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多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ(2023.12〜2024.11)
昨年から早くも1年が過ぎました。この間(2023年12月から2024年11月末まで)に、鑑賞した韓国ドラマは、新たに新作・旧作を含めて127本でした。その中から昨年/一昨年に引き続き自信を持ってお勧めする「多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ」を20作品(新作16作品、旧作4作品)を選びました。旧作はほとんど観たいものは観終わったので、昨年などに比べれば。選んだ旧作の本数はグッと少なくなりました。
さて、これをご覧になる方は疑問に思われるかもしれませんが、大人気だった『ソンジェ背負って走れ』は、本当に失礼ながらあの女優さんが僕は全くだめなので選びませんでした。ファンの方ごめんなさい。新作・旧作とも観た順番に並べてあります。順位はありません。
この1年間も面白い韓国ドラマが山ほどありました。特に『涙の女王』、『ジョンニョン:スター誕生』は歴史に残る作品ですね。あと特に拾い物感が強いのは『ヒーローではないけれど』でしょうか。しかしこのセレクションはあくまで僕の感覚なので、必ずしも皆さんの感覚と一致するものではありません。でもどうかドラマ選びの参考にしていただければ幸いです!各ドラマのデータ、ポスター、各々についての短評、そしておまけを付しています!
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新作
『愛していると言ってくれ』
2023年/原題:사랑한다고 말해줘
監督:キム・ユンジン
脚本:キム・ミンジョン
出演:チョン・ウソン、シン・ヒョンビン、キム・ジヒョン、イ・ジェギュン、パク・ジンジュ、シン・ジェフィ
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同名の日本のドラマのリメイクとのことですが、僕は日本のドラマはみていません。新鮮な気持ちで見られるのでその方が良いと思う。繊細なとても美しいドラマでした。チョン・ウソンもシン・ヒョンビンも素晴らしいけど、男から見てもチョン・ウソンはなんと素敵なのだろうか。10cmをはじめとするOSTも良い。
『無人島のディーバ』
2023年/原題:무인도의 디바
脚本:パク・ヘリョン、ウン・ヨル
演出:オ・チュンファン
出演:パク・ウンビン、キム・ヒョジン、チェ・ジョンヒョプ、エン、キム・ジュホン、イ・レ、シン・ジュヒョプ、ペ・ガンヒ、キム・ボジョン、ユン・ジョンフン
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ストーリー的にはちょっと無理かなぁ〜って部分も少なからずありましたが、これは面白かったといって良いでしょう。でも驚きは主演パク・ウンビンの歌ですね。OSTも本人が歌っているし、劇中でも歌を歌う場面がたくさん。これがもう異常に上手くて、もう歌手でも食べていけますよこれは。才能豊かな女優さんです。
『私の夫と結婚して』
2024年/原題:내 남편과 결혼해줘
脚本:シン・ユダム
演出:パク・ウォングク
出演:パク・ミニョン、ナ・イヌ、イ・イギョン、ソン・ハユン、イ・ギグァン、コン・ミンジョン、BoA、チェ・ギュリ、キム・ジュンヒ、ハ・ドグォン
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いや〜〜、これも面白かったです。あまりに酷い夫と親友への復讐劇。パク・ミニョンは末期癌患者の役のために減量してとても痛々しかったけど、やはり彼女は綺麗ですね。でもこのドラマをここまで面白くしたのは悪役のイ・イギョンとソン・ハユンの二人。特にソン・ハユンはほぼサイコな役柄を演じて素晴らしかった。
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『パク・ハギョンの旅行記』
2023年/原題:박하경 여행기
演出:イ・ジョンピル
脚本:ソンミ
出演:イ・ナヨン、ク・ギョファン、キル・ヘヨン、パク・セワン、パク・イナン、ソ・ヒョヌ、シム・ウンギョン、チョ・ヒョンチョル
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これが観たくてLeminoの無料お試しに登録。やっと観ることができたが、期待に違わず素晴らしいドラマだった。Minhwi LeeのOSTも素晴らしい。しかしこんな素晴らしいドラマを日本ではLeminoでしか観られないっていうのは不幸としか言えない。Leminoは全く使い物にならないので、も一回このドラマ観直して即解約だな。
