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悔しさが人を強くする
人は悔しさがなければ強くなれないものだ。
野球でも、高校野球で優勝できなかったチームの選手、ピッチャーの方がプロに入って大成している。なぜかプロ野球で活躍している選手の中には、優勝チームの選手があまり含まれていないような気がしてならない。
優勝できなかった、途中で負けたという悔しさを持ち、プロの世界に入って活躍を夢見る選手が多いからではないだろうか。
相撲もそう。
今場所、豊昇龍が優勝し横綱昇進を決めたがこれはストーリー通りの展開。
そしてもう一人の横綱昇進を目指した琴桜が失敗したのも分かっていた展開。
琴桜は先場所の優勝で力が抜けていた。その後の祝賀会等で時間を使ったというのもあったが、燃え尽き症候群のような状態ではなかったか。
力が落ちたのではなく、気持ちの立て直しが難しかったのではないだろうか。先場所の初優勝で緊張の糸が切れ、さすがにここまで負けが込むとは思わなかったが、私には今場所横綱昇進はないだろうと想像できてしまっていた。
場所前から、去年の霧島と重ねてもいた。
昨年は、霧島の初場所から下降線をたどる姿が信じられなかった。
ケガの影響も多大にあっただろうが、一年であっという間に大関陥落などと大きく状況が変わることはどんな力士にでも考えらえる。
琴桜はもっと腰を落として自分から前に出る相撲を取れば横綱は近い思う。
気持ちが弱いというか優しい。受け身では相手は怖くない。
風格はあるし、どんと構えて攻める相撲に変えていけば上にいけるはずなのだから、足腰を鍛えてどんどん前に出る相撲をとってほしい。
琴風のようにがぶり寄りでもしたらいいのにと思う。
そうとう強くなるはずなのだが。
一方、豊昇龍は先場所優勝を逃した悔しさのまま、精神の糸を切らさないまま今場所に持ってこれた。
もしも。
もしも先場所の優勝が逆だったなら今場所豊昇龍はここまで活躍しなかっただろうと想像する。
大関二度目の優勝で安心して浮かれてしまったことも想像に難くない。
でも先場所の悔しい負けのおかげで、強くなれた。目標をまっすぐに据えたまま突っ走って稽古に励み、本番を迎えたのではなかったか。
豊昇龍が本当に強いのかは来場所証明することになるだろう。
今場所からの気持ちをそのまま持ち続ける必要はないだろうが、今度は横綱としての負けられないプレッシャーもあるなかで安定感をみせてほしい。
一度横綱になってしまえば、陥落することはない。
ただ、弱ければ辞めるだけだ。横綱としての成績を残せなくなったときは、自ら身を引くしかない。横綱は勝ち続けなければならない。
横綱昇進には時の運もあった。
通常であればあと一場所みてもよかった。
照ノ富士引退と今年の海外公演での横綱不在という条件が整った中での昇進。でも、運は実力よりも強しだ。
その中でしっかりと糸を手繰り寄せることができたのは、強運の持ち主だったから。
もう一つは集中力だ。
モンゴル勢のここぞという時の集中力には驚かされる。
少し前、鶴竜はワンチャンスをものにして横綱になった。一回目の挑戦で昇進した。
一方同じころに期待された稀勢の里は何度も横綱えの挑戦権があったにも関わらず、そのたびに機会を逃し、ようやく(結果として)自身の力士生活最後の頃に昇進を果たした。
掴む者は一度でつかむのだと、そのとき思ったものだ。
豊昇龍も一度のチャンスをものにした。勢いをきちんと自分のものにした人は強い。
琴桜にはもう一度奮起してもらいたい。
そして次の横綱昇進への足がかりをつかんだなら、その時は一度で仕留めてほしい。
人生は山あり谷ありだ。大きな山を登るために今は谷底でしゃがんでいるに過ぎない。
切り替えて、強くなってほしい。
いち相撲ファンとして、心技体がそろった本当に強い横綱の出現を望む。
そろそろ、憎らしいほど強い横綱を見たいものだ。