母だってひとりの人間
すごいお久しぶりの投稿ですが、
この数年の間で私の人生は一変して、
実は男の子の母になりました。
キャンプ投稿を主にしていたけれど、
そんな時間はここ数年取れていなくて…
息子は今年で2歳になり仕事も復職して
今は目紛しい日々を送っています。
通勤時間がひとり時間なんてことも少なくなくて
そんな時間で再放送のドラマを見たり
途切れ途切れで映画を見たりしている中で、
最近ぐっと考えさせられる、
ドラマに出会いふと、noteに記そうと思いました。
『坂の途中の家』
元々は小説でwowowで連ドラとして
放送されていたのが最初のようですが、
私はたまたまAmazon primeで配信されているのを
目にして見始めたのがきっかけです。
ここからはネタバレになるような内容も含みますので
まだ見られていない方や見る予定のある方、
ネタバレがお好きでない方はお控えください。
以下は、アマプラのあらすじを
そのまま抜粋したものです。
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山咲里沙子(柴咲コウ)は、3歳の娘・文香と夫・陽一郎(田辺誠一)と3人で平穏な日々を送っていた。そんなとき、裁判所から手紙が届く。そこには、「刑事裁判の裁判員候補者に選ばれたので裁判所に来るように」と書かれていた。対象となる事件は、里沙子と同じ年頃の専業主婦・安藤水穂(水野美紀)が、生後8カ月の娘を水の入った浴槽に落とし虐待死させたという衝撃的なものだった。里沙子は裁判員の誰かが急病などで欠席せざるを得ないとき、代わりに裁判員を務める「補充裁判員」に選ばれる。同じ子どもを持つ母として、わが子をあやめた水穂に嫌悪感を抱く里沙子だが、徐々に被告の境遇に自らを重ねていくことになる。家庭という密室で夫婦、そして親子の間で交わされた言葉は、時に刃物のように突き刺さることがある。里沙子はやがて自身の心に眠っていた混沌とした感情に困惑していく。
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ここからは私の考察を記していきます。
見るのが少し苦しいような描写もあったけど
子を持つ母としてどうしても途中で見終える、
ということはできない引き込まれるものがありました。
なぜなら、
私もこの2年間で主人公と同じような感情を抱いたことが何度も何度もあったから…
赤ちゃんを育てる"体験" とでも言おうか、
今思っても本当に何にも説明し難い
想像を絶する体験でそれを私は今でも
『なんだかよく分からない不思議な時間』
そんな風に、表現しています。
うちの息子は0歳児の乳児いわゆる赤ちゃんの時、
寝るのが本当に苦手な子でした。
寝付くのに時間はかかるし夜泣きもする、
寝たと思えば2,3時間毎に起きるのは日常茶飯事。
お昼寝もそんなに長く寝ない子で、
起きてる時はとにかくパワフルで元気。
私は寝ているのか起きているのか、
よく分からない状況で、
平日はほぼふたり、まだ人間になりきれていない
我が子と常に一緒に過ごしていました。
離乳食が始まるとその大変さは更に加速し、
食べるより遊びたいが勝る息子は
何を与えてもちゃんと食べられるということは
あまりありませんでした。
せっかく作っても吐き出されたり、
これなら食べるかと買ってきたものも
半分も食べ切らず残されたり、
終いには座ることも嫌がってぐずり始める、
そんな日々を過ごしていた時は、
食事の時間が苦痛でしかありませんでした。
息子が成長し、
やりたい事とできる事がアンバランスの時期には
ぐずりが最大級で日中もよく泣いてる事が
多かったことを今でも覚えています。
後追いが始まるとトイレへ行くにも、
別の部屋へ行くにも、ママママと追いかけ、
ひとり遊びも上手にできない頃は、
