島本理生の沼に沈んでいたい。
島本理生
彼女はこれまで数々の賞を受賞してきた日本人女性作家である。
代表的な作品として「ナラタージュ」、近年では「ファーストラブ」、「red」など映画化されているものがたくさんある。
私が彼女の作品に出会ったのは高校一年生の時でだった。
本を借りなければならない授業で、友達が「私の好きな作家はね~」といって作家を何名か挙げていた。
好きな作家がいるってなんか、かっこいい。と自分もお気に入り作家を探したい!!!と適当に選んだのが島本理生さんの作品だった。
始まりは不純な動機であったものの、私はその日から島本理生さんの虜となり高校の図書館にある彼女の作品すべてを読みつくした。
島本理生さんの作品は恋愛や性が描かれているものが多く、幸せに終わるものはほとんどない。
恋愛や人間関係における人間らしい感情が生々しく描かれていて気持ちが重くなるような物語がほとんどである。
そのため読み終わった後には必ずため息がでて、さらに自分がこの世界からとても離れた場所にいるような感覚になる。
しかしそれでも読みたいと思ってしまうのは辛さや苦しさの中にしか存在しない幸せや悲しみを知ることでしか理解できない愛情が彼女の物語に綴られているからだ。
現実的であり現実離れした、私の世界にはないものを心に語りかけ教えてくれる、そんな文章を書いている島本理生さんは高校生の時からすでに作家としての活動をしていた。
当時高校生だった私は自分と同じ年齢でこんな本を書くなんて、と驚愕したことを覚えている。
また彼女のデビュー作の「シルエット」が2001年第44群像新人文学賞の優秀賞に選ばれていて、2001年生まれの私はデビューした年が自分と同じ年ということに勝手に運命を感じている。
私が島本理生さんの作品に出会ったのはお気に入りの作家を見つけたいと思わせてくれた友達のおかげだと思う。
今度は私が友達の役割となり、皆さんの島本理生を知るきっかけになれればいいと思う。