多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ(2022.12〜2023.11)
昨年の「多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ(〜2022.11)」から1年が過ぎ、この間もコンスタントに韓国ドラマを見続けておりました。その結果2022年12月から2023年11月末までに、新たに新作・旧作を含めて115本のドラマを鑑賞いたしました。その中から昨年に引き続き自信を持ってお勧めする「多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ」を22作品選びました。
この1年間も面白い韓国ドラマが山ほどありました。しかしこのセレクションはあくまで僕の感覚なので、必ずしも皆さんの感覚と一致するものではありません。でもどうかドラマ選びの参考にしていただければ幸いです!各ドラマのデータ、ポスター、各々についての短評、そしておまけを付しています!
『愛だと言って』
2023年/原題:사랑이라 말해요
脚本:キム・ガウン
演出:イ・グァンヨン
出演:キム・ヨングァン、イ・ソンギョン、ソンジュン、ハニ、キム・イェウォン
配信:Disney+
このドラマは新たなマスターピースではないでしょうか。復讐しようとした相手に恋をしてしまうヒロインをイ・ソンギョンが静かな熱演。主人公達の心の動きがよくわかる脚本の素晴らしさ。キム・ヨングァン、イ・ソンギョンをはじめとした役者の的確な演技。美しいラブストーリーであり家族のドラマでもあります。OSTも素晴らしく、特に節目で流れるRoy Kimの"Flower"は、しみじみとして絶品でした。
『悪の心を読む者たち』
2022年/原題:악의 마음을 읽는 자들
脚本: ソル・イナ
演出: パク・ボラム
出演:キム・ナムギル、チン・ソンギュ、キム・ソジン、イ・デヨン、キム・ウォネ、キム・ヘオク
配信:U-NEXT
韓国初の「プロファイラー」を取り上げた重厚なクライム・サスペンス。キム・ナムギルの抑えた演技が素晴らしいです。シリアルキラーやサイコパスなど、徹底した取材に裏付けられたプロットと、グロテスクな映像と演技。しかしなんといっても本作を恐ろしいまでに凄いドラマにしたのは、犯罪者たちを演じた俳優たちではないでしょうか。異様なまでの迫力は主人公ならずとも精神に傷を残すほどの熱演でした。
『イ・ドゥナ!』
2023年/原題:이두나!
演出:イ・ジョンヒョ
脚本:チャン・ユハ
出演:ペ・スジ、ヤン・セジョン、ハ・ヨン、パク・セワン、イ・ジヌク
配信:Netflix
物語的に目新しいとか、センセーショナルであるとかではないけれど、心の動きや機微をしっかり描いていて僕はこういうの好きです。ペ・スジは美しいし、さすがガールズ・グループの出身だけに、ダンスがキレッキレで素晴らしい。すっかりファンになりました。最終回について、お互いがまた自分の場所に帰っていくという姿は、ハッピーエンドを望むドラマ民には評判が良くないらしいですが、あのほろ苦さが僕は好きです。
おまけ:ペ・スジの歌と踊り
『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』
2023年/原題:반짝이는 워터멜론
脚本:チン・スワン
演出:ソン・ジョンヒョン
出演:リョウン、チェ・ヒョンウク、ソル・イナ、シン・ウンス、チェ・ウォニョン、チョン・サンフン
配信:RaktenWiki
どちらかというと僕はいわゆるファンタジーものに不得意なドラマが多いのですが、これは面白かった。青春ものだから気恥ずかしい部分もあるけど、高校生がバンドで頑張るプロットは、なんか懐かしくもあるし。最後は調子いいっていえば調子いいのだけど、これはこういう終わり方をしないと台無しだと思う。ソル・イナがすごく良い。出てくるだけで明るい波動というか、とてもヴァイタルなエネルギーを感じさせる。
