大人の意見には耳を傾けて
恋愛が盛り上がっていると、他人の助言なんてとてもじゃないけど耳に入らないものですよね。
特に親。親から自分の恋愛のあり方について口を挟まれると、激しく苛立つものです。中には親に苦言を言われると不安になってしまう子供もいるようですけど、ほとんどの人は親に自分の恋愛について口出しをされたらと腹が立ちますよね。
親が子供の恋愛にあれこれ口出ししてくる時には、2種類の心理が隠れています。
一つは、親が成熟していないため、自分の価値観では理解できない世界に子供が離れていってしまうことに恐怖を感じる場合。
もう一つは、親が経験を踏んだ大人で、子供が進もうとしている道が明らかに間違えた道で、忠告をしようとしている場合。
圧倒的に多くは前者ですけど、後者の場合もあります。
私は昔結婚しようとするとき、親ではないのですが、年上の親しい友人男性からやんわりと忠告を受けたことがあります。ものすごく成熟した大人の人でしたが、当時はやはり反発してそのまま結婚しました。結果的に離婚することになり、しかもその方が忠告していた状況はそのままあったんですよね。。。
最近私が逆に忠告したケースを少し書きます。
25歳の女性と、23歳の男性でした。交際して4年が経ち、結婚しますと私に言うんです。元々男性の方と仕事を通じて知り合いだったので、男性から聞いたんです。
「そうなの、おめでとう!」って最初は言ったんです。
でも雑談の中で、ちょっと引っかかるところがいくつも出てきたのです。
結婚したら彼女は仕事を辞めて、しばらくは専業主婦をしたいと言ってくれてます。と言うんですよ。
私は思わず「なぜ?」と訊きました。
すると、「ボクも家のことをしっかり切り盛りしてくれたほうが嬉しいし、自分の母親も専業主婦で家はいつも綺麗にしています。自分が育った家のようにしたいんですよ」と言います。
ふーんと言いながら、私の頭には思い切り黄色信号が点滅しています。
「その彼女さんの実家は?整理整頓されてるの?」
私がそう質問すると、少し言葉に詰まっていました。実家は農家らしく、家の中は薄汚れて正直清潔とは言えない状態のようです。
「でも、農家ですからね。仕方ないですよ。」彼は言います。
「奥さんはそのうち、また就職するんでしょ?」私がまた訊きます。
「子供が大きくなったら、少しだけ働こうかなと言ってます」
「少しだけ?どうして?」
「無理しなくていいよって言ってます。お金稼ぐのは男の責任ですから、ボクがきちんとすればいいと思ってます。」
そうですか、男の責任ですか。キリっ、みたいな顔されても、私はもう小うるさい姉か母親のような気分です。
男の責任なんて言っても、会社員の彼の年収は320万円程度。23歳の高卒社員としても平均以下です。その程度の年収で男の責任を語ってもね。
「男の責任と言うのなら、奥さんをきちんと就職させなさい。」
それが私の答えでした。でも当然、彼は憮然とした顔になります。
この男に嫌われても全然構わないので、言いました。
「言っておきます。その彼女をそのまま専業主婦にしたら、家の中は汚く散らかったまま、お金がないとあなたを責めるようになって、働いて欲しいとお願いするとあなたを甲斐性がないと友達に愚痴る妻になります。あなたと力を合わせて家計を作っていく意思も覚悟も根性もなくなります。将来マンションとか家を買いたいでしょ?無理ですよ、そのままでは。いまならまだ大丈夫だから、会社は辞めないように言いなさい。」
すると男は言います。
「美咲さん、彼女のことをそんな決めつけないでください」
私はさらに言います。
「彼女がそういう人間なのではなく、あなたがそうさせると言ってるんですよ。」
25歳のいい年をした大人の女が、専業主婦でいようとするなんてろくでもないです。しかも夫より年上じゃないですか。夫は低所得です。なぜ安易に専業主婦になろうと目論むのか。もちろん18歳から25歳まで会社員をやっていれば、仕事を辞めたくなる気持ちも分かりますけどね。
