虹プロが舵をきった社会
「ムスメちゃん、虹プロ観てる?」
何人もの友人たちから、立て続けにメッセージがやってきた。実は初めてそう尋ねられた時には、「虹プロ」なるものがどういうものなのか全く知らなくて、ググってようやく「人気グループTWICEのプロデューサーが、新しいガールズグループ結成のためにしているオーディション番組」だということを知った。ムスメ氏を通してTWICEのことも割によく知っていて(全員顔と名前が分かるし、初期の曲は口ずさむこともできるぞ。ドヤァ)、みんなかわいいなぁ♡と結構好きでもある。でもTWICEファンのムスメ氏もリアルタイムで虹プロを観ておらず、私は完全に「ナンデスカソレ?」状態・・・だったんですけど!
お母さん、一緒に虹プロ観る?
ってムスメさまが誘ってくれたおかげで、またしてもドはまり。YouTubeをえんえんと観てウン十時間が溶けましたとさ。
・・・そうじゃなくて!
よい番組でした。ほんとに。
オモシロかったヨ(←ムスメ氏が↑を読んでいい?と聞いてきたのでいいよと言ったら、読んで入力した)
親世代の女性たちのハートを鷲づかみにしたのは、もちろんオーディション参加者の女の子たちがとにかくかわいい!のと、目標に向かって頑張っている若い人たちの姿が眩しくて自然に応援したくなる気持ちがあるからっていうのは普通にあるのだと思うのだけど。でも案外ぐっときちゃうのは、女の子たちと同じくらいかそれ以上に・・・
J.Y.Parkさん(プロデューサー)だったりするのは、きっと!私だけじゃないはず!!
と確信している。
正直なところ私は、オーディションのような苛烈な競争の場で若い人たちが評価されるのを観るのはしんどいな、と思ってしまう。それでも安心してこの番組を私が観ることができたのは、Parkさんが参加者に敬意を払って語りかける言葉の数々があったからだった。「それぞれが、特別な人である」という前提を繰り返し、繰り返し語り、その上でこのオーディションが「特定の目的に合わせてそれに合う人を探す」ためのものであって、参加者が特別であるかどうかとは全く関係がない、とはっきり伝えていた。
何が心打たれるかって、こういう「青臭い理想」って冷笑されがちなメッセージを、目の前の若い人たちを信頼してきちんと伝えていることなのだ。そして「それぞれが特別な人である」、その特別さそのものをジャッジして合格、不合格を下すことも目的としていないということ、このプロジェクトの目的にかなう人を探すために評価しているのだということ、両者のその違いを明確に打ち出しているものだから、「言語化スゲー!」って思わずにいられなかった。案外評価される側も、それを観ている人たちも、―もしかしたら評価する側も―知らず知らずにそこを混同してしまってしんどくなるんじゃないかと思う。ある限られた価値基準で「不可」とされているにすぎないことを、その人そのものがまるでダメと言われているように感じてしまう。そんなつらい事態を回避するために、予め言語化して強いメッセージとして伝えられていたので、次々と脱落していく参加者たちを前にしても(私自身が)心折れずに「これからも頑張ってね!」と見送ることができたように思う。
みんなそれぞれが特別な人である、としつこく言う。
よいところはうんと褒めて、足りないところは残念だという気持ちとともに具体的に指摘し、でもきっとできるから頑張ってと励ます。
しかもオラオラ偉そうに言うのではなく、参加者を○○さんと呼んで敬語で語りかける。
学校の、各教室にJ.Y.Parkさんがいてもよくね?
と思わずにいられなかった。
子どもたち、心の中にParkさん飼おうか・・・
せめて私がParkさんのブリーダーとなってですね、頒布活動を・・・このnoteしかり・・
という冗談はさておき。
やっぱり何がすごいって、「来るべき理想の社会」像を、番組を通して明確に打ち出しているところなのだ。虹のように多様性のあるグループ。それぞれが持っている才に敬意を払い、いかし、足りないところは補い合う。一人ではやっていけない、だからNiziU(Need Youとかけている)。オーディション途中で参加者たちに向けて会社の理念を説き、「(社会によい影響を与える)立派な人になってください。気を付けようと思うんじゃなくて、そう思う必要がない、立派な人になってください。」とParkさんは語りかけていたけれど、エンターテインメントを担う一企業がそのような社会的ミッションをおっているのだということを「はっきり・言葉で」参加者たちに、番組を観ている人たちにアピールすることに大きな意義を感じた。
ぶっちゃけ、それがParkさんのパフォーマンスだったとしても全然かまわない、と私は思っている。いや、ていうか、あるはっきりとした意図をもって「故意にそうしている」のだと思っているし、そういう社会に舵を切っているのだ。「一人一人が特別な人として尊重され、多様性のある中で助け合って生きていける」社会へ。多くの若者たちが(私を含め中年のみなさんも)熱狂して観ている番組の中で、それをはっきり提示することが大きな目的だったんだろうと思う。
しかもそれは社長であるParkさんの振る舞いの内に、しっかりと表現されていた。スローガンばっかり立派、っていうことはよくあって、「目標:個性のある子ども」なんて教室にでかでかと貼りだしているくせに、「発言するときの型」なんてものが決められていたりして唖然とすることもあるのだが。Parkさんは常に敬意を払って参加者に語りかけていたし、不必要なジャッジ(たとえば容姿についてネガティブな評価をするなど)はもちろん排し、パワー(権力)で管理しようとしなかった。これがもし意図的なものであるとすれば、自身の言動をここまで統制できるということ自体驚異だと思う。審査員として会場に入ってきたTWICEのサナさんとモモさんのために立ち上がって、イスまでひいてあげている社長の姿を観て「しゃっちょうが!サナちゃんとモモちゃんのイスひいてあげてるwww!」って思わず声あげちゃいました・・・いや別に社長が社員のイスひくくらいしてもいいでしょ、って冷静になったあとは思ったし、そこまでビックリしてる自分に「身分制度を内面化しすぎぢゃ!」と反省さえした。あぁ身に沁みついた古いあれやこれ、落としてしまいたい・・・
というわけで、よかったら虹プロ観てね☆
Parkさんばっかり推しちゃったけど、もうね、ほんとに参加者のみんなかわいくてかっこよくて素敵だから!どのメンバーも我が子のように応援しちゃうよー。
そして私は年頃のムスメちゃんと一緒にこの番組を観ることができてよかったと心から思っている。誘ってくれたムスメちゃんに、感謝!画面の中のメンバーを観て「かわいいねぇ♡♡」と言ったそばから、おとなりのムスメちゃんを見て「かわいいねぇ♡♡」・・・そろそろそういう親バカしぐさに呆れつつあるムスメちゃんだけれども。でも画面の中の人たちがそれぞれに特別であるのと同じように、あなたも特別な人なんだよ。それ自体は誰からもジャッジされるものじゃないんだ。でも頑張りたい、チャレンジしたいと思えることに出会えたら、自分の中にある「特別」と向き合って、その道でそれを表現できるように頑張ってね。全力で応援するから!
社会は、確実によい方向へ変化している。
日々ニュースを観て絶望しそうになることも多いけど、私はそう信じたい。
※ちなみに写真は、おやつaoiのあおい先生のあんみつだよー。ほっぺた落ちました。あおい先生のあんみつを頂いた花辺さんも、とても素敵な空間でした。