偏愛音楽。 その9:ウルグアイの音楽から。
「偏愛音楽。」、9回目はウルグアイの音楽から。
ウルグアイ(ウルグアイ東方共和国)は二つの大国、ブラジルとアルゼンチンに挟まれた小さな国で、人口は僅か342.3万 (2022年)。
しかし小国ではあるものの、サッカーでもワールドカップで過去2回優勝している強国であり、またあのホセ・ムヒカを産んだ国です。
そして音楽においても数々の素晴らしいアーティストを輩出しているのです。世界的な南米の大スターJorge Drexlerや、常にアーティストの尊敬の対象であるEduardo Mateo、ブラジル音楽との関係性も深いHugo Fattorusoなど、才能に溢れた音楽家を数多く産み出しています。
僕がウルグアイの音楽に触れるきっかけはまずはEduardo MateoとDiane Denoirの「Ineditas」。Bossa Novaの影響を感じさせつつ、Mateoらしい音楽に満たされた名盤です。
そしてHugo Fattoruso。Airtoの「Fingers」など数々のMPBの名盤に参加したマエストロ。山形にも数回来ていただきました。
↑著作権の関係か、あの「Tombo in 7/4」は試聴できません。
ウルグアイといえばCandombe(カンドンベ)。モンテヴィデオで生まれた、アフロルーツの強烈なグルーヴの音楽様式です。このCandombeの影響もウルグアイの音楽の一つの特徴といえます。
また昨今Sebastian Macchiと共演もしているnico ibarburuなど、アルゼンチンのニュー・フォルクローレとの関係の深いアーティストも多く、僕の偏愛するアルバムがたくさんあります。
例によって試聴リンクと各々に短いコメントを付しました。あくまで僕の偏愛する、聴いていただきたいアルバムで、名盤紹介ではありません。誤解のないようにお願いします。
*現在までの「偏愛音楽。」はこちらのマガジンでご覧いただけます。
Ana Prada - Soy Sola
このAna Pradaは御大Ruben Radaのbackingをしていたと言うが、その音楽性は全く異質。Folkyでお洒落な音なのだけれど、大人の女性らしい落ち着きも感じさせるてくれる。時にfolklore的な部分も感じさせつつ、シンプルで穏やかで洗練された音楽を聴かせてくれる。
Diane Denoir - Diane Denoir
Diane Denoirはウルグアイ出身のシンガーで、1960年代から1970年代にかけてエドゥアルド・マテオと共に仕事をしたことで知られています。彼女の音楽はリリカルでありながら、深い感情と繊細なアレンジが融合しており、この時代のウルグアイの音楽を象徴するものです。
Eduardo Mateo - Cuerpo Y Alma
Eduardo Mateoはウルグアイのシンガー・ソングライターで、リズムの複雑さやメロディの美しさ、そして詩的な歌詞が特徴です。彼の音楽はボサノヴァ、カンドンベ、ロックなどさまざまな要素を取り入れた独自のスタイルを持っていて、本作はその代表作のひとつ。
Hugo Fattoruso y rey tambor - Emotivo
Hugo Fattorusoと、Rey Tamborのアルバムです。アフロに起源をもつウルグアイのリズム、カンドンベをベースにしつつ、pianoとtamborのみの小編成で、実にgroovyなサウンド。カンドンベを極めてcoolな音楽に仕立てました。Hugoのpiano/vocalと、カンドンベの組み合わせは、とても新鮮。
Jorge Drexler - 12 segundos de oscuridad
Jorge Drexlerの2006年のalbum。この人のpop感覚はウルグアイとかは全く関係ないわけで、新しくセンスの良いサウンドに、魅力的な曲、saudadeに満ちた歌声で、完全にやられてしまう。Maria Rita, Paulinho Moska, Arnaldo Antunesなど。ちょっとorientalな響きも。
Maria de Fatima - Bahía Com ' H
Maria de Fatimaによるウルグアイ産Brasilian Musicの佳作。supportにHugoとOsvaldoのFattoruso兄弟。彼女自身によるものなのか、ギターの音色が印象的でdreamyな音に仕上がっている。紗のかかったようなvocalも素敵だ。そしてHugoらしいcandombeもあり。とても印象的な作品です。
nico ibarburu - ANFIBIO
Jazz, Rock, Funk, Candombeなど、様々なelementを全く無理なくmixtureした、コスモポリタンな音楽性は、Jorge Drexlerに続く、ウルグアイの新しい才能です。70年代のロック・ギタリスト様な、「あんちゃん」っぽい風貌で、テレキャスターを弾いているのですが、これが凄くいい感じ。
Pippo Spera - A Buen Puerto
シンガー・ソングライター、Pippo Speraの1977年の作品。基調はAcidなFolkなのだけれど、ボサノヴァあり、Rockありと、幅広い音楽性を読み取ることが出来る。美しい曲想とPippo Speraの少し頼りなげなハイ・トーンが印象的。Jorge Trasanteのpercussionも効果的です。
Ruben Rada - Radeces
Ruben Radaは、カンドンベに根差しつつ、ジャズ、ロック、ポップなど、多様なジャンルを融合させた音楽と、その独特の力強い歌唱で知られています。本作は彼の代表作の一つ。Eduardo Mateoとの共演も多い人です。
TRIO VENTANA - Amigo Imaginario
ウルグアイのSSW/ギタリストとして常に素晴らしい活動をしているNicolás Ibarburu、兄弟のMartín Ibarburu、そしてHernán PeyrouによるTrio。ネオ・フォルクローレのアプローチではあるが、彼等らしいリズムの疾走感、切れ味の良いアンサンブル、そして柔らかい歌声とコーラスも素晴らしい。
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