Isso é verão! - 夏に聴く音楽
夏が目前です。夏が好きという人もいるだろうし、夏は嫌いだという人もいるでしょう。夏に対するイメージは必ずしも皆が同じではないわけで、従って「夏に聴く音楽」といってもそれはその人が夏についてどう感じているか、どう捉えているかに左右されます。夏だからこそエネルギッシュな音楽を聴きたい、夏は暑いからチルアウトしたい、夏の夜に浸る音楽が聴きたい、夏のビーチやアウトドアに似合う音楽が良い、などなど一口に「夏に聴く音楽」と言っても様々な嗜好があり得ます。
本稿では山形ブラジル音楽協会の会員/関係者/そしてゲストに、夏に聴きたいアルバム、「これぞ夏(Isso é verão!)」というアルバムを、ブラジル音楽に限らずに、コメントを付して各人一枚だけ選んでいただきました。それぞれの個性が出た興味深いセレクトだと思います。さまざまな想いのこもった「夏」をぜひ聴いてみてください!
*謝辞:素人の企画記事に快くご協力いただいたアーティストの方々(五十音順に、城戸夕果さん、武田吉晴さん、ハルカ・ナカムラさん、比屋定篤子さん、藤本一馬さん)、そして中原仁師匠に厚く御礼を申し上げます。
⚪︎荒川弥男 (ブラジル音楽&落語・浪花節愛好家@仙台)
Various Artist / 「快適日常音楽9 リオ・デ・ジャネイロ」または「無印良品13ブラジル篇」
ここニッポノルデスチで40年くらいブラジル音楽を聴いてるけど、夏ならこれがオススメ。例えば"Até Amanhã"。スルドの通奏低音が皆の鼓動をシンクロさせ、バンドリンが哀愁の旋律を紡ぎ、カヴァキーニョとタンボリンが小粋なリズムを刻み、それらを7弦ギターの低音ベースラインが自在に動き回り支える。曲は古き良き時代のノエル・ホーザのサンバやショーロ定番曲など、ブラジル音楽入門にも最適な一枚。
⚪︎石郷岡学 (山形ブラジル音楽協会会長: https://note.com/mishigooka)
MARIO CASTRO NEVES & SAMBA S. A. / On A Clear Bossa Day
故Mario Castro Nevesが2004年にひっそりとリリースした"SAMBA S.A."名義のアルバム。当時はそれほど話題にものぼらなかった。本作は、そのタイトルの通り突き抜けるように爽やかなジャズ・ボッサ。女性二人(Ithamara KooraxとAna Leuzinger)のクリアーなヴォーカルとコーラス、そしてMario Castro Nevesらしいグルーヴで、夏の香りがするアルバムです。
⚪︎稲葉昌太 (レコード会社インパートメントのディレクター : http://www.inpartmaint.com/ )
Sergio Díaz de Rojas / Muerte en una tarde de verano
南米ペルー出身で現在はドイツを拠点にする作曲家/ピアニストによる2023年作品。「ある夏の昼下がりの死」というタイトルながら陰鬱なムードには囚われず、人生や日常で不意に訪れるさまざまな事象をありのままに、その喜びや悲しみをピアノで描きだしています。甘美な旋律と、ゆっくり輪転するアルペジオ、そして現代的かつ独創的な音像は、夏の午後、とりとめのない想いを巡らせながら、ずっと聴いていたくなります。
⚪︎榎本善一郎 (Yama-Bra東京支部事務局)
Pizzicato Five / 女王陛下のピチカートファイヴ
7月発売ということもあり個人的に必ず夏に聴くアルバム。バックのコンボのヴィブラフォン、深いエコーがカル・ジェイダーらのラテンジャズを想起させ、それは僕にとっては熱帯夜の音楽なのです。サントラ、スパイなど数年後ブレイクのサバービアテイストもたっぷり。前作「Bellissima!」制作後小西さんが細野さんを青山で見かけた時失敗作を作ってしまったと気づいて制作した、というのは30年以上経って知った事実ですが、大きく腹落ちする大好きなエピソード。
⚪︎garimpeiro2
Salamanda / ashbalkum
