性犯罪被害者の自責【性被害に遭って#2】

もう少し書けそうだから書いてみる。これを書いている理由は、性犯罪を減らしたいと真剣に思っているから。犯罪被害者手記を拝読して、私も書かなきゃと思った。

こうやって書き出して思うけど、自分の中でもまだあまり整理できてないみたいだ。もう7年くらい前の話なのに。

性犯罪の被害者は、未成年とかよほどの被害でない限り、自分にも落ち度があったんじゃないかともちろん言われる。

7年前は今みたいに性教育が進んでなくて、性被害にあったら、声をあげていいってことがあまり認識されてなかったように思える。「セクハラ」自体の認識も今ほどしっかりしていなかった。
それもそうだし、大企業などのように組織が整っていない中で、権力者からに被害にどう声をあげたらいいのか分からなかった。(今も多かれ少なかれそういうところあるんじゃないかな)
まして当時、大学を卒業してすぐの自分に、「これから社会には自分の身体を目当てに近づいてくる、一見まともな社会人が沢山いますよ、気をつけましょうね」なんて知る機会はなかった。

絶望を見せつけるようで悪いが、言葉を悪くしてでも大学で行いたい講演は、大人を信用しすぎるな。だ。
小学校からの道徳の時間は「人を信じましょう」だったのに、こんなの辛いけどね。
自分が「人を大切にしましょう」「人を信じましょう」にもはや呪われてる気さえする。


何があったか、一生懸命忘れようとしてうろ覚えだが、

まず前提として、
ヘアメイクの業界師弟関係は、師匠の言うことに弟子は逆らってはいけない。と言う文化だ。
(ハラスメント改善されるまで、日本の縦社会は多かれ少なかれそんなもんだったのだろうけど。組織内の権力を持つ側が強いのは、世界の殆どで同じだけど。)

そして私は自己肯定感が著しく低い人間で、私なんか、っていう奴だ。

それで毎日のようになんかよく分からない理不尽なことでオーナー(師匠/加害者)が怒鳴っていた。飴と鞭みたいなタイプだった。
ある日、ご飯に誘われた。普通に予定があったので断った。
そしたら次の日、師匠の誘いを断るとは何事だ、とすっごい怒られた。ごめんなさいと言った。
その次の休日「明日一緒にご飯に言ったら許してあげる」と言われた。嫌なら断っていいから、と言われた。(もちろん嫌と言う選択肢はない)
次の日朝の5時くらいからLINEに40件以上の着信があった。は?と思った。
恐る恐る出た。昨日の話だけど、今日チャンスあげるから、どう?行く?と言われた。正直めんどくさかったけど朝から恐怖数字の着信があって、来週また怒られるのもまた怖いから行った。車に乗せられ、横浜中華街だった。

横浜中華街にすごく美味しいお店があるんだよ、と普通のお店に連れて行かれた。点心は普通に美味しかった。「こんな美味しい点心を知ってる俺なら、普段はどれだけ良いもの食べてるか、君に食べさせるよりよっぽど良いもの食べてるかって分かるでしょ?となんか意味分かんないセリフすぎるのを言われて再現もむずいが、とりあえずそう言われたので、「は、、、はい(苦笑)」を返した。

その後も「俺が乗ってると、このランクル(だったかなんか)も小さく見えるでしょ?」と言われて、物理的な比較で明らかに小さかったので「そうですか?」とさすがの私も耐えかねて失言した。

その後一日中神奈川県のどこだかよく分からないところをドライブされて、「そろそろRさん(もう一人のスタッフ)じゃなくて君を可愛がる順番だと思うんだよねー」って言われて、言葉の意味がわからなくて、「、、、はあ」と愛想笑いしたが、その時もと言うかしばらくするまで技術的な話だと思っていた。今思うとセクシャルな意味だと思うと本当におぞましい。キモすぎる。

その後しばらく、君はまだ入ったばかりでマッサージの技術が弱いから練習しなきゃだよねーと言われて技術的なことを結構言われていた。
そしてなんか時折性的な話?もなんかされてモテるでしょ?みたいなのとか勘違いさせる女が悪いとかなんとかそんなことを言ってた気がする。きも。

でも私はその人の仕事も見ていたし、美容師として普通に従っていた。発言は引っかかるところ今までもその時も結構あったけど技術は確かなのだと思っていた。勿論師弟関係で感覚も鈍ってた。

