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無病息災を願い、100年以上続く『へびの御年始』

会津美里町(高田)の雀林という地区には毎年1月7日に『へびの御年始』という行事が行われます。
明治の初期頃から始まったとされています。
藁で蛇の形に編まれた大きな綱を子供達が持ち、掛け声をあげながら集落の家々を周り、その蛇に頭を噛んでもらうと五穀豊穣無病息災のご利益があるとされています。

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子供達の元気な掛け声を聞いているだけで邪気が払われる気持ちになります。
お揃いの青い法被が雪景色の中に色鮮やかに映え、子供達もなんだか凛々しく誇らしげです。

藁の蛇の由来

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この地区では昔、用水が不足していたため、集落内のお寺の中に五龍王(水の神)を祀っており、この龍になぞらえて藁で蛇をつくり、門に飾って用水の豊かさを祈願したのが始まりといわれています。

新しい蛇を祀る

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お寺の門に1年間祀られた藁の蛇の長さは7m程、重さは30kg程あるそうです。
子供達が集落をまわっている間にお寺の門に祀る新しい蛇を年長者の男性たちが協力して編み上げます。
1年毎に雄と雌が入れ替わり、編み方を少し変えているのだとか。
「ここはこーすんべ、あーすんべ」(ここはこうしよう、ああしようの会津弁)と話ながら、少しずつ立派な蛇が出来上がっていきます。
役目が終わった藁の蛇はお寺で焚き上げられます。

行事を通して育まれる

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行事が終わった後はみんなで芋煮を食べて冷えた身体を温めます。
大人達は酒盛りで和気あいあいと盛り上がります。

この集落の大人達も子供の頃には藁の蛇を担いで周った経験者。
温かな眼差しで子供達を見守る様子は、集落全体で子供達を守り育んでいるように感じました。
こういった行事があるからこそ交流が生まれ、絆が出来ていく。
そして集落の方々の先人に対する敬意があるからこそ、脈々と伝統を守り続けていくことができるのですね。

会津美里町 雀林地区マップ


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