バンコクじゃなくなる件
先日、とあるネットニュースが騒がれているのを目撃した。
「首都、名称変更」
国際的に認知されているタイの首都名称はバンコクだが、正式名称がクルンテープから始まる世界一長いものであることは有名すぎる事実だ。
「クルンテープ・マハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット」
意味を調べると、ざっくり「神様が創造されためっちゃ素晴らしくて偉大で平和な天使の都」といった感じだ。
日常生活でいちいち全称を言っていられないので「クルンテープ(天使の都)」と言うことが多い。というかフルネームを言っている場面を私はみたことがない。
ちなみに30代半ばの友人(タイ人)いわく、自分の年代はこの正式名称を覚えているけど、最近の若い世代は覚えていない人もいるそう。
確かに、教育勅語を暗記している若者はそうそういない。
そういう感覚なのだろうか。
違うか。
そんな状況なので何を今さらクルンテープ・マハナコーンで騒いでいるのだと怪訝に思いながら報道に目を通すと「これまで国際的に使用されていたバンコクが使えなくなるのかとの懸念が広がっており…」
おぉ、これは確かに面倒だ。
バンコクNGとなると町中の表記やら、地図やら本やら、航空機の発着表記やらあらゆるものを変更しなければならない。世界中の人々の再教育も必要だ。
そんなことを考えていたところ翌日、変更はあくまで表記上の話で日常的にはこれからもバンコク使ってもいいよとの追加発表が政府からあった。
ほぅ、表記上ということだが、そもそも現状はどうなっているのだろうか。
変更前:Krung Thep Maha Nakhon; Bangkok
変更後:Krung Thep Maha Nakhon (Bangkok)
ズッコケた。
いや、何が違うねん。確かに微妙に違うけれども、これで動揺するタイ世論及び国際社会の繊細さにこちらが動揺してしまった。
ともかく、タイが「明日からバンコクの名を口に出したら即刻処刑します」といったような国家でなくて良かった。まぁそのような国に「平和な天使の都」を名乗る資格はないか。
結局これからもバンコクという呼び名は使われ続けるのだろう。