FESTIVAL de FRUE 2022 初日の日付が変わる刻、熱気冷めやらぬ会場の温度を一気に下げたのが、このソウル発の女子二人組の演奏だった。モジュラー・シンセ、エフェクター、サンプリングで構成された音に、声と打音を生で重ねて、ミニマルとかアンビエントとかに括れない、躍動感とクールさが同居する幻想的な世界を創り出す。複雑で心地良いリズム、メロディ、ハーモニーが異界へといざなうエレクトロニカ子守唄。
⚪︎川上 直 (農業)
畠山美由紀 / rain falls
もちろん「雨」のアルバム。ですが私にとっては同時に「夏」のアルバムです。あれから10年たつのかぁ。2013年8月4日、レインフォールズツアー夏の文翔館ライブ。(ライブ終了と同時に降り出した夕立に奇跡を感じました)畠山美由紀さんが唄う夏はすべて名曲ですが「叶えられた願い」はその中でも最高峰だと思います。
⚪︎城戸夕果 (フルート奏者)
Gilsons / Pra Gente Acordar
夏が大好きです。裸足で半袖の服だけで過ごしても心地よい季節は、身も心も軽くなります。そんな時にこのアルバムがおすすめです。ジルベルト・ジルのご子孫達ならではの、MPB王道の音。そしてアルバム全体を通じ緩めのテンポも歌詞も心地良く、このアルバムを流し、緩く踊りながら休暇を過ごすのもいいなぁ。実は毎朝のアラームにしています。
⚪︎Kei(そば 吉里吉里: https://www.facebook.com/profile.php?id=100055372521967)
ZAÏKO LANGA LANGA / Pusa Kuna… Serrez! Serrez!
夏に聴きたい曲と言うと 私は旧ザイールのリンガラポップス パパウェンバ脱退後の「ZAÏKO LANGA LANGA」の Pusa Kuna… Serrez! Serrez! ノリのいいクリアトーンのギターリフとヴォーカル、リンガラの早いリズムながら 肌にベタつかない感が心地よく暑い夏は良くタンテに乗ります。
⚪︎倉嶋英子 (東京支部長)
比屋定篤子×サトウユウ子 / YUKYU STANDARD
ピアノと歌だけのシンプルな構成で綴られた沖縄の童歌・民謡のアルバム。 比屋定さんのスッとした歌声が涼しさを運んで来てくれるようです。個人的にはクーラーの効いた部屋でまったり聞きたい一枚。
⚪︎gota
Sade / Stronger Than Pride
おすすめというにはド名盤で恐縮ですが、やはり夏といえばリリース以来(35年!)ずっと聴き続けているこのアルバムかなと。かけた瞬間に爽やかな風に包まれるような感覚は本作でしか経験したことがありません。
⚪︎五内川 真
John Mellencamp / Scarecrow
学生時代に乗っていた車には、エアコンもパワーウィンドウも何も付いていなかったけれど、カーステだけは付いていて、いつもFMをエアチェックしたカセットをかけていた。 夏の北海道を窓全開で走っていた時にSmall townが流れていて、なんだかロードムービーのワンシーンに入り込んだみたいだった。 どうしようもなく暑い夏でもこのアルバムをかけながら窓を開けて走ると、今でもそんな時間にちょっとだけ戻れるのです。
⚪︎さいとうまさひろ (飲食店店主: http://instagram.com/marchiyo)
坂本龍一 / 1996
一見、名曲盤のようだけどピアノ+ストリング編成で他と一線を画す。ライヴのような緊迫感がここにはある。 人生に春秋があるならば、この『1996』の前後が教授にとっての夏では…。 死者が帰ってくる夏のその日、坂本龍一という音楽家の熱さ、激しさを感じるのに、これほどうってつけの1枚はない。
⚪︎佐藤琢雄 (河北新報社)
MIRYAM LATRECE / QUIERO CANTARTE
マドリード生まれの女性シンガーがジョビン、ジャヴァン、フィト・パエス、チェット・ベイカーの作品をささやくように歌い、スキャットも聴かせてくれる。夏に聴けば涼しく、冬に聴けば暖かい音楽。バックを務めるピアノ、ダブルベース、ドラムスのトリオが、洗練された中にも遊び心のある演奏で歌に寄り添い、盛り立てて飽きさせません。キューバのボラ・デ・ニエヴェ作の子守唄「Drume Negrita」は寝苦しい真夏の夜に。
⚪︎ ジョシコ
WOO / PARADISE IN PIMLICO
