『割れた皿は元には戻らない』
あれは多分小学五年生の頃の夜だった。
リビングの隣にある和室で布団を敷いて寝ていた私は、父の怒り声で目を覚ました。何に怒っているのか内容は忘れた。でも、隣で姉が寝ていたから怒りの対象は母に向けてなんだろう。襖を1センチほど開き覗くと、見たことの無い剣幕で怒る父と、泣きながら怒っている母の姿が見えた。男性は論理的に、女性は感情的に物事を話すなんてテレビで言っていたっけ。そんなことを思ったのを覚えている。
別に、両親の喧嘩に慣れていた訳ではない。でも、連日母の帰りが遅かったり