Fusion 30
レコード・コレクターズの2024年5月号の特集は「フュージョン・ベスト100」でした。とても懐かしく拝見しました。この「フュージョン」という言葉、いつ頃から使われたのか僕は定かに覚えていませんが、この雑誌の記事によれば1978-79年の頃からだといいます。なんか個人的にはもっと以前からのような気もするのですが、いずれにしろここに取り上げられているようなアルバムを、当時は最先端の音楽としてよく聴きました。ジャズに、ロックやソウル/ファンク、場合によってはブラジル音楽やクラシックまでの垣根をとっぱらったジャンル横断的な音楽を、「フュージョン」という枠に再度カテゴライズするという一種のパラドックスを孕みつつ。
そういう音楽であればこそもちろん振れ幅も広く、MilesやWeather Report、Chick Coreaなどの立派な(?)ものから、ずっとポップで良い意味でナンパなものまですべてを「フュージョン」として扱ったのです。僕はもう明らかにナンパ系の音源が好きなのですが、それ以外のちゃんとしたのもそれなりに聴いていました。
Miles Davisの音楽ももちろんこの範疇に入れて良いものもあるのだけど、僕の頭の中では当時から恐れ多くて彼の音楽だけは「フュージョン」の中にいれて考えていなかったのです(意味不明ですが、一種の固定観念かな)。だから今回のリストにも入れていません。おそらくのちに「フュージョン」と言われる音楽を初めて聴いたのはMahavishnu Orchestra。異様な迫力に興奮しました。またHerbie Hancockの「Head hunters」は初めて聴いたFunkでした。でも最も聴いたのはThe CrusadersやDavid Sanbornかもしれません。そうそうMilton Nascimentoを知ったのもWayne Shorter - Native Dancerでした。
とかなんとか言いつつも、結局は特にこれはというとっておきの盤とか、誰も知らない隠れ名盤とかは全くなくて、ベタな有名盤ばかりです。しかし改めて聴いてみると、これらの音源にはほとんど古さを感じません。だからこの時代のいわゆる「フュージョン」と言われた音楽のやっていることは極めて真っ当だったのだと思うし、今の耳にも十分に新鮮なものに感じます。
ということで当時聴いた(あと聴きもすこしあります)「フュージョン」を30枚選びました。例によって僕にとっての「フュージョン」であり、名盤紹介ではありませんので、そこのところはご承知おきください。Airto Moreiraは残念ながら「Fingers」がフル配信されていないので「Promises of the Sun」を選びました。