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(39)冷えと猫の耳

朝細かな雨が降るなか庭に出る。野菜屑を土に埋めて、黄色いミニトマトをふたつもいだ。茗荷は葉だけ茂っていて花芽は出てこない。ますます蜘蛛の巣がふえて、うかつに進むと網にかかってしまうから注意しなければならない。枯れてしまったオリーブの枝は、蜘蛛にとって格好の漁場らしく、いくつもの巣がかかりキラキラと雨粒が光る。濡れそぼってしょんぼりと見える庭への、ちょっとしたご褒美のようだ。

昨日調子がおかしくなったのは食事かもしれないと、昨夜は2時間半キッチンにこもって、プラムとブルーベリーのジャムを煮たり、お菜を作り置きしていた。途中で眠くなってクラクラしてきたが、爽やかなプラムのジャムがどうしても欲しかったし、いただき物のブルーベリーは直ぐに調理しないといけない状態だった。合挽き肉のミンチは、五香粉とオイスターソースや味噌を肉団子にしてみたら、思いつきの割にはよく出来ていた。食料の確保は重要課題なので、簡単で使い回しできるレパートリーはいくつあってもいい。

今朝起きると元気になっている感じで、パタパタと支度をしていたが、朝食のあと、お腹が痛くなってきた。触るとお腹が冷たくて、冷えているようだった。暑がりなので、お腹に柔らかなインド綿のスカーフを巻き、薬を飲んで休む。困ったなと考えながら、猫を撫でながら様子をみる。猫は人間より体温が高いが、耳はとくに体温が高いので、しっとりして温かい。触れるとぽっとバラ色の血の、いのちの熱が伝わってくる。猫はこういう時にとても優しい。しばらくすると楽になったので出かけた。帰ったら、熱いチャイをいれて、猫には温かいミルクをあげよう。

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