『魅惑の人』
2024年/原題:세작, 매혹된 자들
脚本:キム・ソンドク
出演:チョ・ジョンソク、シン・セギョン、イ・シンヨン、パク・イェヨン、チョ・ソンハ、チェ・デフンなど
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これはちょっと予想できない展開の面白い時代劇でした。囲碁がモチーフになっています。韓国時代劇によくある、男装した女性が主人公ですシン・セギョンだから、誰がどうみたって女性だとわかるのに、誰も気づかないという不自然さはあるけど(笑)。まお約束ですからね。チョ・ジョンソク、僕は得意ではないのですが、このドラマは良かったです。
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『涙の女王』
2024年/原題:눈물의 여왕
脚本:パク・ジウン
演出:チャン・ヨンウ、キム・ヒウォン
出演:キム・スヒョン、キム・ジウォン、パク・ソンフン、クァク・ドンヨン、イ・ジュビン、キム・ジュリョン、ユン・ボミ
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主役の二人(キム・スヒョン、キム・ジウォン)は、今最も油の乗った美しい二人ですが、ドラマの内容も今まで見た中でもベスト級の面白さでした。キャストもプロットも素晴らしかった。『愛の不時着』を超える視聴率を記録したのも頷けます。サイド・ストーリーのクァク・ドンヨンとイ・ジュビンも感動的でした。いまだにSNSのトレンドに上がってくることも。このためだけでもNetflixに加入されては?
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『ヒーローではないけれど』
2024年/原題:히어로는 아닙니다만
脚本:チョ・ファミ
演出:チョ・ヒョンタク
出演:チャン・ギヨン、チョン・ウヒ、コ・ドゥシム、クローディア・キム
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最初はクローディア・キムの特殊メイク以外は大して面白くないな、などと思っていたのですが、これが進むにつれてどんどん面白くなって、最後は今年を代表する作品と思うほどに。プロットも音楽も斬新だし、終わり方も良かった。時々チャン・ギヨンが千原ジュニアに見えてしまったのは僕だけか?
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『サムシクおじさん』
2024年/原題:삼식이 삼촌
監督:シン・ヨンシク
脚本:シン・ヨンシク
出演:ソン・ガンホ、ピョン・ヨハン、イ・ギュヒョン、ソ・ヒョヌ、チン・ギジュ、ユ・ジェミョン
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政治をめぐるヒューマン・ドラマ。初のドラマ出演となった政治フィクサー役のソン・ガンホをはじめ、ピョン・ヨハン、ユ・ジェミョンなど素晴らしい役者を揃えた傑作です。時代の闇に翻弄される主人公たちを描いています。とても地味な配役であることと、時間軸が頻繁に行ったり来たりする分かり辛さはありますが、とても面白いドラマです。
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『遊んでくれる彼女』
2024年/原題:놀아주는 여자
脚本:ナギョン
演出:キム・ヨンファン、キム・ウヒョン
出演:オム・テグ、ハン・ソナ、クォン・ユルなど
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これもとても面白かった。子供向け動画配信者と、元ヤクザの食肉加工会社代表のラブ・コメディーです。映画『楽園の夜』のオム・テグ、ドラマ『酒飲みの都会の女たち』のハン・ソナという配役が見事にハマってます。特にいかついけれどシャイな元ヤクザを演じたオム・テグの演技には腹を抱えました。そしてイカれ女以外のハン・ソナも良いですね。
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『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』
2024年/아무도 없는 숲속에서
監督:モ・ワンイル
脚本:ソン・ホヨン
出演:キム・ユンソク、ユン・ゲサン、コ・ミンシ、イ・ジョンウン
