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Stress-Free Homeschooling 9

著者について


ROBIN GILMANは35年以上のホームスクーリング実践経験のあるベテランのホームスクーリング ママ。彼女の10人の子どもたちは全員成人していて様々な分野で活躍していることからもその成果がうかがえる。最年少の息子が学業を終えてからRobin は子ども向けの本を4冊執筆。より詳しい情報は  https://robingilman.ca で♡

あとがき

本のタイトルを見て読みたいと思ったあなたはきっと子育てに悩んでいたり、学校教育に疑問をもっていたりしたのではないだろうか。 日本でも不登校児童数が年々増加していて学校教育に不満や疑問を感じる親御さんも少なくない。教員の資質が問われるような事件や事故。学校内に蔓延るいじめ問題。子どもたちを一体どのように育てれば、教育すれば良いのか迷う。選択肢が多様化する昨今、子どもの将来を見据えて何がベストな選択なのか…

私が子どもだった頃にはなかったインターネット、携帯電話、スマホ、GPS。私が子育てしていた頃にはまだ少数の利用者しかいなかったオンラインゲーム、匿名投稿できるSNS、出会い系サイト、マッチングアプリ…どんどん大人の世界に子どもが引き込まれやすくなり、親は戸惑うばかり。日本はどちらかと言うと性善説で成り立っている社会だった。最近は人の善意を悪用した犯罪が増え、日本人も変わってしまったのかと残念でならない。知識の詰め込みを優先した教育を見直そうとゆとり教育を導入したが、どうだろう。ゆとりの先に待っていたのはわがままに成長した大人だったのか?学歴社会も終焉を迎えつつあるものの、余程のやりたいことがない限りまだまだ学歴重視の社会となっていて子どもたちを苦しめていないか?

詳細な情報はAIやネット検索でいくらでも手に入る。これから人間はどうそれぞれの特性を生かしていけばいいのか。自分で課題を見つけて自分で答えを探そうとする能動的な学びができることこそが人間に与えられた特性ではないか。何で?どうして?どうやって?と子どもが問う時に的確に答えられる大人は少ない。でも答えられなくていい。答えを見つける方法のヒントを与え、考えさせる。自分から答えを探しに行く逞しさを育てる。それこそが学びとなり身に付き、自信となり、逞しく生きていけるのではないだろうか。

本書でRobinが言っているように、彼女はホームスクーリングの草分け的存在で、子どもたちを学校に通わせないで家で子どもを教育していると言うだけでかなりバッシングを受けていた。でも続けて取り組むうちに賛同者が増え、彼女の話を聞きたいとあちこちから親が足を運び、会場に入りきれないほどの聴衆を集める。それがこの本を書くきっかけになったと言っている。大学教授も驚くほど優秀な学生だったRobinの息子がホームスクーリング上がりだと知り、その教授さえも自分の子どもをホームスクーリングする決意をする。どんどん注目が集まる。

昨今の北米の公教育はかなり荒廃しているとRobinは嘆いている。LGBT法が導入されて、生徒本人が何歳であれ、女児に生まれていても自分は男児だと言えば親であっても逆らえない。Heと言わなければ教師は訴えられ、辞職に追い込まれ、親もその子の意思を認めなければ子どもから引き離されるという。It’s getting crazy! だそうだ。私がカナダの公立ハイスクールに通っていた時でさえ生徒間のドラッグ問題があり、危険な状態だった。50年も前の話だ。今日本で大学生の覚せい剤の所持や使用がニュースになってきているが、高校、中学と若年齢化するのは時間の問題だ。

この本では聖書のフレーズ、良心や愛についての記述が多々見られる。
私たち日本人は自分たちのことをよく無神論者だとか無宗教だと言うことがある。逆に特定の宗教を信じていると言えば新興宗教の信者が頭に浮かび、社会に多大な恐怖を煽るような事件を起こしたり、高額な品の購入へと導かれたりと良い印象を持てない。でも日本人の見えない世界、スピリチュアルな世界とのお付き合いは意外と普段から自然と身に付いているのではないだろうか。トイレにも神様が居ると言っても誰も疑問を抱かない。それにお正月は神社へ新年の祈願をし、結婚式はチャペルで神父さんの前で永遠の愛を誓い、お葬式はお寺さんにお経をあげてもらい…といった感じで宗教に関しては結構柔軟な民族だ。国外で暮らしていた時、Jewish や Christian 家庭の友だちは厳しい戒律を守ったり、日曜日には教会に通ったりしていたが一般的な日本人家庭の我が家は神社へ行った時には柏手を打ち、神様に手を合わせて日頃のお礼やお願い事、祈りを捧げる。お寺やお墓参りをした時は仏さまやご先祖様に日頃の感謝の気持ちと近況報告のご挨拶を伝える。生きてる時は神様に祈り、人が亡くなったら極楽浄土へ仏様に導いてもらうのかなぁと思いつつも神道と仏教のはっきりした違いも分からずにほとんどの人は生きていたりする。もともと多様性を受け入れている民族のように感じる。

