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偏愛音楽。 冬を纏う。

偏愛音楽の18回目は、「冬を纏う」音楽をセレクトしました。ここでの「冬を纏う」という意味は、単純にジャケットに冬または雪の景色を用いたアルバムということです。

必ずしも音楽的内容は冬の情景に合致したものだけに留まりませんが、やはりジャケットの情景に相応しい音楽が収められているものを集めているつもりす。その中でやはり冬ジャケのど定番といえば「Bruce Cockburn - High Winds White Sky」と「Duke Jordan - Flight to Denmark」でしょうか。また「The Innocence Mission - Midwinter Swimmers」は冬の情景でありながら赤を使ったヴィヴィッドなカバーアートが斬新です。

クリスマスのアルバムもこの中に入れて良いのだと思いますが、あまりこれっていうのが実は僕にはなくて、ここに挙げたErin BodeとNaomi & Goro(あとはDon Perisくらいかな)のアルバムが数少ないクリスマス・アルバムのお気に入りです。

今回も10作品に絞りました。すべて冬に相応しい音源だと思います。フルアルバムのみとして、EPは除きました。各々に簡単なコメントを付しています。

*現在までの「偏愛音楽。」はこちらのマガジンでご覧いただけます。




Bon Iver - For Emma, Forever Ago

アメリカのシンガー・ソングライター、Justin VernonのソロプロジェクトBon Iverのデビューアルバム。ウィスコンシン州の片田舎にある父親の狩猟用キャビンで、の厳しい自然環境の中で録音された。最小限の楽器編成(主にアコースティックギターと簡素なパーカッション)と、特徴的なファルセットボイス。彼の当時の孤独感が反映されつつも、インティメイトなアルバムです。


Bruce Cockburn - High Winds White Sky

冬ジャケの代表的な作品、定番ですね。1971年にリリースされたBruce Cockburnの2枚目のアルバムで、フォーキーなアコースティック・スタイルを基調とした作品です。自然や人間の精神性をテーマにした詩的な歌詞と、美しいアコースティック・ギターの演奏を中心としたシンプルなアレンジ。彼の高度な演奏技術と、詩的な曲作りが際立つ問答無用の名盤です。


Carlos Aguirre Trío - Calma

Carlos Aguirreと、ベースのFernando Silvaと、ドラムのLuciano Quieyoとのピアノ・トリオによる作品。最後の1曲だけ、Mono FontanaとClaudio Bolzani、Marccelo Petettaが参加している。クラシカルとすら感じられるメランコリックな旋律と、長く演奏を共にしてきた盟友2人との、音による親密なる美意識の交感である。ジャケットの、冬枯れした木立のイメージに託した「北」の空気感を漂わせた、タイトル通り穏やかで、詩的かつ静謐なピアノ・トリオ。


dringe augh - Black Hyll Side

Dringe Aughは韓国のシンガー・ソングライターです。オープンチューニングを多用したアコースティック・ギターの、清潔で煌びやかな響に、ちょと朴訥で力強い歌声が染み込んで来ます。誰かを誰かに例えるのって僕は嫌いなのですが、この人が韓国のNick Drakeと言われるのは許してしまいましょう。ジャケットのの風景のようにシンプルで、でもとても美しい作品です。


Duke Jordan - Flight to Denmark

昔々ジャズを聴き始めた頃によく聴きました。デンマークのSteepleChaseレーベルで1973年に録音されたアルバムです。冬ジャケットの定番の一つだと思います。彼がヨーロッパで活動を始めた時期に録音され、その美しい演奏と叙情的なタッチがすばらしい。穏やかで洗練されていて、聴く人に静かな感動を与えます。ロマンチックなのアルバム。


Erin Bode - A Cold December Night

Erin Bodeは、アメリカのシンガー・ソングライターで、透明感のある歌声と繊細な表現が清冽です。このアルバムには、伝統的なクリスマスソングのカバーと、彼女自身のオリジナル楽曲が収録されています。アコースティックなサウンドと彼女の柔らかいボーカルは、の寒さの中でも温もりを感じさせる独特の魅力があります。


Henning Schmiedt - Schnee

本作は、ドイツのピアニスト/作曲家のHenning Schmiedtによる、Schnee(ドイツ語で「」の意)にふさわしい17の小品集。ひんやりと透明な空気の中に温もりやノスタルジアを感じさせる、繊細なアルバムです。ミニマルで、寒いの日やが静かに降り積もるような情景を想起させます。シンプルでありながらも叙情的で、クリーンな録音も音楽の美しさを引きだしています。


Horse Feathers - House With No Home

Horse Feathersが2008年にリリースした2作目のアルバムです。温かみのあるアコースティックな音と繊細なアレンジ、Justin Ringle(ジャスティン・リンテナー)の儚い歌声と、バイオリン、チェロ、バンジョー、ギターなど、さまざまな楽器が調和して、透明でfolkyでclassicalなサウンドを創り上げました。牧歌的でノスタルジックな、が似合う名盤。


The Innocence Mission - Midwinter Swimmers

he Innocence Mission(イノセンス・ミッション)は、ペンシルベニア州ランカスターのトリオ。本作はデビュー35年目で4年ぶりのスタジオ・アルバムです。メンバーは高校時代からの友人であるKaren Peris(カレン・ペリス)、Don Peris(ドン・ペリス)、そしてMike Bitts(マイク・ビッツ)。長年にわたり着実に美しい音楽を届けてくれています。本作も美しいメロディーの宝庫です。そしてKaren Perisの時を経ても変わらない、イノセントな童女のような歌声。そしてそれに寄り添う優しいサウンド・クリエーション。消え行く音の儚さとともに暖かさをを感じます。寒いの日に暖かい家の中でのんびり聴くのが似つかわしい、フォーキーでドリーミーな音楽であり、彼らならではの豊かな音楽の魔法が詰め込まれています。なんか、懐かしい友人に会うような、甘酸っぱい感情が溢れてきます。一曲一曲が一編の物語のようです。


Naomi & Goro - Presente de Natal ~Bossa Nova Christmas~

naomi & goroのクリスマス・アルバム。クリスマスものは山ほどありますが、どうもクリスマスに媚びているような、特別なアレンジ(トナカイの引く橇の鈴の音がしたり!)だったりするものが多いと思います。しかし、これは全く違います。naomi & goroが、彼ららしい音楽そのままにクリスマスにちなんだ曲を取り上げたアルバムです。アートワークもとても良い。


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