズン以内と若く、スピードもある投手であれば、支配下指名の可能性も全然あるでしょう。

独立リーグからのドラフト指名となると、外せないのが徳島インディゴソックス。今年もMAX150km/h台の右腕が最低でも6人いるという豪華ぶりです。その中でも指名有力そうなのが白川恵翔(高卒5年目)。MAX154km/hを記録したこともある先発右腕で、今季は韓国プロ野球に期限付き移籍し、2勝を挙げるなど好投しています。四球がやや多いのは気になるものの、映像を見る限りでは145km/h以上のストレートを先発でも連発しており、出力は高そう。支配下指名あるのではないかと感じますし、ポテンシャルが買われれば上位指名でもおかしくないかもしれません。

リリーフで言いますと、川口冬弥(大卒3年目)が圧巻の内容。身長187㎝の長身からMAX155km/hもマークしたストレートを連発し、全てのスタッツが優秀。25歳シーズンなのは少しネックかもしれませんが、支配下指名までありえそうな力強さを感じます。スタッツと身長的には上位指名もあるような気配さえありますが、年齢的を考えると育成でも指名がないかもしれないのが、独立リーグのシビアなポイントです。

もう少し若い投手で言えば、先発で今季ここまで5勝をマーク、MAX156km/hも記録した工藤泰成(大卒1年目)が興味深い存在。四球がやや多い以外は、大学時代よりMAXを引き上げていることもあり、独立リーグの投手としては昨年の大卒時より評価されているのではないかと感じます。身長177㎝と少し低いのは気になるところですが、追いかけてみたい選手です。

続いては同じ四国の愛媛マンダリンパイレーツ。個人的に注目しているのは、MAX157km/hを記録した羽野紀希(大卒2年目)と、今季MAX152km/hの廣澤優(高卒5年目)。

羽野は身長185㎝のリリーバーで、やや四球は多いながら、イニングと同数の奪三振。昨年も注目されていたようですが指名漏れ、今年はどうでしょうか。独立リーグの投手の場合、支配下指名されるには、長期にわたって結果を出し続けることや、疲れの出てくる夏場にどこまでアピールできるかどうかが大事になるようです。球速を考えますと上位指名されてもおかしくないまであります。

廣澤は昨年まで社会人野球でプレーしており、今年から独立リーグへ。シーズン当初は先発していましたが、7月からリリーフに転向。四球を出すペースはかなりのものですが、リリーフ転向後は奪三振率が飛躍的に伸びており、期待を抱かせます。身長193㎝というビッグサイズなのも魅力ですし、支配下指名を期待してみたい選手です。

最後に、高知ファイティングドッグスの若松尚輝(大卒2年目)を。今季前半はリリーフで無双し、6月中旬からは先発復帰し、少し奪三振は減りましたが好投しています。身長183㎝・MAX152km/hと、他と比べましたら怪物級のポテンシャルというわけではありませんが、安定感という意味では相当ですし、ワンチャン支配下指名あるかもしれません。

なお、くふうハヤテやオイシックスの投手も見てみましたが、現状、支配下指名されそうなほど、若くて結果を出している投手はいなさそうでした。ただ、「指名するなら支配下で」という条件が出る可能性もあり、そうなると、育成クラスでも支配下指名される可能性は出てくると思います。

【独立リーグ野手】

独立リーグの野手に関しては、特にどこのポジションの選手が多いとかはなく、一三塁や両翼の選手であっても支配下指名されることがあります。ただ、そもそも支配下指名されることが稀なジャンルですし、言葉は悪いですが、既存選手への刺激として指名されている感もあるというのが現実です。

昨年は伊藤琉偉(BCリーグ新潟)、井上絢登(徳島インディゴソックス)の2人が支配下指名されましたが、伊藤は8-9月の打率が.397と無双しており、井上は昨年度のOPSが.998と圧倒的でした。とはいえ、特に育成指名ですと、打力はまだ発展途上でも、20歳前後という若さを買われて指名されるケースも多いですし、打力が抜けていないと指名がない、とまでは言えないです。

四国アイランドリーグで言いますと、寺岡丈翔(大卒2年目)が魅力的です。センターを守り、7月末時点でいまだOPS .1000以上ですし、50m5.9の足を活かし、盗塁もリーグトップと俊敏さも兼ね備え、ショートで試合に出ることもあるほどアグレッシブな選手です。身長177㎝と少し低いですが、昨年の井上絢登も身長180㎝なかったですし、そこは問題ないでしょう。支配下指名もありそうです。

BCリーグを見ますと、馬場愛己(大卒3年目)が魅力的です。50m6.0の足を持つセンターで、7月末時点でホームラン8発、OPS.900以上を残しています。大卒3年目とは言え、早生まれなので実質2年目のようなものですし、昨年、BCリーグで最強の打撃力を誇った大泉周也(ソフトバンク育成1巡)が二軍でも悪くない滑り出しを見せているのを踏まえても、支配下で指名あってもおかしくないなと感じます。

オイシックスや、くふうハヤテの選手の中では、知念大成(オイシックス・高卒6年目)が最注目株でしょうか。イースタンリーグで打率3割弱、OPS.700以上を残す打撃もさることながら、50m5.8の俊足と、かつては投手としてMAX150km/hを記録したこともある強肩を持つアスリートで、センターを守ります。所属チームを考えますと、支配下指名しか受けない可能性もありますが、本人は育成でもNPBの球団に行くぐらいの気持ちだそうで、とても楽しみです。

ここまでは外野手でしたが、捕手で気になるのが、埼玉武蔵ヒートベアーズの町田隼乙(高卒3年目)。身長185㎝・50m6.3の大型アスリート系捕手で、7月末時点、OPS.950以上という打棒を誇ります。セカスロも1.9秒台とまずまずですし、何より、若さがあるのが良いですね。育成まで含めれば、指名される可能性は高そうです。

栃木ゴールデンブレーブス所属の、BCリーグ最強クラスの強打者・石川慧亮(高卒4年目)も期待大の選手。主にライトを守り、7月末時点でリーグトップタイの10本塁打、OPS 1.100以上という猛打ぶりなのですが、身長173㎝と小柄なのをプロ側がどう判断するか、分からないところがあります。もしこの身長でも評価されるのであれば、何かしらの形で指名される可能性は高いのではないでしょうか。

前述のように、まだ打力で存在感を見せつけていなくても、若さを買われて育成指名されるケースは多いです。ただ、年齢で区切って、指名されそうな選手を見つけるのは、現状の自分のリサーチ力ではなかなか難しいです。近いうちに、その点についても最低限の把握をしていきたいところです。

おつかれさまでした!

社会人・独立リーグそれぞれでnoteを書こうかなとも思っていましたが、まとめてみました。文字数が多くなってしまったのは申し訳ないです。現状、この中で上位指名されそうなのは、

竹田祐(三菱重工west)
木下里都(KMGホールディングス)
吉田聖弥(西濃運輸)
伊原陵人(NTT西日本)
増居翔太(トヨタ)

の5名かなと思います。

次回は、高校生投手についてまとめてみます。甲子園予選も終わり、いよいよ、誰が(上位)指名されそうか、見えてきた頃です。夏の甲子園が終わったころに上げれたらと思います。それではまた、次のnoteでお会いいたしましょう。

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