でも言い方は悪いけど、夫のお荷物になるだけです。夫の人生のお荷物。ババアになったら本当に褒めるところが見当たらないお荷物ですよ。
新婚の楽しい時期はあっけなく終わり、死ぬまで続くのは「生きること」「生活していくこと」「お金を払っていくこと」「お金を残すこと」という人生です。
その現実を、夫婦が力を合わせて乗り越えていく覚悟が必要なんですよね。
だから、夫婦どちらかが自分に矢印を向けたままの幼稚な人間だったら、夫婦にならないほうがいいのです。絶対に幼稚な方が不満ズラをして家の中の空気を悪くさせます。
夫婦のどちらかが専業になってしまうと、片方は社会性の成長が取り残されます。家庭に押し寄せる現実の波は、25歳の時は25歳のレベルで、35歳の時は35歳のレベルで難易度が上がっていきます。今まだ働いていて社会性がそれなりにあるうちは、25歳の現実には対応できるでしょう。でも社会性を放棄してしまって35歳になったら、現実の波に対峙するのは夫だけということになります。そのとき、夫は相談相手もなく、妻は理解する能力も知識もないでしょう。
社会性が成長していく夫とのギャップに、いつか家族は形だけのものになります。
それでも、真面目な夫は家庭をなんとかしようともがきます。男の責任なんてことをずっと考えているので、少ない収入でなんとかしようと頑張ります。でも出来ませんから。疲れ果てます。
そんな時、35歳の夫の前に、若々しくて自立して仕事をしている30歳の優秀な女性が現れたら?あっけなく不倫の恋に身を焦がすことになります。
妻にはないもの、若い頃に理想としていたものを持っている若い女に絶対に夢中になります。
でも不倫である以上、それは手に入らない関係で終わり、残されるのは妻との不仲と不信、借金、機能不全に陥った家計、そして疲労。さらに難易度が上がる人生が待ってます。
向上心があり、理想がはっきりしている真面目な男性ほど、こうして壊れていく傾向があります。
元はといえば、23歳で結婚しようとする真面目で責任感の強い今の彼のような姿なんです。
「うん!いいよ!仕事やめて家にいなよ!」ではなく、
「子供もまだ出来てないんだから、仕事してお金を少しでも残すようにしようよ」って言うべきなんです。
それで結婚する意味がないとか、それじゃ結婚したくないというなら、しめたものです。人生を壊さずに済みます。結婚はやめておきましょう。
そもそもそんな女のどこに惚れる要素があるのか私には分かりません。
昔、友人男性が私の結婚に反対したのは、元夫の金銭感覚に違和感があったからと言われました。
「きっと、美咲だけが頑張ることになる。美咲だけが1人で成長し、夫と釣り合わなくなる。美咲が夫ではない男が必要になるときが来る。一緒にいる意味がなくなる。」
そう言われたのは、見事に的中しました。しかし元夫には申し訳ないですけど、そうさせたのは私です。
収入の少ない夫を守ろうとして、1人で頑張った結果です。私は言うべきだったんです。結婚したいなら、今の仕事を辞めて転職して、まともな収入を持って。それから結婚しよう、そう言うべきでした。
でも私は、自分が頑張ればいいと思って、自分の依存心を優先させました。その恋愛がなくなったら困るという依存心です。
夫だけが頑張る、妻だけが頑張る、どちらも絶対にあってはならないんですよ。
年収350万円でも2人で働いていたら年収は700万円です。
2人で頑張っているから、何歳になってもお互いの成長に合わせて相談相手になれます。
私はそれができませんでした。
あげくのはてに、子供が欲しいから離婚したいと言われ(笑)あまりにもの幼さに離婚後は急速冷凍するように心が冷めていきました。
中年世代に入ってからの不倫の恋がややこしくなるのは、そんな惨めな背景もあるんですよね。
親に限らず、経験の豊富な大人の意見は少し耳を傾けたほうがいいと思いますよ。