下北沢「RANA-MUSICA」で購入したのは、80年代初頭から活動のニューウェイヴ・デュオ「WOO」、まさかの新譜。スペーシーで、心に寄り添うような音響世界は美しい白昼夢のよう。夏の日差しが落ち着いた夕方から深夜にかけてがぴったりの一枚だと思います。
⚪︎S木007
LIVIA NESTROVSKI e ARTHUR NESTROVSKI / SARABANDA
夏にオススメというかオールシーズンオススメの父娘Duo。ギターと歌だけというブラジル音楽の王道。Celso SimとのDuoで知ったArthur Nestrovskiですが、音楽評論、サンパウロ交響楽団の芸術監督、大学教授に写真集の出版と何でもござれの万能ぶり。スゲーなぁ。どの曲もよいですがFrancis Hime のAnoiteceuが好きです。
⚪︎鈴木伸夫 (地域文化情報誌gatta! 編集員:https://www.instagram.com/nobgatta/)
arca(LUCA & haruka nakamura) / 世界
はじめて清水るかの歌声を聴いたのが仙台・鹿落堂にて『AULD LANG SYNE』と題したharuka nakamuraとのデュオ・ライブ。広瀬川の彼方にある夕陽を後光に浴びてゆらめくさまに「歌うために生まれてきた人って本当にいるんだなぁ」と間近で実感したのです。そしてharuka氏に「歌がこの歌を歌う、歌い手を待っていた」といわしめた奇跡の13曲を封入した『世界』。或いはこのなかのいくつかが夏の文翔館「海辺のリオン」で奏でられるはずだったのかなぁ...といまも想像しています。
⚪︎高橋悠 (KAKULULU 店主: http://kakululu.com)
元ちとせ / 元唄 幽玄~元ちとせ奄美シマ唄REMIX~
夏がただただ暑い以上の感想がなくなってしまったここ数年。元ちとせのアルバムのリミックス勢の名前を見た時、暑さで頭がイカれたかと思った。「Tim Hecker」「坂本慎太郎」「Dorian Concept」「Ras G」。そして「坂本龍一」より坂本龍一らしいリミックスをした「畠山地平」に拍手を!アンビエントからフロア直球。花火のように打ち上がり、線香花火のように夏の夜に不思議と心に残るアルバム。
⚪︎武田吉晴 (音楽家: https://yoshiharutakeda.net/ )
Natalie Cressman & Ian Faquini / Setting Rays of Summer
2019年リリースのトロンボーン奏者とギター奏者のデュオ作品。お二方とも歌います。 作曲はすべてイアン・ファキーニで、とにかく楽曲が素晴らしく、ナタリー・クレスマンの声もとても美しいです。 ブラジル音楽の良さが凝縮されているような、爽やかで郷愁感があり、シンプルで飽きない作品です。 因みにイアン・ファキーニはギターをギンガに師事していたそうです。 夏の午後などに落ち着いて聴いたら最高だなぁと思います。
⚪︎田仲 昌之 (fete musique: https://www.instagram.com/fete_musique/ https://www.instagram.com/idyllic1970/)
Senti Toy / How Many Stories Do You Read On My Face : 私の運命線
インド出身の女性SSWセンティ・トイが 2006年にリリースした作品。 夏をモチーフにしている作品では無いですが この作品の存在を知ったのが数十年前の夏だったので 自分の中ではこの作品は勝手に夏をイメージですw フォーク、ジャズ、カントリー、 アジア&インド民族音楽のエッセンスが 内包されていながらもその楽曲達は 難解でも重くも無くそのスタイルは至ってポップ。 夏の蒸し暑さも和らげてくれる軽やかな1枚です。
⚪︎中原仁 (http://blog.livedoor.jp/artenia/)
Wayne Shorter feat. Milton Nascimento / Native Dancer
出会いは1975年の初夏。針を落としていきなり聞こえてきたファルセットの歌声にヤラれて声の主、ミルトン・ナシメントを入口にブラジル音楽にのめりこんだ、トロピカルなジャケット写真の印象も鮮やかな “夏への扉”。開放感だけでなく夏ならではの独特のサウダージも漂う、50年近くにわたって聴き続けている不動の1枚です。
