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僕の好きなアジア映画91: 宵闇真珠

『宵闇真珠』
2017年/日本・香港・マレーシア/原題:白色女孩/97分
監督:クリストファー・ドイル、ジェニー・シュン
出演:オダギリジョー、アンジェラ・ユン(袁澧林)

この映画を見たかった理由が二つあります。一つはあのクリストファー・ドイル(Christopher Doyleが監督を務めていること。もう一つはアンジェラ・ユンが主演であること。

クリストファー・ドイルは特にウォン・カーウァイやチェン・カイコーなどアジアの映画を中心にその独自の美しい映像表現で知られる屈指の撮影監督です。そのクリストファー・ドイルが本作ではジェニー・シュンとともに共同監督としてメガホンをとっているのです。ウォン・カーウァイのファンであれば、彼が監督であることだけでこの映画に注目するのは必然だと思います。彼の作り出す映像がこれまでの映画の中で重要な役割を果たしていたことはファンなら誰もが知っていることですから。

クリストファー・ドイル

そしてこの映画が見たかったもう一つの理由は、アンジェラ・ユンが主演であること。彼女は香港のトップモデルであり、最近の映画『星屑の片隅に』での演技が素晴らしかったので、逆に旧作である本作を見たいと思ったのです。なんてカッコつけていますが、実は『星屑の片隅に』のアンジェラ・ユンがあまりに魅力的だったので、本作も見たというのが本当のところです。本作でも彼女らしい「ナイーヴないじらしさ」みたいな感覚が、映画の魅力の一つになっています。もちろん可愛いし(笑)。

アンジェラ・ユン。とにかく可愛い。

本作ではそのアンジェラ・ユンが演じる主人公が、自分自身を見出すまでの映画です。父に「日光過敏症」と言われていて、日中はサングラスや帽子、肌のでない服装をしているため、周囲から「幽霊」と揶揄されています。

そんな彼女は夜間、おしゃれをして暗闇の中海岸で踊り、自身を表現しています。

そこに現れたのが異邦人のオダギリジョー。彼との出会いや彼の住む廃墟に魅入られて、徐々に自分の在り方を変えていき(日光過敏症は父の嘘だったし)、そして自身の母の記憶を辿っていきます。ネタバレはここまで。

廃墟にて。

どこの国でも行われている愚かな開発によって無くなっていく、香港の最後の漁港をフィルムに焼き付けた、

という部分もあるのですが、ここはやはり徹底的にミーハーに、アンジェラ・ユンを観る映画と割り切りたい(笑)。

美しく儚い映像、廃墟の中の洒脱な美術など、非現実感を纏いながら、いかにもクリストファー・ドイルらしい映像美に溢れた作品でした。アンジェラ・ユンの魅力を引き出した、いわゆるシャレオツな映画でした。



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