yamabra disk: CHORO CLUB / Caleidoscópio
これは本作に限ったことではないが、ショーロクラブのアルバムは一曲目の一音目から、なぜか涙腺を刺激される。最初の一音に込められた彼らの心情がそうさせるのか、果てまた純粋にその音そのものがそうさせるのか、あるいは僕の彼らに対する勝手なシンパシーがそうさせるのか、おそらくそれら全てが混ぜこぜになって全く定かではないのだが、とにかくオジちゃんたちのアルバムにはいつもそういう目に遭わされる。
本作は6年前の「Musica Bonita」以来、通算12枚目のアルバム。手前味噌だが、前作のジャケットで秋岡さんがきているのは当会の会員限定Tシャツである。
思えば我々がライブの招聘を行なっていた時、初めて山形に来ていただいたのは笹子・秋岡デュオだった。だから気持ち悪いけれど、おじちゃんたちに僕は特別な愛着がある。
それ以降も何度も来てもらったけれど、彼らももう僕と同じぐらいのとっくに初老なのだ。しかし出てくる音は相変わらずヴィヴィットで、美しいけれど刺激にも満ちている。一応(?)ショーロを音楽の基本としているし、リズム的にも常にブラジルの様々なスタイルが使われるのだが、常にこの人たちの音楽は独自であり、本作はまたタイトルの万華鏡(Caleidoscópio)のように、曲想も多様多彩である。表層的に彼らの音楽に「癒し」を求める向きもあるようだが、それは全く違うと思う。このおじさんたちが人に癒しを与えようなどと邪な(?)気持ちで音楽を奏でるわけがない。ショーロのおじさんたちは、初老クラブと揶揄されつつも、今日もただただ音楽の創造のために老骨に鞭打ち、久しぶりのアルバムを届けてくれた。。
残念ながら今のところ試聴できるリンクは無いようです。