韓国ドラマ短評(2024年8月)。
韓国ドラマ短評、2024年8月分です。この7月から一月ごとにその月に観終わった韓国ドラマを短評をつけて記録します。その月に観終わったドラマを、面白く無かったものも含めて全て記録します。僕個人の好みが結構偏っているので参考にならない部分もあるかもしれませんが、ご勘弁を。
今月は短いドラマが多かったので、なんと15本も観てしまいました。新作では『遊んでくれる彼女』、『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』が素晴らしかったし、旧作では『クリーニングアップ』、『チアアップ』、『アンクル ~僕の最高のおじさん~』などはおすすめできます。
全てのドラマに脚本などの情報と短いコメントを付してあります。参考にしていただければ幸いです。
『クリーニングアップ』
2022年/原題:클리닝 업p
脚本:チェ・ギョンミ
演出:ユン・ソンシク
出演:ヨム・ジョンア、チョン・ソミン、キム・ジェファ、イ・ムセン、ナ・イヌ
配信:U-Next
証券会社の清掃員をしながら2人の子供を養うシングルマザー。もちろん生活は苦しく借金の取り立ても厳しい。しかしひょんなことからインサイダー取引に手をそめることになる。手に汗握るスリリングなドラマです。俳優はとても地味だけれどこれは面白かった。ちなみに映画『7番房の軌跡』の天才子役カル・ソウォンが少しお姉さんになって出演しています。
『こうなった以上、青瓦台に行く』
2021年/原題:이렇게 된 이상 청와대로 간다
脚本:キム・ホンギ、パクヌリ、チェ・ソンジン、カン・ジヒョン、ユン・ソンホ
演出 :ユン・ソンホ
出演:キム・ソンリョン、ペク・ヒョンジン、ペ・ヘソン、イ・ハクジュ、チョン・スンギル、イ・チェウン
配信:U-Next
政界を舞台にしたブラック・コメディーです。キャストはかなり地味だけど、これは面白かったなぁ。展開が早くてとんとん進むテンポがすごく良いです。最後はちょっと煮え切らない終わり方っていう感じもあるけど。こういう卑怯で情けないオヤジ役をやらせるとペク・ヒョンジンは本当に上手い。ハマり役だと思う。この人ミュージシャンでもあるそうだ。
『哲仁王后 竹の森』
2024年/原題:철인왕후: 대나무 숲
演出 :チャン・ヤンホ
脚本 :チェ・アイル
出演 :シン・ヘソン、 キム・ジョンヒョン、ペ・ジョンオク、キム・テウ、ソル・イナ、チェ・ジニョク、ナ・イヌ
配信:Amazon Prime
傑作爆笑時代劇『哲仁王后 ~俺がクイーン!?』のスピンオフです。30分程度の2話なのであっという間に終了。まあ元のドラマを見ていなければ全く何が何だかわからないのですが、スピンオフができるくらいこのドラマ人気があったのですね。ぜひ「~俺がクイーン」の方を見てからご覧ください。
『Missナイト & Missデイ』
2024年/原題:낮과 밤이 다른 그녀
脚本:パク・ジハ
演出:イ・ヒョンミン
出演:イ・ジョンウン、チョン・ウンジ、チェ・ジニョク
配信:Netflix
それなりに面白いと思いつつ観ていたのですが、12−13話あたりで物語が全く前に進まず、ちょっと中弛みがひどい。尺が余ったのかと思ってしまう。なぜ主人公は日中はおばさんに変身するのか、最終話でなぜ主人公が急に元に戻ったのかの必然性に乏しいと感じます。イ・ジョンウンはよい役者さんですが、こういうシチュエーションはあまり似合ってないような。
『ブラインド』
2022年/原題:블라인드
脚本:クォン・キギョン
演出:シン・ヨンフィ
出演:オク・テギョン、ハ・ソクジン、チョン・ウンジ、キム・ポプレ、チョン・インギ
配信:U-Next
かなり入り組んだ復讐劇。ダークでかなりグロい描写もあり。二転三転しスリリングで面白い展開なのだけれど、やはり1990年頃に子供を監禁・虐待し、強制労働をさせる施設があったという設定は正直無理かな〜〜。多分現実的にはそんな採算の取れないことはしないだろうなぁ〜って、たとえドラマでも、ちょっと冷めてしまった。あと、誰が怪しいか分かりやすすぎる。
『遊んでくれる彼女』
2024年/原題:놀아주는 여자
脚本:ナギョン
演出:キム・ヨンファン、キム・ウヒョン
出演:オム・テグ、ハン・ソナ、クォン・ユルなど
配信:U-Next
これはとても面白かった。子供向け動画配信者と、元ヤクザの食肉加工会社代表のラブ・コメディー。映画『楽園の夜』のオム・テグ、『酒飲みの都会の女たち』のハン・ソナという、2人が生み出すケミがすばらしい。特にいかついけれどシャイな元ヤクザを演じたオム・テグの演技には腹を抱えた。今年の観たドラマの中では最も好きな作品の一つです。
『酒飲みな都会の女たち2』
2022年/原題:술꾼도시여자들2
演出:キム・ジョンシク
脚本:ウィ・ソヨン
出演:イ・ソンビン、ハン・ソナ、チョン・ウンジ、チェ・シウォンなど。
配信:U-Next
あの破壊力抜群だった『酒飲みな都会の女たち』のシーズン2。シーズン1に比べればややヒューマン・ドラマ的要素が強いとは思うけど、本作も強力に面白かった。しかし『遊んでくれる彼女』では麗しかったハン・ソナは、いかれ女を演じさせると右に出るものはいない。最恐です。このところ女優はハン・ソナ、チョン・ウンジばかり出てくる(笑)。
『レッド・スワン』
2023年/原題:화인가 스캔들
監督:パク・ホンギョン
脚本:チェ・ユンジョン
出演:キム・ハヌル、ピ、チョン・ギョウンなど
配信:Disney+
韓国ドラマお得意の財閥系どろどろサスペンス。スリリングな展開ではあるけれど、こういうドラマはは脚本が緻密じゃないと、主人公の行動がアホに見えちゃう。「危機」を作り出すために、主人公たちに「すき」を作ってしまうから、「それはないでしょ』っていう場面が多くなる。最後は尺が足りなかった感じも。
『偶然かな。』
2024年/原題:우연일까?