⚪︎花田かつあき(市議会議員)
Itamar Assumpção / Bicho de Sete Cabeças - Vol I
2023年6月12日はSP前衛派の代表的才能、イタマール・アスンサォンの20周忌です。4年間の闘病の末、腸癌の合併症により2003年に53歳で亡くなりました。“Venha até São Paulo / São Paulo tem Rita Lee(SPに来てSPにはヒタがいる)” ── 本作収録の「Venha até São Paulo」には今年5月に他界した盟友、ヒタ・リーの名前が引用されています。
⚪︎ハルカ・ナカムラ
Jon Batiste & Cory Wong / Meditations
爽やかな夏の風を感じる、美しいDUO。
⚪︎比屋定篤子 (シンガー・ソングライター: http://www.atsukohiyajo.com/)
EVERYTHING BUT THE GIRL / EDEN
つい先日、車を買い換えて、クーラーが効くようになった。沖縄の夏を冷房無し車で2回も乗り切ったが、さすがに車検がやってくる前に、本格的な夏がやってくる前に、と。 今回のお題を考える時に、そんな私的な出来事がかなり影響したと思う。目を細めてしまうほど眩しい夏の日射しの中を走りながら、クーラー効きまくりの車内で聞きたいアルバム。安堵して、スッと音楽に引き込まれたい。
⚪︎平塚拓也 (フリーランス音楽家: https://linkco.re/1SSC5hFe)
João Donato & Jards Macalé / Síntese do lance
夏のドライブで、海や山などに行くときによく流すアルバムです。1曲目の「Côco Táxi」から、もう気分は南の島。窓を開けて風を感じながら流すと、とても気持ちが良いです。今年もたくさん聴くことになると思います。João Donatoさんは、今年88歳だそうです。いまだに現役で、こんな素敵な音楽を表現し続けているなんて、びっくりするくらいカッコイイです。次はどんなアルバムを出すのか、とても楽しみです。
⚪︎廣瀬俊介 (ランドスケープデザイナー。元東北芸術工科大学教員。ブログ「東北風景ノート」 :https://shunsukehirose.blogspot.com/)
Bob Marley and the Wailers / Live!
1975年7月のロンドン公演を収録したアルバム。"No Woman, No Cry"の、広場で火を焚いて夜を明かす光景の描写とオルガンの音色に、夏の晩の空気の肌ざわりが感じられる気がして好きです。闘いの日々の中での気分の昂りが友人たちと過ごす時に静まる様は、夏の昼間の暑熱が日暮れの後ひんやりとしてくるのに重なる感じもします。そして、この光景の描写に続く「私のこの足だけが、私を運んでゆく(My feet is my only carriage)」という一節に強く惹かれます。
⚪︎ 副会長(石郷岡英子: https://www.instagram.com/yamabra/)
MOOSE HILL / Wolf Song
おそらくは"Nomi & Goro"のファースト・アルバムの後にこのアルバムを聞いたのだと思います。伊藤ゴローさんのMOOSE HILL名義のソロ・アルバムです。洗いざらしの清潔なコットンのような、なんて爽やかな触感の音楽なのかと思いました。それ以来夏の暑い時期にはこの穏やかで詩的な音楽を聴いて、心と体を鎮めます。
⚪︎藤本一馬 (ギタリスト/コンポーザー: www.kazumafujimoto.com)
Marc Johnson / The Sound Of Summer Running
マーク・ジョンソンといえばビル・エバンスの最後のトリオは有名ですが、自身のバンドでギタリストを迎えたいくつかの作品がまた名作。こちらはビル・フリゼールの浮遊感とパット・メセニーの芯のあるサウンドの2ギター、そしてジョーイ・バロンのダイナミックな鼓動も、どこか広い世界へ連れていってくれます。収録楽曲もいい曲ばかりで、特にマーク・ジョンソン作M-3の”Summer Running”は夏の大空の下でドライブしながら聴きたい名曲。ビル・フリゼールの名曲”Ghost Town”も最高。