抱っこをしながら家事をしたり、
どうしても手が離せない時は泣き喚く我が子を
横目で見ながら慌ただしく終わらせたり…
正直、
イライラしてしまうことはほぼ毎日…
そんな時間が淡々とやってくるそんな日々でした。
言葉も通じない、できることも少ない、泣くことしかできない…
そんな中ふたりだけで過ごしていると、
先の見えない真っ暗闇にぐるぐると
落ちていってしまうようなそんな感覚に陥る
ことがありました。
我が子なのに我が子のことが分からない、
母なのにどうしてあげたら良いか分からない…
そんなできない自分が無力に感じる…
私は育児が向いてないんじゃないかと感じる日々…
そんな暗闇に堕ちそうになった時、
私を救ってくれたのは、
夫、家族、ママ友、友人、支援センターやこども館のスタッフ…
私を取り巻くすべての"環境"が心地良かったからでした。
『昨日は夜泣きが酷くて2時間ずっと起きっぱなしだったんだー…』
“それは大変だったねー。うちもそういうことあったよー。"
『うちの子全然離乳食食べてくれないんだよね…』
"うちも全然食べなくて何からエネルギー取ってるのか不思議だよー。いつかは食べるようになるからきっと大丈夫だよー。"
大変さを分かち合ってくれて、
大丈夫、と言ってもらえたことに
どんなに救われたことか…
もし、
このドラマの中で出てきた言葉のひとつ、
『1つボタンを掛け違えてしまっていたら…』
『うち、夜泣きが酷くてなかなか寝てくれないんだよね。◯◯ちゃんはどう?』
“うちはねー夜たくさん寝てくれるんだよねー。そんなに寝ないの?"
『うちの子全然離乳食食べないんだけどどうして』
"うちはたくさん食べるからなー。やっぱり市販のものより手作りがいいよ。"
"泣いてる我が子なんてお母さんが抱っこしてればすぐに泣き止むよー。"
"そんなに動画ばっかり見せて大丈夫?やっぱりお母さんがいつもあやしてあげた方がいいんじゃない?"
…
どれもドラマの中で出てくるシーンの一部と
それを参考に私がもし言われていたら
正直キツかったなと思う言葉を並べてみました。
今思えば、たったこれっぽちのことなんだけど、
暗闇に迷い込みそうなあの時ってなんだかこういう言葉が妙に突き刺さってしまったりする…
じゃあ、何が必要だったのか、
何だったら闇に埋もれそうな"母"を救えるのか、
『被疑者に必要だったのは、大変だったねという共感と、頑張ったねという称賛』
これがあったからか私は堕ちずに済んだ…
これが全てだと私は思うのです。
ちょっと違った"環境"だけで
"母"はすぐに壊れてしまうのです。
素晴らしいアドバイスでも誰かの成功体験でも
あなたを想う叱責でもなく、
ただひとりの母として、いや、"人間として"
共感してほしい、そしてほんの些細な言葉で良い、
褒めてほしいのです。
私を母だけでなくひとりの人間として見てほしい、
ただそれだけなのです。
母だって"人間"だから。完璧じゃないから。
なんでもできる母にはすぐになんてなれないから。
ならなくて良い、段々となっていけばいい、
最初から強い母なんていないから、
子と一緒に強くなっていけば良い。
そういう環境であってほしい…
今となっては息子もひとりでできることが増え、
夜泣きもほぼなくなってきたので
私もすっかり闇から這い上がって、
"あの時"のことはすっかり"良い思い出"になっています。
(でも、あの時は…
いつか終わると言われても、いつか良い思い出になると言われても、辛いものは辛かったなー笑)
そんな私も、少しは先輩ママになれただろうか、
実の妹が来年子供を産むらしい。
あの時の私の周りが、
『大変だよね。頑張ってるね。大丈夫だよ。』
と声をかけてくれた環境だったように、
暗闇に堕ちていきそうな時は、
共感と称賛の言葉をかけられる
"母"の気持ちに寄り添えるひとりの人間になっていたい。