『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』
2023年/정신병동에도 아침이 와요
脚本:イ・ナムギュ
演出:イ・ジェギュ
出演:パク・ボヨン、ヨン・ウジン、チャン・ドンユン、イ・ジョンウン
配信:Netflix
精神科に勤務するナースが、その誠実さゆえに自分も鬱病になってしまうという、なかなか辛く厳しいドラマです。この作品、あまり話題にもなっていないけれど非常にデリケートな内容で、素晴らしいヒューマン・ドラマだと思います。『力の強い女 ト・ボンスン』でしか見たことがなかったパク・ボヨン、実はあまり好きではなかったのですが、本作ではとてもナイーヴな役どころを的確に演じています。ちょっとファンになりました。
『キング・ザ・ランド』
2023年/原題:킹더랜드
演出:イム・ヒョヌク
脚本:チェ・ロム
出演:ジュノ(2PM)、ユナ(少女時代)、コ・ウォンヒ、キム・ガウン
配信:Netflix
もちろんキャストに華やかさだけを求める訳ではないけれど、今が旬のジュノとユナによるラブロマンス/コメディーは、彼らの華やかさ故に素晴らしいドラマに。ショッキングなホラーやヴァイオレンスはここにはないけれど、とても美しく幸福なドラマでした。脇役陣の明るいキャラ設定もドラマの穏やかなスパイスになっています。でもやはりユナ。光輝いてますね。唯一の問題はキスシーンが多すぎることとでしょうか(笑)。
『恋人』
2023/原題:연인
演出: キム・ソンヨン、チョン・スジン
脚本: ファン・ジンヨン
出演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ハクジュ、イ・ダイン、キム・ムジュン、チョン・ヘウォン
配信:RakutenViki
後金(清)が朝鮮に攻め込み、その武力で朝鮮を属国化させた丙子の乱(1636−1637)の激動の中、すれ違いや紆余曲折を経験しながら、固く愛し合った男女の壮大なラブロマンス。ナムグン・ミンにハズレなしと言いますが、本作での素晴らしい演技はもはや彼の代表作と言って良いかもしれません。アン・ウンジンはすごい美人ではないけれど、戦火の中を逞しく生きる女性を好演。はまり役です。ラストは号泣です。流石にこれはハッピーエンド以外はあり得ないでしょう。
↓OSTのこの2曲が頭から離れません。
『コッソンビ熱愛史』
2023年/原題:꽃선비 열애사
脚本:クォン・ウンミ
監督 :キム・ジョンミン
出演:シン・イェウン、リョウン、カン・フン、チョン・ゴンジュ、オ・マンソク、ハン・チェア
配信:AmazonPrime
宮中を舞台にした時代劇が多い中、このドラマはそういう部分が割と少なくて(ない訳ではありません)、一見穏やかなようでいて実はサスペンスフルなプロットです。市井の物語から、徐々に王室がらみのドラマへと連なっていく、とてもスリリングなドラマでした。売れっ子の女優シン・イェウンは笑うと表情がクチャっと崩れて愛嬌があるので、物語の深刻さが救われる部分があります。
『財閥家の末息子』
2022年/原題:재벌집 막내아들
脚本:キム・テヒ
監督:チョン・デユン
出演:ソン・ジュンギ、イ・ソンミン、シン・ヒョンビン、キム・ヒョン、ユン・ジェムン、キム・ジョンナン、キム・ナムヒ、パク・ジヒョン、チョ・ハンチョル、ソ・ジェヒ、チョ・へジュ、キム・シンロク、キム・ドヒョン、キム・ヨンジェ、チョン・ヘヨン、チョン・ヒテ
配信:Lemino
まずはソン・ジュンギの新しい主演ドラマとして大きな話題となりましたが、内容も頗る面白かったです。一種のファンタジーでもあり、また韓国ドラマお得意の財閥一家の醜い確執をスキャンダラスに描いています。もちろんソン・ジュンギも好演なのですが、なんと言っても財閥の長を演じるイ・ソンミンの怪演こそこのドラマの肝。しかしなんでしょう、未だに高校生役でも違和感のないソン・ジュンギって?
