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偏愛音楽。 ロマンティック!

「偏愛音楽」の20回目は「ロマンティック」な音源をセレクトしました。

さて「ロマンティック」という言葉の意味は、

現実離れした甘美で理想的な雰囲気やなりゆきであるさま

です。であるからしてここでは「音楽的に非現実的なぐらい甘美である」という視点で選ぶ、ということです。しかし当たり前と言えば当たり前なのですが、アルバム一枚全てがロマンティックな曲で終始しているということはまずないわけであり、むしろそれは退屈でもあるわけです。だから全体の印象がロマンティックなアルバムであっても、中にはそうは言えない曲もあることは構成上はむしろ聴く者にとっては好ましいとも言えます。

ということで、今回は僕が偏愛する「ロマンティック」なアルバムを選びましたが、気がつくとストリングス〜オーケストレーションが加わったものを多く選んでいます。だから僕にとってはロマンティックを構成するものの一つとしてストリングス・アレンジメントが一つのポイントなのかもしれません。ただし断っておきますが、あくまでも僕にとってロマンティックなものであり。必ずしも万人がそう思うかどうかは別です。その点はご承知ください。

あまりたくさんのディスクを紹介しても聴く気にならないと思うので、今回も10枚だけに絞り、各々に簡単なコメントを付しました。

*ちなみにこれまでの「偏愛音楽。」はこちらにマガジンとしてまとめています。今回の見出し画像はGrokで作成(弘前公演のロマンチックな桜の景色のなかのハンフリー・ボガードとイングリット・バーグマン)したものです。



Caetano Veloso - Fina Estampa Ao Vivo

Caetano Velosoの1995年にリリースされたライブ・アルバム。ラテンアメリカの伝統的な音楽とポピュラーソングのカバーを中心に構成されていて、ラテンアメリカ音楽への愛情と敬意が感じられます。プロデューサーにJaques Morelenbaumを迎えて、美しいストリングス・アレンジと情感豊かなボーカルがとてもロマンティックなアルバムです。


Durval Ferreira - Batida Diferente

僕の大好きなブラジルの作曲家/ギタリスト/プロデューサー、故Durval Ferreira(1935−2007)の2004年のアルバムです。Osmar Milito、Robertinho Silva、Raul De Souza、Bebetoなどなど素晴らしいメンバーをサポートに、主としてビッグバンド的な形態のなかで、Durval Ferreiraの儚くロマンティックな楽曲が素晴らしい。Bebetoの歌が儚い。


Eduardo Gudin - Valsas, Choros e Canções

本作ではEduardo Gudinが常に取り上げてきたサンバが演奏されていません。タイトル通りのヴァルサやショーロ、そしてカンションを主体とした選曲がされていて、いつにも増して優雅で審美的であり、Naila Gallottaのクラシカルなピアノとのアンサンブルは、近年共演を続けているLéla Simõesのしっとりとした歌声と共に、よりロマンティックな空気を感じます。


Jane Birkin - Birkin / Gainsbourg : Le symphonique

Jane Birkinが、亡夫Serge Gainsbourgの楽曲をシンフォニック・オーケストラで綴る作品。ピアノと編曲を中島ノブユキさんが担当。Janeの歌の愛らしさと情感、Gainsbourgの楽曲の魅力を再認識させられます。そしてなんといっても中島さんのアレンジが素晴らしすぎる。繊細で審美的でセンチメンタルで劇的で、色彩と陰影に溢れています。ロマンティックだ。


João Gilberto - Amoroso

本作は、1977年にリリースされたJoão Gilbertoの代表的な作品の一つと言って良いでしょう。特徴は何と言ってもJoãoの歌とギターに、オーケストレーションを加えたことです。Claus Ogermanの繊細にして色彩豊かなアレンジメントによって、ジョアンのアルバムの中でも特別に優雅でロマンティックな作品です。


José Antonio Méndez - Canta Solo Para Enamorados

本作は、フィーリン(Feeling)」の先駆者として知られている、José Antonio Méndezがボレロの美しさを存分に表現したアルバムです。甘い歌声とシンプルで抒情的なギターの伴奏が、ロマンティックな雰囲気を作り出しています。キューバ音楽の歴史と情熱が凝縮されたアルバムであり、ラテンアメリカ音楽のロマンチシズムを堪能できる作品です。


Laufey - Bewitched

Laufeyの魅力はやはりその歌声です。落ち着いていて、大人の女性らしいしっとりした繊細な情感が溢れています。流麗なストリングスのアレンジと彼女の歌との相乗効果で、その世界観はどこまでもスイートでロマンチックです。ただノスタルジーに耽溺するのではなく、そういうスタイルの中に彼女の持つ新鮮な感覚が輝きを放っています。


Michel Legrand, Pedro Paul Castro Neves - Michel Legrand & Pierre Paulo Castro Neves

Michel Legrand はブラジル音楽にも造詣が深いことは皆様ご存じでしょう。一方Pedro Paulo Castro Nevesは、Oscar, MarioのCastro Neves兄弟のひとりらしいのですが、ブラジル人らしからぬ発声で端正な歌を歌う人です。二人によるこの作品では、Legrand自身の曲とブラジルの曲を取りあげています。フランスとブラジルのこの上なくロマンティックな融合。


Omara Portuondo - Palabras

Omara Portuondoが、ボレロやソン、トローバといったキューバの伝統的な音楽スタイルを中心に収録したアルバムです。Omaraの情感あふれる歌声が堪能できます。しかしサウンド的にはモダーンで洗練されているので。感情過多にならずに、彼女のロマンティックな音楽性が際立つアルバムだと思います。


Sílvia Pérez Cruz - En la Imaginación

Sílvia Pérez Cruzのあの震える様な情感溢れる歌声は、時にはあまりに強烈すぎて聴く者に突き刺さってしまうこともあります。しかしベースのJavier Colinaのトリオとの本作は、キューバの音楽を題材とした取り上げて、ジャズとして表現した作品で、彼女の柔らかい一面がとてもロマンティックで好ましいアルバムです、


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