Nico Carreño / Isrs
Nico Carreño(ニコ・カレーニョ)はチリのシンガー・ソングライターです。「ISRS」というタイトルは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を意味しており、これらの薬は主に不安やうつ病などの治療に使われます。なんのこっちゃです。自身の経験から、このアルバムは感情の浮き沈み、自己理解の過程、混乱から静寂、不快感から安らぎまで、さまざまな感情の推移を表現しているのだそうです。確かにこの音楽から感じるものは決して心地よいものばかりではなく、不穏な息苦しさのようなものを感じ取ることができます。
じゃあこの音楽が不快なものかというと決してそうではなく、そういう情動のドラマ性のようなものを、洗練された音楽として、圧倒的なものとして表現することができています。
本作には、Camila Mezaなどのアーティストとのコラボレーションも収録されており、それぞれの楽曲に独自の色彩を与えています。ジャズの要素を取り入れながらも、シンガーソングライターとしてのアイデンティティを強く感じさせるアルバムです。