『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』
2022年/原題:더 글로리
脚本:キム・ウンスク
演出:アン・ギルホ
出演:ソン・ヘギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン、ヨム・ヘラン、パク・ソンフン、チャ・ジュヨン、キム・ゴヌ、チョン・ジソ、シン・イェウン、チョン・ソンイル
配信:Netflix
日本でももちろんですが、いじめの問題は韓国でも大きな問題のようです。むしろ熱しやすい彼の国ことですから日本よりさらに深刻かもしれません。このドラマは学生時代に壮絶ないじめの犠牲となった女性の復讐劇。ソン・ヘギョがその主役を務めていますが、感情を抑えた演技が素晴らしい。しかしなんと言ってもいじめっ子五人組。濃いキャラクターをほんと憎たらしく演じていて素晴らしいです。
『サムバディ』
2022年/原題:썸바디
脚本:ハン・ジワン
演出:チョン・ジウ
出演:キム・ヨングァン、カン・へリム、キム・ヨンジ、キム・スヨン
配信:Netflix
本作は配信されているドラマ中では頭抜けた問題作と言って良いと思います。主人公はアスペルガー症候群のコンピューター・プログラマーとサイコなシリアルキラー。プログラマーの勤務する会社のセットなどの美術も面白いし、グロテスクな描写や露骨にエロティックな場面も多い。主演カン・へリムのあっけらかんとした表情や、キム・ヨングァンの薄気味悪さも見事だった。まあ、僕は好きだけど、好き嫌いは凄くあると思います。
『シュルプ』
2022年/原題:슈룹
演出:キム・ヒョンシク
脚本:パク・バラ
出演:キム・ヘス、キム・へスク、チェ・ウォニョン、ムン・サンミン、ペ・イニョク、ユン・サンヒョン、ユ・ソンホ、オク・ジャヨン、キム・ガウンなど
配信:Netflix
時代劇も、如何にもという臭いプロットのものは、面白くはあってもやはり余程個性的なものでなければ「ぜひこれは観てほしい」というものではありません。本作は王室における「母」にフォーカスした視点が新しいこと、宮中を走り回る王妃役の大女優キム・ヘスの貫禄と気迫のある演技が、実に斬新な作品でした。隠れキャラ(隠れてもないけど)「ホドン君」という息抜きもあり、時代劇に対する拒絶感も少ないと思います。
『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?~』
2020年/原題:철인왕후
脚本:パク・ゲオク
演出:チャン・ヤンホ
出演:シン・ヘソン、キム・ジョンヒョン、ペ・ジョンオク、キム・テウ、ソル・イナ、キム・イングォン、チェ・ジニョク、イム・チョルミン、ユ・ヨンジェ、チョン・ベス
配信:hulu
現代のシェフの魂が朝鮮王朝の王妃の体に入ってしまうという突飛な物語ですが、韓国時代劇でこれだけ笑ったのはこれしかありません。とにかく主演のシン・ヘソンが素晴らしい。コメディエンヌとして最高です。ちょっと陰気な顔があまり好きじゃない女優さんでしたが、本作を見てから我が家では「シン・ヘソン先生」と呼んでいます(笑)。後半はシリアスなドラマですが、時代劇が嫌いな方も本作は是非観てほしい。
『なにもしたくない』
2023年/原題:아무것도 하고 싶지 않아
脚本:ホン・ムンピョ、イ・ユンジョン
演出:イ・ユンジョン、ホン・ムンピョ
出演:キム・ソリョン、イム・シワン、キム・ソリョン、シン・ウンス、パン・ジェミンほか
配信:U-NEXT
都会の生活に疲れた女性が全てを捨てて田舎での生活を始め、そこで新たなロマンスと自分を見出す、なんていうのはもちろん非常にありきたりな物語なのであります。しかしそれがソリョンとイム・シワンの二人の主演によるドラマとなるとまた話が違うのです。適当にサシペンスを交えながら、この二人の爽やかな演技が物語を違うものに見せてくれるのです。いわゆる「何も起こらない系」の秀作です。
『庭のある家』
2023年/原題:마당이 있는 집
監督:チョン・ジヒョン
脚本:チ・アニ
出演:キム・テヒ、イム・ジヨン、キム・ソンオ、チェ・ジェリム、チョン・ウンソン、チャ・ソンジェ、ペク・ヒョンジュ、チャ・ミギョン、イ・ウンジョン
配信:hulu、RaktenViki
これ視聴率も伸びず、あまり話題にものぼらなかった様だけど、傑作じゃないですか?二転三転するスリリングなプロット、舞台装置としての無機質な家、秀逸な構図とモノクロとカラーの効果的な使い分け、不安を増長する音楽、シュールな展開のとても斬新なドラマでした。8話できっちり終わるのも良いです。そしてキム・テヒとイム・ジヨンの演技。特にイム・ジヨンは悪い顔をさせたら天下一品。映画にしても良いようなドラマでした。
『ハートビート』
2023年/原題:가슴이 뛴다
脚本:キム・ハナ、チョン・スンジュ
演出:イ・ヒョンソク、イ・ミンス
出演:オク・テギョン、ウォン・ジアン、パク・ガンヒョン、ユン・ソヒ、ユン・ビョンヒ、コ・ギュピル、キム・イングォン、ムン・スンユ、ペク・ソフ