監督:ソン・ヒョヌク
脚本:パク・グロ
出演:キム・ソヒョン、チェ・ジョンヒョプ、ユン・ジオン、キム・ダソムなど
配信:Disney+
まあなんと申しますか、日本でも女性陣に人気(日本のドラマにも出たようですね)のチェ・ジョンヒョプが出演しているので、そういう観点からご覧になった女性ファンにはきっとうけたのでしょうね。おっさん的には特にキム・ソヒョンさんのファンでもないので、正直可もなく不可もないラブ・ストーリーですた。辛口でごめんなさい。
『ラブソリューション 〜愛の解決策、教えます〜』
2024年/原題:끝내주는 해결사
脚本:チョン・ヒソン
演出:パク・ジンソク
出演:イ・ジア、カン・ギヨン、オ・ミンソク、キム・ソニョン、ナ・ヨンヒ、ソ・へウォン
配信:U-Next
またまた辛口で恐縮です。これもサスペンスとして、登場人物の納得いかない行動や、この場面でラブ・シーンなんて入れる?という感じのつっこみどころが多くて、演出も脚本もちょっと今ひとつだと思います。結構視聴率は良かったみたいですが、おじちゃん(俺)は文句言いまくりながら観ているパターンでした。ごめんなさい。
『暴君』
2024年/폭군
監督:パク・フンジョン
脚本:パク・フンジョン
出演:チョ・ユンス、チャ・スンウォン、キム・ソンホ、キム・ガンウ
配信:Disney+
監督・脚本がパク・フンジョンだけに、もう最初っから凄まじい血まみれアクションの連続です。4話で終われるのかなって思っていたところ、最終話では有名どころの役者たちがほとんど全て死んじゃって、しかしそれでもこれは「続く」のドラマです。だって何も解決してないし、化け物化した主人公は生き残っているようだし。
『彼女のバケットリスト』
2021年/原題:그녀의 버킷리스트
演出:ファン・ギョンソン
脚本:ファン・ヤン、ソップ
出演:キム・ソヘ、ナ・イヌ、イム・セジュン、ミヨン
これまで完走したドラマのなかで、これは最もひどいドラマだった。短く軽いドラマを見たいと思ったのが大失敗。もう役者がナ・イヌ以外は素人かと思うぐらいのレベル。韓国のドラマでここまで演技の酷いドラマは初めて。演出の妙な「間」もあり得ない。という意味でなかなか珍しいドラマだった。最後まで観た自分を褒めてあげたい。
『チアアップ』
2022年/치얼업
演出:ハン・テソプ、オ・ジュニョク
脚本:チャ・ヘウォン
出演:ハン・ジヒョン、ペ・インヒョク、キム・ヒョンジン、チャン・ギュリ、イ・ウンサムなど
配信:Netflix
大学の応援団のドラマということで、誰かが面白いと書いてはいたものの期待しないで観ました。でもこれ、割と面白かったです。韓国の応援団って日本と全然違うんですね。応援団自体がショーアップされていてド派手。主演ハン・ジヒョンのいかれ女はなかなか熱演で良かったけど、個人的にはクールな副団長のチャン・ギュリが素敵だったと思う。
『アンクル ~僕の最高のおじさん~』
2021年/原題:엉클
脚本:パク・ジスク
演出. チ・ヨンス
出演:オ・ジョンセ、チョン・ヘジン、イ・ギョンフン、パク・ソニョン、イ・サンウイ・シウォン
配信:U-Next
売れないミュージシャンと甥(姉の息子)との愛情を描いたドラマであり、母と子のドラマでもある。キャストの地味感は免れないが、名優オ・ジョンセはやはり素晴らしい。バイプレイヤーとしての出演が多いが本作は主役。良いドラマだと思う。しかし最後の調子の良いハッピーエンドだけはいかがなものか。サッドエンドの方が余韻がずっと残るし、自然だと思う。
『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』
2024年/아무도 없는 숲속에서
監督:モ・ワンイル
脚本:ソン・ホヨン
出演:キム・ユンソク、ユン・ゲサン、コ・ミンシ、イ・ジョンウン
配信:Netflix
なかなか他に類をみない独創的なサスペンス。偶然訪れた招かれざる客が引き起こす、不運としか言えない惨劇を、二つの時間を並行して描きつつ、最後は一つの物語に収束する。サスペンスとしてはツッコミどころもあるけれど、美しい映像、効果的な音響、そしてなんといってもイカれ女というにはあまりにサイコな女を演じたコ・ミンシ。彼女が全部持って行った感じ。小道具のBobby Blandのアルバム、そしてこの曲も効果的でした。