M&A仲介業者へのフィーが高い理由/前編|M&Aアドバイザーのつぶやき
こんにちは。かきもとみさです。私はM&Aアドバイザーの仕事をしています。
「事業承継」「後継者不足」「M&A」という言葉を新聞では見ない日はないくらいにある種のブームとなりつつある昨今。
「M&A仲介業者」への非難やアンチというのもよく聞こえてきます。
言葉の意味の補足をしますと、FA(ファイナンシャルアドバイザー)というのが、売り手側もしくは買手側どちらか一方の交渉代理人として稼働するのに対し、「仲介者」というのは、両側と契約をし、両方からフィーをもらうケースがいます。
しかも、仲介業者の稼働度合いはいろんなケースがあると思います。ガッツリ資料作成、価格算定、交渉代行まできっちりと対応する人もいれば、「あとは両社でどうぞ」とお見合い業者のようにマッチングさえさせてしまえば商談は両社に任せるケースもあると思います。
非難の理由は様々あるのですが、そのひとつに、「(たいした仕事をしていないのに)報酬が高すぎるだろ!」というのが挙げられます。
大手であれば、最低報酬で2000万円超え、海外案件に至っては最低報酬で4000万円超えなんていうケースも。そして情報取得したりトップ面談で直接売主と接点を持つ機会をもらうだけで数百万円発生するケースもあります。
このM&A仲介業者に対する報酬はなぜ高いのか。私なりの考え方と、自分自身のポジション、そしてそれを踏まえた考えを書いてみたいと思います。
M&A業者へのフィーが高い理由
さっそく、結論からいきます。
M&A業者へのフィーが高い理由は、「解決する課題の大きさが大きいから」です。このことを、私目線での補足説明をします。
私は1社目でIT系の法人営業に従事していました。そこでの商談のサイズとしては様々でしたが、10万円くらいのパソコン1台を売る商談から、業務システムの入れ替えで1000万円を超えるくらいの商談くらいでした。
2社目の会社では、外資系向けの人材広告サイトの法人営業をしていました。そこでの商談サイズは、30万円くらいから500万円くらいまでのケースが多かったです。
価格は「問題解決」の大きさ
1社目のIT系の会社では、1台のパソコンをお客さんが買う場合、解決できる課題というのはなんでしょうか。おそらく、それを使う「ユーザー1名の生産性向上」でしょう。
人材広告30万円ではどうでしょうか。例えばその30万円で1名の営業人員が採用できたとしたら、お客さんは「組織力強化」という課題を少し解決できるかもしれません。
対して、1000万円のシステム刷新が解決できる課題はなんでしょうか。それは例えば営業人員のデータベースだとしたら、「営業部全体の生産性向上」だったり、システム化によりアナログ作業が減り「残業代が減ることによるコスト削減」だったりするかもしれませんね。
ざっくりとですが、営業が提案する内容の金額というのは、このように課題解決の大きさに依るんですよね。
元プロ野球選手の高森勇旗さんの記事に学ぶ
このことをきちんと認識したのは、実は元プロ野球選手の高森勇旗さんの記事を日経新聞で読んだときでした。
この記事で「金銭的価値の表現の仕方は解決できる問題によって決まる」という考え方が腑に落ちた気がしました。
そして、ITや人材の領域で1人の法人営業として稼働していた自分にとっては、こうも思いました。ITや人材広告で解決できることは限られている。経営者が1番解決したいことを解決できる人間になりたい、と。
M&Aで解決できる「問題」とは
では、M&Aで解決できる問題とは何でしょうか。
これは「会社が背負う運命」に関わることです。具体的な問題は会社によって違いますが、少なくとも解決できる課題は「売主社長が1番思い悩んでいること」です。
例えば「後継者がおらず、自分が死んだら会社が潰れてしまう」「このまま自分が社長を続けていては、ゆくゆくは倒産するかもしれない」「経営の限界だ。抜本的な改革をしなければ立ち行かなくなる」など。
いずれも「何か対策を講じなければ、会社が望まない廃業に追い込まれるかもしれない」という経営者にとっては1番大きな問題です。
※ここれ「望まない」廃業としたのは、ケースによってはきちんと清算をしてキレイに廃業したほうが良い場合もあることを考慮しています。事業継続が100%のケースで絶対の正解であるとは思っていないので、念のため。
経営者にとって最大の問題を解決できる対策。それがもしM&Aが当てはまるのであるとしたら、その価値はその企業にとっては最大であると言っても良いのでしょうか。
価値の大きさが問題解決の大きさであると話しました。
だから、M&Aを実現に導くM&A仲介業者へのフィーは高い。
このロジックが成り立つと私は考えています。
但し!!!!!!!!
この記事を通して「だからM&A業者は高いフィーをもらって然るべきである」ということを伝えたいわけでは、全くありません。
本題に入る前に、長くなってしまったので今日はこの辺にしておきたいと思います。。
続きはまた次回!
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