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なかなか他に類をみない独創的なサスペンス。偶然訪れた招かれざる客が引き起こす、偶然としか言えない不幸な惨劇を、二つの時代を並行して描きつつ、最後は一つの物語に収束する。サスペンスとしてはツッコミどころもあるけれど、美しい映像、効果的な音響、そしてなんといってもイカれ女というにはあまりにサイコな女を演じたコ・ミンシがすごい。予告編でちょっとだけ観てみてください。特に1分3秒あたり。
『損するのは嫌だから』
2024年/原題:손해 보기 싫어서
監督:キム・ジョンシク
脚本:キム・ヘヨン
出演:シン・ミナ、キム・ヨンデ、イ・サンイ、ハン・ジヒョン、チュ・ミンギョン、コ・ウク、イ・ユジン
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基本的にはラブコメです。僕は血まみれのドラマより、やはりこういう人情の機微を描いたものの方が好きなので、これは面白かった。すこしサイド・ストーリーに時間を割きすぎではありましたが。シン・ミナはさすがコメディーの女王です。ただ一つ、スタイリストの服のセンスがいかがなものかと思います。
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『となりのMr.パーフェクト』
2024年/原題:엄마 친구 아들
脚本:シン・ハウン
演出:ユ・ジェウォン
出演:チョン・ヘイン、チョン・ソミン、キム・ジウン、ユン・ジオン
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もちろん容姿だけで判断してはいけないのだが、今が最旬と思われる主演のチョン・ヘインとチョン・ソミンの2人はやはり華やかで良い。とても良い。特にチョン・ソミンは最高に美しい女優さんになりました。物語としては後半ややだれた感じや最終回のまとめすぎ感はあったけれど十分面白かった。でも例によって邦題は違うと思うのだが。
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『白雪姫には死を~BLACK OUT』
2024年/原題:백설공주에게 죽음을-Black Out
脚本:ソ・ジュヨン
演出:ビョン・ヨンジュ
出演:ピョン・ヨハン、コ・ジュン、コ・ボギョル、クォン・ヘヒョ、ペ・ジョンオク
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視聴率も良かったようですが、これは久々の傑作サスペンスです。想像の上をいく複雑でスリリングなプロット。欲望に塗れ、自己保身と歪んだ家族愛に囚われた醜悪な人間たちを、ピョン・ヨハン、コ・ジュン、コ・ボギョル、クォン・ヘヒョなどの俳優陣が見事に演じ切っています。もっともっと日本でも話題になって良いドラマ。ピョン・ヨハンもクォン・ヘヒョも迫真!
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『愛のあとにくるもの』
2024年/原題:사랑 후에 오는 것들
監督:ムン・ヒョンソン
脚本:ムン・ヒョンソン
出演:坂口健太郎、イ・セヨン
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日本と韓国を舞台にしたラブストーリー。失礼ながら僕は日本のドラマを観ないので坂口健太郎と言われてもピンと来なかったけど、ナイーヴな良い役者さんですね。こういう繊細なラブストーリー、おっさん(僕)は嫌いじゃないです。6話でサクッと終わるのも良い。原作は辻仁成さん。しっとりした FrommのOSTも良かった。
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『私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉~』
2024年/原題:나의 해리에게
脚本:ハン・ガラム
演出:チョン・ジヒョン
出演:シン・ヘソン、イ・ジヌク、カン・フン、ペク・ヘヨン、チョ・ヘジュ、カン・サンジュン、チョン・ベス、オ・ギョンファ
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視聴率も伸びず、SNSでの評判も芳しくなかったのですが、僕はこのドラマはとても面白かった。確かに最初の数話が分かりづらく、とっつきにくかもしれないけど。各々が何らかの「喪失」を抱える主人公たちを描くヒューマンドラマ。解離性同一性障害の主人公を演じたシン・ヘソンの演技はやや過剰気味かもしれないが、素晴らしかったと思う。
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『ジョンニョン:スター誕生』
2024年/原題:정년이