⚪︎古林玲 (飲食店勤務: https://www.instagram.com/buono_yamagata/)
フィッシュマンズ / 宇宙 日本 世田谷
夏に聴きたいアルバムといえば、フィッシュマンズの「宇宙 日本 世田谷」です。リリースが1997年の7月なので、その年の夏中は、朝から晩まで部屋や車の中でと、あらゆる場所で聴きまくっていたのを思いだします。
今でも聴くと、当時の部屋の匂いや空気。湿度、日の暮れ方などか、ぶわぁと蘇ってきます。あの頃はただただサウンドやメロディに酔いしれて身を委ねていましたが、年を重ねるごとに、詩や言葉が、沁みる‥というよりは、刺さってくるようになりました。真夏の明るい日差しの中で 、というよりは、夏の終わりに、多少の気だるさと、終わっていくさみしさを感じながら、聴く、最高のアルバムです。
⚪︎まくらこ
Sam Gendel / 4444
LAインディー•シーンで活躍中のサム•ゲンデル、実験的サックス奏者の印象が強いけれど、本作ではギター&ヴォイスを前面に出し、自身が影響を受けたと語るブラジル音楽的な軽快さがどこか滲んでいるようです。e.g.とdr.をサポートに加えた小編成で繰り出される、反復し揺らめくグルーヴは疼くような刺激を帯びながら、霞の向こうから冷んやりと立ち昇るような音色は熱い日の体感温度を下げてくれそうな気がします。
⚪︎まつ
稲垣潤一 / J.I.
日本のAORを誰が作ったのかと言われるとそれぞれに思い浮かべる人は異なると思いますが、自分にとっては井上鑑のアレンジこそが、日本のAORです。寺尾聰や山本達彦、稲垣潤一…1980年代に刻み込まれた彼のアレンジが自分の音楽志向を決定づけてくれました。夏に聴きたくなるアルバムは稲垣潤一『J.I.』。「夏のクラクション」は生涯のサマークラシック。夏の終わりに聴くアルバムです。
⚪︎松木 和久
Fundo de Quintal / Chega Pre Sambar
大昔のイベントでのこと。国道交差点の立体化工事が終わり、開通前の渡り初め、歩行者天国。出来たての橋の上にはアンパンマンの大きなエアドームがあったり、大勢が訪れて新たな景色を楽しんでいた。簡易な PA からは国交省らしくない BGM が流れ、なんとパゴージではないか。気温18℃、快晴。夏を過ぎても、人の熱気と日差しで暑かった。暑い日には少々荒っぽくて軽やかなサンバを。
⚪︎三友 敦之
Armando Trovajoli / Dramma della gelosia (original motion picture soundtrack)
トロヴァヨーリやモリコーネをはじめとするイタリアンサウンドトラックのコンピレーション・ボサノヴァ調のものなどは相変わらずよく聴きたくなります。
⚪︎ミハラヒデアキ
GUYUN Y SU GRUPO / CANTA ELISA PORTAL
このアルバムしか録音が残されていないELISAの類い稀な歌声とGUYUNのボサノヴァに通じるキューバらしからぬクールな音楽が熱帯夜の温度を5度くらい下げてくれます。レコードで欲しいアルバムですが中古でも見たことがないし、あったとしても手が出る値段じゃないと思うので再発を待っています。
⚪︎メロウ野郎 (https://note.com/mellow_musique)
Michael Franks / Time together
夏になったら1曲目の「庭でアーマッド・ジャマル聴きながらカート(ヴォネガット)を読む」マイケル先生のインテリしぐさをマネしてみよう。さらに他の曲では南仏NYパリと飛び回っちゃう先生だが、それはちょっとムリなので、せめて9月になったらラストの歌のマネして遠い目で夏を見送ろう。ジャジイで気だるいボサノヴァ夏休み帳。「Blue pacific」「Dragonfly summer」と並ぶサマー三部作。
⚪︎元吉貴洋 (ヴァイオリニスト江藤有希の夫。服屋に勤めています:https://www.instagram.com/motoyoshi1190/)
Isabelle Antena / La mer de l’été (1993年国内企画盤)