その後結構夜中になってきて、本当にマッサージの練習した方がいいけど、練習できるところいく?と言われ、全く乗り気ではなかったけど、断ってまた怒鳴られるのも嫌だったから、仕方なく「はい」と言った。練習できるところがまさかラブホだとは思っていなかったけど。「え、嫌なんですけど。手出してきませんよね?」と言った。「変なことは絶対しないから」と言った。あの時性的同意という言葉が今日ほど知れ渡っていればどれほどよかっただろうか。

そういえばそいつは晩御飯の時に飲酒運転をしようとしてた。飲酒運転本当に無理なんですけど、と言ったらやめてた。常習なんだろうな、被害者は出て欲しくないから単独事故で逮捕されればいいのに。

車でマッサージの話の際に、君は気持ちよくされてばかりで気持ち良くする方法を知らないからだめなんだよ言われたことを思い出した。今思うとただの性的な話だったんだな。気持ち悪いし、それに気づけなかった自分も殺したくなる。

もはやマッサージという言葉も気持ち悪い。辛い。

その後のことはあまり書けない。
嫌だったけど嫌じゃない顔をしないと、ダメな人間に思われると思った。自己肯定感が低すぎたのが原因だと思う。
あの時、今日みたいな社会だったらどれほどよかっただろう、と思う。

次の日は車でめちゃくちゃ口止めをされた。「絶対にRに言っちゃダメだよ。」と言われた、「言いません」と言った。
自分が置かれた状況もされたこともよく分かってなかった。ただ身体だけが目的なことも分かってなかった。どこだか分からないここから逃げ出してすぐに警察に行くなんて選択肢にも無かった。と言うか、通報する勇気も無かった。そしてそんなことして良いのかどうかも当時の自分には分からなかった。人のこと犯罪者にして良いのか分かっていなかった。
自分にとっては嫌なことをされたけど、この人には妻子もいるし、私が声を上げたら、加害者の子供が関係ないのに傷ついてしまうんだ、と思った。
加害者の子供のために、自分が声を上げられない。これが一番だった。

きっとこれをここまで読んでくれた人は、私の言い訳の羅列ばかりに聞こえることもあるだろう。
でもそれについて誰が一番後悔していて、誰が一番私を責めているかって、他でもないこの私だ。

大学生の時遊び呆けていたからこうなったのか
あの時言われた言葉をそのまま受け取ったからこうなったのか
言葉の裏を読めなかったからこうなったのか
いつも人に合わせて良い顔してるからこんな目に遭ったんだ
まさか30個以上離れた自分に、それも妻子もいるのに、子供にも会ってるのにそんなことをしてくるなんて思わず車に乗り込んだ自分が悪い
妻子持ちの職場の大人を信用しすぎたのが悪い
毎日怒鳴られて感覚が鈍っていたとか言い訳すんな
朝から40件以上電話が来て怖かったなんて知らねーよ
よくそんなおっさんとホテルに行けたな
何もしないなんて本当にそんなことあると思ったの?20歳も超えているのに?
知識が無かった自分が悪い
勇気が無かった自分が悪い
自尊心の低い自分が悪い
挙げたらキリがないくらい被害に遭ってから1日も忘れたことなく自分を責め続けている。もう忘れたい。


勿論この中の言葉を強くも弱くも人から告げられたこともある。
私から言えることはどれだけ被害者のことを愛していても、どれだけ被害者のことを見下していても、その被害者の方に、反省を促すような言葉は告げないでほしい。ほとんどの場合、当の本人が一番反省して自責している。そんなことする必要なんてないのに。

私は自分を責めてしまうけど、性犯罪を受けた人が同じように自分を責めるような社会であって欲しくないと思う。同時に最低限の知識を身につけておいて欲しいと思う。ただ知識の無かったあなたが悪いわけじゃない。悪いのは100%加害者だ。

すごく散文だが、
こういうことがあったから、私は身をもって、性犯罪者を撲滅したいと真剣に思ってるし、犯罪被害者の傷が抉られない社会を作りたい。(他人には撲滅なんて無理だよと言われるが)
みんな自分の心と身体を一生大切にできるスキルを身につけてほしいと思う。そのために私も邁進したい。

こういうことがあったから、と書いたが、加害者のおかげでは一切ない。私は絶対に被害に遭ったことを綺麗事にはしない。


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