監督:チョン・ジイン
脚本:チェ・ヒョビ
出演:キム・テリ、シン・イェウン、ラ・ミラン、チョン・ウンチェ、キム・ユネ、ムン・ソリ
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韓国の女性だけの劇団「女性国楽劇団」をテーマにしたヒューマン・ドラマ。これは素晴らしいドラマだった。演技力には定評のあるキム・テリだが今回も素晴らしい。このドラマのために3年間パンソリ(伝統歌)を猛練習したとのこと。しかしこのドラマは彼女だけではない。シン・イェウンなど脇を固める役者たちも吹き替えなしに素晴らしい歌や踊りを演技を見せてくれる。果たして日本でこれが可能かと思うと、あり得ないでしょうね。韓国の俳優たちの凄まじい努力には頭がさがる。女性国楽劇団の劇団員を演じながら、劇中で演じられる国劇もしっかり完成度が高い。これ名作です。
ちなみに韓国の伝統芸能パンソリはこんな感じ。歌は劇中でも登場した「春香歌」。
旧作
『ワン・ザ・ウーマン』
2021年/原題:원 더 우먼
脚本:キム・ユン
演出:チェ・ヨンフン
出演:イ・ハニ、イ・サンユン、チン・ソヨン、イ・ウォングン、チョン・グクァンなど
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これはサスペンスではあるのだけど大いに笑ったなぁ。イ・ハニはすごいです。美しい方ですがもはや芸人かというぐらい豪快にコメディエンヌをやりきっています。いまや大ファンになってしまいました。イ・ハニをみるだけでも価値あり。
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『LOST 人間失格』
2021年/原題:인간실격
脚本:キム・ジヘ
演出:ホ・ジノ、パク・ホンス
出演:チョン・ドヨン、リュ・ジュンヨル、パク・ビョンウン、キム・ヒョジン
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静謐な大人のドラマ。幸福な登場人物がほとんどいない。ほぼ鬱状態と言って良い人々が描かれている。まあ簡単に言えばとても暗いドラマで、この鬱な状態に観るものも取り憑かれそうでもあるけど、僕は嫌いじゃない。安易な方向に流されない脚本に確信を感じる。『イルタスキャンダル』なんかよりこっちのチョン・ドヨンのほうがずっと良い(視聴率は逆だったようだが)。なんと演出が名匠ホ・ジノ。
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『緑豆の花』
2019年/原題:녹두꽃
脚本:チョン・ヒョンミン
演出:シン・ギョンス
出演:チョ・ジョンソク、ユン・シユン、ハン・イェリ、チェ・ムソン、パク・ヒョックォン、キム・サンホ、チェ・ウォニョン
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時代劇です。東学党の乱を背景にしたヒューマン・ドラマ。キャストの地味さからなかなか手が出なかったですが、これは名作ですね。日本で話題になりづらいのは、日本が大陸に侵略する時代で、卑劣で傲慢な悪役として描かれているから仕方ないのかも。主役2人(チョ・ジョンソク、ハン・イェリ)も良かったけど、本作はユン・シユンとチェ・ムソンでしょう。
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『半分の半分 ~声で繋がる愛~』
2020年/原題:반의반
脚本:イ・スギョン
監督:イ・サンヨプ
出演:チョン・ヘイン、チェ・スビン、イ・ハナ、キム・ソンギュ、イ・サンヒ
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このドラマ、16話の予定が視聴率の低迷で12話で打ち切りになったのだそうです。でも僕はこのドラマ好きだけどなぁ。やたらスキャンダラスだったり、やたら血まみれのドラマよりも、ファンタジーを交えながらもこういう静謐で美しいドラマが良いです。OSTも良かった。特にこの曲。
ということで今年も作品選びました。ほとんど悩みませんでした。どのドラマも個性的で、韓国ドラマ界の実力を感じます。
ぜひご覧になってみてください!
韓国ドラマ(2023.12〜2024.11)
参考までに以下はこの1年間に観た韓国ドラマ全てのポスターです。
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以下が上記全てのタイトル。
黄色部分は2023年12月分。緑の部分は2024年1月〜11月です。
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