配信:AmazonPrime
これはヴァンパイアもののファンタジーということで、大体こういうプロットは、いい作品に巡り合うことがないので、正直全く期待しないでみました。しかしこれはちゃんとおもしろいドラマでした。安易な終わり方にしなかったところも好感でした。好感といえばこの女優(ウォン・ジアン)さん。地味な感じだけどとても好感度が高い人だな。
『パンドラの世界 ~産後ケアセンター~』
2020年/原題:산후조리원
脚本:キム・ジス、チェ・ユンヒ
演出:パク・スウォン
出演:オム・ジウォン、パク・ハソン、チャン・ヘジン、ユン・バク、チェ・リ、イム・ファヨン、イ・ジュンヒョク
配信:RaktenViki、U-NEXT、hulu
これはメチャクチャ面白かった。韓国ではお産の後の入院期間が短いため「バースケアセンター」という施設で一定期間妊婦の産後のケア、育児の教育などを受けるそうで、日本と全く違うシステムが存在します。仕事では女性として最も若く常務となった主人公は、そこでは最も高齢で無知な妊婦に。とにかく前半は爆笑に次ぐ爆笑、後半はほろ苦い。『シスターズ』での悪役も印象的だったオム・ジウォンが素晴らしかった。
『マスクガール』
2023年/原題:마스크걸
監督・脚本:キム・ヨンフン
出演:コ・ヒョンジョン、ナナ、アン・ジェホン、ヨム・ヘランなど
配信:Netflix
いや、かなり凄まじいドラマでした。万人におすすめできる内容ではないかもしれません。容貌にコンプレックスのある女性(スタイルは抜群)が、マスクをしてネット配信をするうちに、人気が出たために事件にまきこまれていきます。かなりショッキングな場面もあります。なんといっても圧倒的なのは名脇役ヨム・ヘランですが、整形手術後の主人公を演じた「顔天才」ナナちゃんの、刑務所での狂気の演技もすごかった。
*おまけにナナとハン・ジェイのダンスシーン。
『餌<ミッキ>』
2023年/ 原題:미끼
演出: キム・ホンソン
脚本:キム・ジヌク
出演: チャン・グンソク、ホ・ソンテ、イ・エリヤ、パク・ミョンフン
配信:U-NEXT、RaktenViki
大規模なマルチ商法詐欺事件を取り上げたクライム・サスペンス。僕はドラマでチャン・グンソクを観たのは初めてだったのですが、良い役者ですね。権力者と癒着した詐欺行為に震撼せざるを得ません。最後まで手に汗握る展開は、こういうサスペンスの中でも出色。決して自分は悪くないと言い張る詐欺師をホ・ソンテが本物じゃないかというぐらいの怪演にして快演。ハマり過ぎでした。
『ムービング』
2023年/原題:무빙
監督:パク・インジェ
脚本:カン・プル
出演:リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、チョ・インソン、チャ・テヒョン、リュ・スンボム、キム・ソンギュン、キム・ヒウォン、ムン・ソングン、イ・ジョンハ、コ・ユンジョン
配信:Disney+
これは傑作です。超能力者の工作員たちの北と南の凄まじい戦いに、3組のラブストーリー、そして親子や家族の絆を描いたヒューマンドラマとを共存させた脚本が秀逸だし、惜しみなくお金をかけたCGのレベルの高さに驚かされました。かなりグロい暴力描写もあるけれど、役者たちの演技も迫真で、個人的には最終話がちょっと残念だったけど、夢中でみたドラマの一つになりました。ハン・ヒョジュはやはり最高の女優です。
↓おまけ:一話〜二十話のオープニングをまとめた動画ですって。
『メランコリア』
2021年/原題:멜랑꼴리아
脚本:キム・ジウン
演出 キム・サヒョン
出演:イム・スジョン、イ・ドヒョン、チン・ギョン、チェ・デフン、ウ・ダビ、チャン・ヒョンソン、ピョン・ジョンス、オ・ヘウォン
配信:U-NEXT
数学の女性教師とその教え子の天才的数学者との物語。韓国では記録的に低い視聴率だったようですが、しっとりした美しいドラマでした。数学が得意ではない僕ですが、数学を美しく芸術的なものとしてドラマのモチーフとしたのは画期的だと思います。主演のイム・スジョンとイ・ドヒョンはどちらも誠実な印象がありますね。後半は復讐劇ですが、敵役チン・ギョンの演技はちょっと大袈裟すぎたかも知れませんね。
このドラマも挿入歌が素晴らしかったのでリンクしておきます。
『誘拐の日』
2023年/原題:유괴의날
脚本:キム・ジェヨン
演出:パク・ユヨン
出演:ユン・ゲサン、パク・ソンフン、ユナ、キム・シンロク、キム・サンホ、ソ・ジェヒ、カン・ヨンソク
配信:AmazonPrime
正直なところ、華のある俳優がほとんど出演していないドラマです。キム・シンロクとかキム・サンホとか、名バイプレーヤーは出ているけれど。子役が長時間出てくるドラマは苦手な私ですが、このドラマは誘拐がネタなので子役なしには成り立たないプロットです。その点本作のユナちゃんは非常に上手く、こ生意気な天才少女を好演しています。複雑なでスリリングな展開がかなり面白かったです。ユン・ゲサンもハマり役です。