雨あがりの夕暮れどき　　　　　　　　～63歳・立春～

　年末はいつもよりたくさんおやすみが続いて、でも年内はいつのまにか過ぎていってしまい、でもお節料理はつくることができた。よく食べるわが家ではお節料理は二日と持たず、早速の日常である。そんな中、二日続けて二つづつ映画を観ることができた。幸か不幸か、親戚縁者のしがらみがほぼない状態の現在としては、ありがたい、自分のやりたいことができるお正月であった。でもしておきたいこと、もっとしたいことはそのままである。

　仕事は早速一山、ふた山やってくる。何とか関わるみなさまのおかげでこなすことができ、またそのいろいろなものが視えたり、そのいろいろなことをすすめないと、と気がついた次第である。まだまだやらないといけないことはエンドレスに続いていく。

　そして一月は行ってしまった。
　そして二月。早速休みをとる。クリニックに行かないといけないことがあり、それに一月末日に思わぬことが起こったからである。任用の仕事のため一年契約であるが、課長からのいきなりの全員ひとりづつの面談である。それは法律が変わって説明しないといけないとのことであったが、仲間の一人が4月以降は無いと宣言された。それは全員に伝わり大きな衝撃波を起こしていた。

　ようやく理想の形ができつつあった。若干の募集はその理想を完璧にするための募集かと考えていたが、どうもそうではなかったようだ。無理を承知で採用された者、何だか不透明感を持ちつつ働いている者、自信なくけど一生懸命に働いている者、気ぜわしく気をつかいまくっている者、静かに粛々とマイペースの者、それぞれに支援の現場に真摯に向き合っている。任用の厳しさか、明日は我が身と恐れる。その時はその時である。

　そんな中、二月を迎えて今日は立春。
　諸々の気もちを明確につかめきれず、でも何か整理をしたく、いつもの菅次郎さんを訪ねようといつもの時間に出かける。ふと今日の開館時間を確認すると…なんと今日は休館日。月曜日だもんな…不覚にも！そうか…それならばどこまでも遠くへ行こう。前から乗って見たかった叡山電鉄に乗って鞍馬迄行ってみよう。クリニックの予約時間には帰ってくればいい。Let's　GO！

　意外と近い。出町柳から鞍馬まで30分。駅で集めたチラシやなんやを見ながら土地勘を養う。そうか…貴船神社は駅からバスか、ならばバスに乗らなくてもいい、一番奥の鞍馬寺へ！質素な山里、ケーブルカーに乗って本堂へ。静かで高い場所だけれど、今日はまだ寒さがヤサシイ。遠くに臨む山々が山深さを感じさせる。ケーブルカーからの参道を歩きながら、今日は無理をしないできた道を帰ろう、と思っていた。御朱印をいただいて…しかし、「こちら奥の院～貴船神社」という標識を観て色気が出た。ここまで来たからには行ってみよう！奥の院まで約500メートル、貴船神社まで約1000メートル、うん、いける行ける！と歩きはじめると…そうなんです、山道でした。結構険しい。久しぶりの山道。それに先の土地勘収集で貴船神社から貴船口の駅まではバスに乗らないといけないことを思い出す。あー、戻った方がよかったかな？でももう歩きはじめている。階段や手すりが続いている。まだ歩きやすい。これ、知ってたら引き返していたよな、久々に汗をかく。知らない者の怖さ知らず。でも愉しい。最近の頭でっかちの、もやもやの感覚生活から解放される感じがある。いい汗やな～。風邪ひかんように。

　今日は電車やバスの時間巡りは善く、順調にほぼ無駄無く動く。最寄り駅近くでクリニックに行く時間までに一つ事を済ませて…それでも時間があった。この時間的余裕、久しぶり。本屋さんの立ち読みで過ごす。クリニックにも予約時間通りについて、早々に診察を受けることができる。早めに帰宅してむすめとゆっくりと話せた。

　６３歳・立春。お天気は曇りだったけど、まずまずの一日。知らなくてもやってみる。行ってみたいところへ行ってみる。時間の使い方を変えてみる。ケガをしないようにマイペースで歩く。今日のこの体験をありがとうございます。

　今夜はしっかりと足をマッサージして寝ます。多謝。