Stress-Free Homeschoolingの著者、Robinは私がカナダに住んでいた頃の小学生時代の親友だ。彼女はJewishの家庭育ちだったが、本書には聖書の言葉が数多く引用されている。成長の過程で彼女はキリスト教にも触れる機会があり、新約・旧約両方の聖書を何度も読破し、理解を深めている。その影響で彼女はユダヤ教徒でありながらキリスト教の理解も深い。

ユダヤ教の経典は旧約聖書のみ。旧約聖書のモーゼが登場する天地創造の話はあまりにも有名だ。救い主がイエスキリストだと信じ、新約聖書を経典としているのがキリスト教。救い主がまだ現れていないとしているのがユダヤ教。平たく言えばそう言うことになる。

Robinの中では新旧どちらの聖書にも真理が書かれていると言う。敬虔な信者にしたら邪道なのだろうが、八百万の神々を信じる日本人にはすんなりと受け入れられる。
どんな神様も受け入れられる柔軟な信仰心を持つ日本人は凄いなと思う。歴史的にはキリシタン弾圧や仏教の国教化などがあるが、それはその時々の時代背景を勉強すれば当時の権力者の事情があってのことだと言うことが分かる。

ここで私が言いたいのは宗教論ではなく、Robinが引用している真理の言葉は普段の生活の中で私たちが触れている真理の言葉が多い。彼女の言う三位一体の父なる神、その子救い主のイエスキリストと聖霊を私たちの言うところの八百万の神々に置き換えても十分理解できる。

これは私の持論だが、目に見えない世界は存在し、人の生きるべき方向性は地球上のどこに住んでいても共通している。生まれ住む国の風土、民族性、話す言語の違いなど枝葉の部分が違うことが違った宗教を誕生させたに過ぎない。姿形が遺伝子によってもたらされるように、気質や性格、志向性が遺伝によってもたらせる部分もある。それはDNAに書き込まれ、受け継がれていくものなので自分ではどうしようもない。ただ人間の先祖を辿れば23代前で1億人を超えるので人類みな兄弟節も信じがたい話ではない。

人生には波がある。いい時もあればそうでない時も。思わぬシチュエーションに遭遇してしまう想定外の事態にあたふたすることもある。そんな時は必ず近くに手を差し伸べている存在がある。目に見える場合もあれば見えない場合もある。

例えホームスクーリングをしていない家庭でも彼女の言っていることは子育ての本質を突いていて参考になる。

-     夫婦共に同じ方向を向いて子育てをする
-     夫に意見を合わせる(妻の方が忍耐強く柔軟な思考を持っている!)
-     結婚生活はお花畑ではない
-     日々感謝する
-     どんな時も祈る

一昔前の日本で当たり前だった一家の大黒柱、父親を立てる家庭の在り方をカナダ人の彼女は育児で実践していた(夫に対して不満に思うことはあっても子どもの前ではご法度!)。夫婦仲良くが最良の子育てと良く言われるが、子どもの心身の成長に最も影響を与える存在が一番近くにいる大人である親だからだ。父親が横暴であっても母親が理由を説明するなど優しくフォローする。両親揃って同じ対応では子どもの逃げ場はなくなる。

Robin の家族に会ったことはないが現代版の『大草原の小さな家(Little House on the Prairie)』(1974 -1982)という人気テレビドラマのような感じの家庭を想像してしまう。男女平等、女性も男性も関係なく同等に仕事をこなす今の社会ではきっと古臭いと思われるだろうが、例え母親や父親としての役割が入れ替わっても共に同じ方向を向いて子育てをすること、子どもの健全な成長を愛情を持って見守ることは何よりも大切だということは時代を越えて変わることはない。このことは子育てには重要なポイントで学ぶべきところだ。

ホームスクーリングは皆が皆できることではないけれど、子育ては子を思う気持ちがあればどんなシチュエーションにあってもきっと乗り越えられると信じきること!親という漢字の通り「立ち木の陰から見守る」のが親だ。社会に馴染む子もいれば、不器用でどうしても馴染めない子もいる。でも時代はどんどん変わっている。昨日の常識は今日の非常識だったりする。親の考えや親の思いを子に押し付けるのではなく、まずは本人がどんなことに興味があるのか、どんな性格か、良く観察してみる。「待つ」ことも必要。そしてよく話し合う。話してみると子どもの方が余程大人だったりする。

人一人を育てるのは容易なことではない。ペット感覚で自分の意のままにさせようと思うのは大きな間違い。子どもは反抗、抵抗、否定してくる。親だって成長途中。腹も立つ。でも人生に決して無駄はない。逆境にあっても必ずそれを活かせる時が来る。せっかく与えられたチャンスなのだから無理せず程よく有難く子育てしよう。

原本が出版されてから7年以上が経過した。出版当初はすぐに翻訳して日本語版を出版社に持ち込もうとさえ考えていた。ところが日々の生活に追われ、なかなか翻訳作業が進まず、Robinにも快諾してもらいこのような形での発表となった。この場を借りてRobinに改めて感謝を言いたい。本当にありがとう!

これが日本でホームスクーリングに取り組む家庭の一助になれば幸いに思う。笑顔で楽しく、子どもの成長した姿を想像して一緒に成長しよう!

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