さて夏に聴くアルバム…と、棚をひっくり返してみたら30年前に買ったミニアルバムのジャケットが出てきました。お洒落系ポップサウンドですが、若さ故に当時TVのトレンディドラマやFMで頻繁に流れていたボサ・ノヴァサウンドに惹かれてこちらの夏や海をテーマにした日本企画盤を購入した思い出があります。あの頃は「南の海の魚」を聴きながら伊豆の下田の海へドライブするのを憧れていました。(青い思い出です!笑)
⚪︎Tetsuo Moriya
Azymuth / Aguia Não Come Mosca
わたしが14歳の頃に自分で購入した最初のブラジルミュージシシャンのレコード。 言わずと知れたNHK-FM「クロスオーバーイレブン」のOP、ED曲を収録した1枚。 気持ちいいことは保証します。夏の夕刻にかけっぱなしでどうぞ。 それにしてもJosé Roberto Bertrami、Ivan Contiも鬼籍に入れてしまいましたね・・・
⚪︎山本英之
ジョアン・ジルベルト、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、マリア・ベターニア / Brasil: 海の奇蹟
夏のアルバムと聞いて思い浮かぶのはこのアルバムしかありません。あらためて説明の必要は無いと思いますが、バイーア出身のレジェンド達による珠玉の曲が詰まった宝箱のような作品です。懐かしさを感じさせる曲たちはどことなく湿り気を帯びていて、北陸の蒸し暑い夏にも良く合うのです。梅雨に湿った空気を嗅ぎながら聴くのもおすすめです。 当初は主にドライブ中に大人しく聴いていたのですが、聴き込むにつれてバイーアはいいところだよーというメッセージが脳に刷り込まれていきました。結局、Bahia Com Hに誘われるままにバイーアのカーニヴァルにうっかり行ってしまったのはもう20年以上前になります。毎年夏に聴きたくなる思い出深いアルバムです。
⚪︎幸田愛一郎(Yukitão)(ボサミーゴ津軽(青森、北東北の皆さんよろしくです):https://www.instagram.com/zooiiooz/?hl=ja )
Batteaux / S. T.
RobinとDavidのBatteau兄弟の唯一のアルバム。 バロックでソフトでフォーク、そしてソウル! M1で鷲掴みにされ、M10のHigh Tide「shooting star♪」に悶えてください。 男性コーラスとフィドル、夏の夜に聴きたいアルバム。 サブスクにあるBatteauxとは全く違うので要注意です。
⚪︎若 (三代目: https://toda-ya.com/)
Tom Misch / Geography
久しく目新しいアーティストというものに触れる事が無くなっていた数年前の夏。ふとしたきっかけで耳にし、図らずも響いてきたギターリフが脳裏から離れなくなった。決して突出して上手いとは言い難いプレイだが、そのグルーヴ感やダンスクラッシックを彷彿させるリズムに体が自然と反応し、夏のむせ返るような暑さのフェスの昂りや埃っぽさを聴くたびに想起させる。特に代表曲『Disco Yes』は白眉である。
⚪︎脇田洋二 (a.k.a. シブヤモトマチ)
Robert Palmer / Double Fun
これは多分にジャケットの印象が強いと思われますが(笑)私の思う「夏」がここに。スティール・パンの音が心地よく響き、カリビアンとファンクとAORが共存する名曲『Every Kinda People』が夏感を増幅。リトル・フィートやファンク・ブラザーズの面々が奏でるグルーヴもHOT!
⚪️渡邉吉太 (アトリエセツナ デザイナー: https://www.instagram.com/yoshita/?hl=ja)
CARLOS AGUIRRE / Violeta
カルロス・アギーレ。彼ほどその楽曲から水を想起させる音楽家を、僕は知らない。 パラナ川のほとりで、深く深く音に向き合っているであろうアギーレの背中に思いを馳せながらアルバムの一曲目に収録されている”invierno“を聴くと、小さな水の流れを集めながら海に向かって長い旅をする川の姿が浮かび上がってくる。 冷えた白ワインに、カシューナッツと薄くスライスしたパルメザンチーズをあてに、彼の大河に浸る夏の夜が楽しみでならない。