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(84)秋色蟷螂と白蛇

早朝静かだったが朝7時過ぎ頃からヒグラシが鳴き始めた。八月も終わる。

昨日から網戸カマキリが居なくなって寂しいなと思っていたところ、今朝玄関のガラスに別のカマキリがいた。玄関の柱に似た色の渋い色合いのカマキリで、いつものカマキリの色違いとは違うような気がする。検索してみたが、コカマキリという種類かもしれない。

蛇はまだ昨夜の場所にいて、死んでいるようだった。長さも1メートル以上はある白い蛇。蛇の行き倒れなんて、何か不測の事態があったのだなと、さて困ったと近くからエノコログサを摘んできて花の代わりに供えてみる。そんな事をしていて電車に遅れた。勤務しながら、もし帰り道にまだあそこにいたら、と想像して居たたまれなくなりMに連絡をして、もし見かけたら保健所に連絡してくれるように頼んだ。申し訳ないと思ったが、朝見てから時間が経過しているので、既にいない場合もある。どうせ乗り遅れるならその場で自分が保健所に連絡したら良かった。

仕事が終わっての帰り道、蛇はいなくなり何事もなかったかのように、不穏な気配は鎮まってすっきりした空気になっていた。電話で話すとMが行った時にも既に居なかったという。もしもまだそこにいたら、運んで酔芙蓉の下に穴を掘って埋葬しよう。穴に入れるときはきちんとトグロを巻いてあげて花を飾って、と蛇に触った経験もないのにイメトレして覚悟していたので、若干拍子抜けしたけれど気にかけてくれる人がいた事がうれしかった。

雨が降ってきた。
これで季節がまた進む。
明日から9月。

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