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BRICS経済の成長とその未来『G7を超える国の挑戦』

BRICSとは何か

 BRICSは、米国の金融機関ゴールドマン・サックスのジム・オニールが2001年に提唱した概念に由来します。他は21世紀に経済成長が想定される国々として、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)を提言し、それらの頭文字を合わせて“BRIC”と名付けました。その後、2009年にこれらの4国が正式に協力を始め、首脇会議を開催しました。さらに2011年に南アフリカ(South Africa)が加わり、“BRICS”としての形態を確立しました。



BRICSの概要

 BRICSの主な目的は、新興国としての立場を活かし、国際的な経済·政治の序律に影響力を高めることにあります。このため、アメリカやG7に代表される先進国が主子としてきた国際序律に対抗する性格を持ちます。特徴的な要素は以下の通りです。

世界人口の約60%を占める影響力

 BRICS加盟国と提携国を合わせると、世界人口の約6割を占めます。中国とインドはそれぞれ世界第1位、2位の人口規模を豊え、ブラジル、ロシア、南アフリカも広大な国土と豊富な資源を背景に、国際社会において独自の存在感を発揮しています。

豊富な資源

 BRICS諸国には、小麦生産量で世界トップに入る国や、石油、天然ガス、石炭、金属類など豊富な資源を持つ国が含まれています。これにより、エネルギー資源や食料供給の面でも国際的な重要性が高まっています。

経済規模の拡大

 BRICSの経済規模は近年急速に成長しています。中国やインドの急成長は、BRICS全体の経済力を上位に抱え上げています。特に2020年以降はG7諸国の経済規模を上回りする状況も生まれています。

BRICSの拡大

 2023年の第16回首脇会議において、BRICSは新たにイラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピアの4国を加え、9国の構成となりました。これにより、「BRICS+」と呼ばれることもあります。さらに、加盟を希望する国は増え続けており、第16回会議にはパートナー国として参加した13国が存在しました。

このような拡大により、アフリカや中東など多様な地域を取り込むことで、BRICSの国際社会での影響力は一少なく強化されています。


BRICSの取り組み

 BRICSは、独自の資金取引や経済協力の枠組みを構築しています。主な取り組みは以下の通りです。

  1. BRICS PAYの導入
    ロシアがウクライナ侵攻後に、国際金融取引システム「SWIFT」から排除されたことを受け、BRICS加盟国間での金融取引を効率化するために「BRICS PAY」が導入されました。このシステムは、米国や欧州の金融支配からの独立性を高めることを目的としています。

  2. 新開発銀行(New Development Bank)の設立
    BRICSは2014年に新開発銀行を設立し、加盟国間のインフラ投資や開発プロジェクトへの資金支援を行っています。この銀行は、既存の国際金融機関、例えば世界銀行やIMFに依存しない独自の資金調達手段を提供しています。

  3. G7との対抗関係
    BRICSは、G7が持つ国際的な経済的·政治的影響力に対抗する立場を取っています。G7の提唱する国際序律に対して、多極化を主張し、新興国としての視点から世界経済や国際問題に反映することを目指しています。


BRICSの影響と未来の見通し

 BRICSは、人口規模や資源の豊富さ、経済成長の潜在力を背景に、国際社会での影響力を拡大しています。一方で、加盟国間には経済的・政治的な多様性があるため、意見の調整や政策の統一に課題が残されています。それでも、BRICSは新興国の声を反映し、多極的な国際秩序を築く上で重要な役割を果たしています。

 さらに、拡大によって加盟国が多様化する中で、地域ごとの経済的特徴や政策を調整し、柔軟な対応が求められています。このような取り組みを通じて、BRICSは従来の国際秩序に対する代替的な枠組みとして、今後ますますその重要性を増すと予測されています。

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