置かれた場所で咲きたくなんかない。
25歳の夏、仙台で大学職員をしていた私はとうとう退職の意を固めた。揺るぎない決断だった。職場の信頼する先輩に打ち明けたところ、それはもう驚くほど反対された。やむを得ない事情もなく自己都合で辞めた人は過去十年で一人もいないという。長期休暇も自由に取れるし、残業はほぼなく、給与制度もいい。たしかに辞める理由など特にないのだろう。でも私にとってそこは重要な要素ではなかった。超保守的な環境を飛び出して、上京し、新しい仕事にチャレンジしたいという思いを、もう隠せなかった。
先輩から届