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2024年、11冊の本

正しくは「2024年の本」ではなく「2024年に読んだ本」である。音楽や映画や韓国ドラマに余暇のほとんどを費やす最近の僕は、本を読む時間がグッと減っている。だから小説などの文学的な本は今年はほとんど読まなかった(ハン・ガン作品にもチャレンジしたがまだ咀嚼できていない)。

今年は韓国ドラマの影響でどうしても韓国がらみの本が多い。興味の方向性がそっちに偏っているかも。最も近い「隣の国」でありながら彼の国の文化に対する知識があまりにも欠如していることを思い知る。

物に関する本や旅に関する本も果たし得ない個人的願望の、一種の捌け口にはなるようだ。そして中村善郎さんの初の小説集は非常に面白かったし、女優小橋めぐみさんのアジア映画のエッセイも新鮮だった。また「見る本」として鬼海さんの写真集、柚木さんの絵本も秀逸。

本はやはり電子ブックではなく紙の媒体がよいなぁ、と思いつつも老い先短い者としてはあまり物を増やしたくもないというアンビバレントな葛藤はまだ僕の中で解決がつかない。



アジアシネマ的感性

小橋めぐみ (著)

女優小橋めぐみさんによる、24本のアジア映画に関するエッセイです。アジア映画が大好きな僕にとってはまさにタイムリーな本でした。女優さんらしい感性と美しい文体で紐解くアジア映画は、すでに見ている映画についてもとても新鮮でした。

出版社 ‏ : ‎ A PEOPLE
発売日 ‏ : ‎ 2024/3/16
単行本 ‏ : ‎ 168ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 490979252X


アニョハセヨ韓国

前田エマ (著)

韓国に留学までしていたモデルの前田エマさんによる韓国ガイド。単なるガイドブックではなくて韓国のカルチャーまで踏み込んでいます。実に面白い!これでますます韓国行きたくなってしまった。韓国の街をみる視点が素晴らしい。

出版社 ‏ : ‎ 三栄書房
発売日 ‏ : ‎ 2024/6/20
単行本 : ‎ 176ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 477965033X


異界・サウダージ

中村善郎 (著)

日本を代表するボサノヴァ・シンガーの中村善郎さんの4編の小説集。タイトル通り日常と異界が交差する不思議な物語。文体も素晴らしいし、物語も中村さんの南米での体験をベースにしていて、飽くことない面白さです。

出版社 ‏ : ‎ 東京図書出版
発売日 ‏ : ‎ 2024/8/28
単行本 ‏ : ‎ 186ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4866417919


ウィローデールの手漕ぎ車: または ブラックドールの帰還

エドワード・ゴーリー (著), 柴田 元幸 (翻訳)

2024年もエドワード・ゴーリーの作品が恐らく2作品、柴田元幸の訳で発刊されました、これはその中の一作で。実にエドワード・ゴーリーらしい、不条理で意味不明な作品です。ゴーリー好きには堪らない。

出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社
発売日 ‏ : ‎ 2024/10/29
単行本 ‏ : ‎ 72ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 430925781X


オアハカの動物たち: Vintage Oaxacan Wood Carving

岩本慎史 (著), 安彦幸枝 (写真)

メキシコのオアハカで作られているオアハカ・ウッド・カービングを一冊の本意まとめています。柚木沙弥郎さんなどが収集していた愛嬌のある動物たちの木彫りは本を見ているだけでも楽しいのですが、これに触発されて何体か購入してしまった。

出版社 ‏ : ‎ 大福書林
発売日 ‏ : ‎ 2023/9/13
単行本 ‏ : ‎ 160ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4908465193


韓国の味 (別冊 中くらいの友だち)

『中くらいの友だち』編集部 (著)

この本で韓国の食文化の奥深さを知りました。しかし逆にこういう本を見ると、韓国ドラマのなかでの食文化の貧しさ(インスタントラーメンとトッポギばかり)はなんとかならないかとも思う(笑)。

出版社 ‏ : ‎ CUON
発売日 ‏ : ‎ 2024/11/25
単行本 ‏ : ‎ 144ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4910214704


東京ポートレイト

鬼海 弘雄 

寒河江市出身の写真家、故鬼海弘雄さんが撮影した東京の「人間たち」の写真集。一人一人の写真に短いコメントが付されていて、人間の業が映し出されているようです。人間とはかくも多様であるのです。探していたが山形美術館で定価で購入。

出版社 ‏ : ‎ クレヴィス
発売日 ‏ : ‎ 2011/8/1
単行本 ‏ : ‎ 197ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4904845145


隣の国の人々と出会う: 韓国語と日本語のあいだ

斎藤 真理子 (著)

これは言葉の本である。韓国語のマル(言葉)の背後には「道理や常識」がなければならない。してみればこの日本の衰退は言葉を軽視し、嘘を無関心に容認してきたことに集約されるのではないか。著者はノーベル賞作家ハン・ガンの訳者として知られる。

出版社 ‏ : ‎ 創元社
発売日 ‏ : ‎ 2024/8/27
単行本 ‏ : ‎ 160ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4422931180


ひとりみんぱく

松岡宏大 (著, 写真)

世界を旅した著者が記した旅の本であり、そこで入手した数々の興味深い「物」が、美しい写真で紹介されている。よくもまあこんなにさまざまな場所に旅したものだ。「ひとりみんぱく」とは「一人民藝博物館」の略。中身も装丁もすばらしい。

出版社 ‏ : ‎ 国書刊行会
発売日 ‏ : ‎ 2024/2/8
単行本 ‏ : ‎ 256ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4336076189


へたな旅

牧野 伊三夫 (著)

画家牧野伊三夫さんの旅と食に関するエッセイ集。長い休みがとれず普段時間に追われた旅しかできない僕には実に羨ましいアナログな旅の本である。この人に旅の基本は酒を飲むことですね。牧野さん自身による挿絵もたくさん掲載。

出版社 ‏ : ‎ 亜紀書房
発売日 ‏ : ‎ 2024/11/8
単行本 ‏ : ‎ 256ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4750518603


夜の絵 

村山 亜土 (著), 柚木 沙弥郎 (イラスト)

岩手県立美術館の「柚木沙弥郎 永遠のいま」展で購入した絵本。幻の名作?らしい。村山亜土さんの童話に柚木沙弥郎さんが、布コラージュによる絵を付したものです。物語もさることながら実に独創的な柚木さんの絵が美しい。

出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房
発売日 ‏ : ‎ 2019/7/12
単行本 ‏ : ‎ 44ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4480804870

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